1996年に公開された香港映画『ラヴソング』(原題:甜蜜蜜)は、中国大陸から香港に移住した男女の10年にわたる恋愛模様を描いたドラマ。テレサ・テンの名曲を背景に、孤独や別れ、再会をテーマにしています。香港の返還を前にした時代背景が反映され、移民の苦労と希望を表現しています。この作品は、香港電影金像奨で9部門を受賞するなど、高い評価を得ました。
基本情報
- 邦題:ラヴソング
- 原題:甜蜜蜜
- 英題:Comrades, Almost A Love Story
- 公開年:1996年
- 製作国・地域:香港
- 上映時間:118分
- ジャンル:ドラマ
- 配給:ワーナー・ブラザース映画

稼ぐために中国大陸から香港へ移住し、さらにニューヨークへ渡った二人。その頃には中国大陸が一番稼げる地域となっていた経済史の皮肉があるからこそ、二人の偶然の再会がさらに輝きます。
女優の活躍
映画『ラヴソング』のヒロイン、レイキウを演じたマギー・チャンは、広州出身の野心的な女性として登場します。彼女は香港で夢を追い、さまざまな職を経験しながら成長していきます。マギー・チャンは、この役で複雑な感情の変遷を繊細に表現し、観客を引き込みます。特に、再会シーンでの演技が印象的です。
マギー・チャンの活躍は、物語の中心を担うものであり、シウクワンとの関係を通じて人間的な深みを加えています。彼女の演技は、香港電影金像奨と台湾金馬奨で最優秀主演女優賞を受賞するほど評価されました。この映画は、マギー・チャンのキャリアにおいて重要な位置を占め、国際的な認知を高めました。
さらに、マギー・チャンは本作で多様な表情を見せ、移民の現実を体現しています。彼女の自然な演技は、テレサ・テンの曲と相まって感動を呼び起こします。この活躍により、彼女はアジア映画界のトップ女優としての地位を確立しました。
女優の衣装・化粧・髪型
マギー・チャンが演じるレイキウの衣装は、物語の進行とともに変化します。香港到着時はシンプルなブラウスやスカートが多く、移民の質素な生活を表しています。次第にマッサージ嬢や社長として活躍するにつれ、エレガントなドレスやビジネススーツに変わっていきます。これらの衣装は、彼女の内面的成長を視覚的に強調します。
化粧については、自然で控えめなものが中心です。初期はほとんど化粧を施さない素顔に近いスタイルで、田舎出身の純朴さを表現しています。後半になると、洗練されたメイクアップが施され、唇の色やアイラインが強調されるようになります。この変化は、キャラクターの成熟を象徴します。
髪型は、ロングヘアが基本で、物語の前半はストレートやポニーテールが多く見られます。後半では、ウェーブを加えたりアップスタイルにしたりして、都会的なイメージを演出します。これらの要素は、衣装デザイン賞を受賞した本作の美術的な魅力の一部です。
あらすじ
1986年、中国大陸の天津から香港に移住したシウクワン(レオン・ライ)は、恋人シャオティンを呼び寄せる夢を抱き、マクドナルドで働き始めます。そこで出会ったレイキウ(マギー・チャン)とテレサ・テンの曲で意気投合し、友情が恋に発展します。しかし、シウクワンの心は故郷の恋人に残っています。
二人は露店でテレサ・テンのカセットを売る事業を始めますが、失敗に終わります。株価暴落で貯金を失ったレイキウは、マッサージ嬢として働き始めます。シウクワンから贈られたブレスレットに傷つき、二人は別れます。数年後、シウクワンはシャオティンと結婚しますが、披露宴でレイキウと再会します。
レイキウはヤクザのボス、パウの愛人となり、社長に就任します。母の死を知り、シウクワンと再び関係を持ちますが、パウの事件で香港を離れます。シウクワンも妻と別れ、ニューヨークへ移ります。1995年、テレサ・テンの死をきっかけに、二人はニューヨークで再会します。物語は、二人が最初に出会った列車のシーンで締めくくられます。
解説
映画『ラヴソング』は、香港返還前の移民の生活をリアルに描いています。中国大陸から来た人々が直面する文化の違いや経済的な苦難を、恋愛を通じて表現します。テレサ・テンの曲「甜蜜蜜」が象徴的に使われ、ノスタルジックな雰囲気を生み出します。この曲は、二人の出会いと別れを繋ぐ重要な要素です。
監督のピーター・チャンは、香港とニューヨークの街並みを活かした映像美で知られます。物語は10年に及び、時代変遷を反映します。1997年の香港電影金像奨で最優秀作品賞をはじめ9部門を受賞し、国際的に注目を集めました。また、台湾金馬奨でも複数の賞を獲得しています。
テーマは運命的な再会と別れです。二人の関係は、移民の孤独を象徴し、観客に共感を呼びます。エリック・ツァンの助演も光り、ヤクザのボス役で深みを加えます。本作は、香港映画の黄金期を代表するラブストーリーとして、今も愛されています。
さらに、撮影や美術、音楽のクオリティが高く評価されています。ジングル・マーの撮影は、街の雑踏を詩的に捉え、チウ・ツァンヘイの音楽は感情を高めます。この作品は、恋愛映画の傑作として、後世に影響を与え続けています。
テレサ・テンの曲の役割
映画「ラヴソング」(原題:甜蜜蜜)では、テレサ・テンの曲が物語の重要な要素として機能します。原題がテレサ・テンのヒット曲「甜蜜蜜」から取られているように、この曲はテーマソングとして位置づけられ、主人公たちの出会いと恋愛の展開を象徴します。中国大陸から香港に移住した男女の10年にわたる関係を描く中で、テレサ・テンの甘い歌声がノスタルジックな雰囲気を生み出します。
物語の冒頭で、主人公のシウクワンとレイキウは、テレサ・テンの曲をきっかけに意気投合します。特に「甜蜜蜜」を共に歌うシーンは、二人の恋の始まりの高揚感を表現し、観客に強い印象を与えます。この曲は、移民としての孤独や故郷への想いを背景に、甘く切ない恋愛模様を強調します。また、テレサ・テンの他の曲も劇中で使用され、時代背景やキャラクターの感情を深めています。
中盤では、二人が露店でテレサ・テンのカセットテープを販売するエピソードがあり、曲が二人の絆を強める役割を果たします。しかし、別れの場面では、曲のメロディーが切なさを増幅します。物語のクライマックスでは、1995年のテレサ・テンの死のニュースが、二人の再会のきっかけとなります。この出来事は、運命的なつながりを示し、映画全体のテーマである別れと再会を象徴します。
テレサ・テンの曲は、単なるBGMではなく、香港返還前の移民社会の現実を反映します。中国の人々に愛される彼女の歌声は、文化的な橋渡し役となり、観客に共感を呼び起こします。このような役割により、本作は香港映画の傑作として評価され、テレサ・テンの遺産を永続させるものとなっています。
キャスト
- レイキウ:マギー・チャン
- シウクワン:レオン・ライ
- パウ:エリック・ツァン
- シャオティン:クリスティ・ヨン
- ジェレミー:クリストファー・ドイル
- ロージー:アイリーン・ツー
スタッフ
- 監督・製作:ピーター・チャン
- 脚本:アイヴィ・ホー
- 撮影:ジングル・マー
- 美術:イー・チュンマン
- 衣装デザイン:ドラ・ン
- 音楽:チウ・ツァンヘイ
- 編集:チャン・キーホップ、クォン・チリョン
- エグゼクティブ・プロデューサー:レイモンド・チョウ
- 共同プロデューサー:クローディ・チョン




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