『ウィンター・テイル』は、1989年に公開された米伊仏白合作のドラマ映画。1920年代のコロラド州を舞台に、イタリアから移民したバンディーニ一家の厳しい冬の生活を描いています。監督はドミニク・デリュデールで、ジョン・ファンテの小説『バンディーニ家よ、春を待て』を基に製作されました。
レンガ職人の父親スヴェボが失業し、家族が貧困に苦しむ中、富豪の未亡人との関係に溺れていく様子が中心です。信仰深い母親マリアと3人の息子たちの絆、春の訪れを待つ希望がテーマとなっています。上映時間104分の心温まる家族ドラマです。
基本情報
- 邦題:ウィンター・テイル
- 原題:WAIT UNTIL SPRING, BANDINI
- 公開年:1989年
- 製作国・地域:アメリカ、イタリア、フランス、ベルギー
- 上映時間:104分
- 原作:ジョン・ファンテ『バンディーニ家よ、春を待て』
女優の活躍
オルネラ・ムーティは、母親マリア・バンディーニ役で優れた演技を見せています。信仰深く家族を支える女性として、静かな苦悩と強い母性を表現しました。祈りの場面や夫との対立シーンでは、感情の機微を細やかに演じ分け、観客の共感を誘います。
彼女の演技は、移民女性の献身と内面的葛藤をリアルに体現しており、映画の情感を高めています。美しい容姿を生かした自然な表情が、役柄に深みを加えています。
フェイ・ダナウェイは、富豪の未亡人ヒルデガード夫人役を魅力的に演じています。退屈な日常から逃れるようにスヴェボを誘惑する複雑な心理を、洗練された演技で描きました。誘惑者としての妖艶さと孤独感を巧みに表現しています。
ダナウェイの存在感は、物語に緊張感を与え、夫婦の危機を強調します。彼女の演技により、単なる悪役ではなく、人間味のあるキャラクターが生まれました。
女優の衣装・化粧・髪型
オルネラ・ムーティ演じるマリアの衣装は、1920年代の移民家庭らしい質素なロングスカートとブラウスが中心です。地味な色合いのワンピースやエプロンを着用し、貧困な生活を象徴しています。化粧はほとんど施さず、自然な素顔が信仰深い性格を反映しています。
髪型は長髪を後ろでシンプルにまとめ、日常の忙しさを表す実用的なスタイルです。雪景色の中で映える控えめな装いが、母親の献身的なイメージを強めています。
フェイ・ダナウェイ演じるヒルデガード夫人の衣装は、エレガントなサテン素材のドレスが目立ちます。特にセラドン色の美しいサテン・ドレスを着用し、裕福さを際立たせています。毛皮のストールや上質な生地が、寡婦の優雅さを表現しています。
化粧は洗練されたもので、1920年代風のリップやアイメイクが施され、妖艶な魅力を強調します。髪型はウェーブのかかったアップスタイルやボブ風で、洗練された大人の女性像を体現しています。
あらすじ
1925年のコロラド州ロクリン。イタリア移民のバンディーニ一家は、厳しい冬に直面しています。父親のスヴェボはレンガ職人ですが、雪のため仕事がなく失業状態です。家族はパン一つ買えないほどの貧困に苦しみ、クリスマスを迎えます。
母親のマリアは熱心なカトリック信者で、毎日祈りを捧げますが、夫のギャンブルや飲酒癖に悩まされています。3人の息子たち、アルトゥーロ、オーガスト、フェデリコは空腹と寒さに耐え、父を慕いつつも家庭の緊張を感じ取ります。
スヴェボは友人ロッコと酒を飲み、苛立ちを紛らわせます。そんな中、富豪の未亡人ヒルデガード夫人の屋敷で雪かきなどの仕事を始めます。夫人はスヴェボに惹かれ、誘惑します。スヴェボは金銭的な誘惑に負け、夫人宅に通うようになります。
マリアは夫の浮気を知り、激しく対立します。一度持ち帰った金を暖炉に投げ入れ、子供たちの飢えを嘆きます。祖母ドナ・トスカーナの叱責も加わり、家庭は崩壊寸前となります。アルトゥーロは父の行動を理解しつつ、母を心配します。
冬の厳しさの中で、一家は互いの絆を試されます。スヴェボの不在が続き、マリアの祈りと息子たちの無垢さが希望の光となります。やがて春の兆しが訪れ、仕事の再開と家族の再生が示唆されます。
解説
映画『ウィンター・テイル』はジョン・ファンテの自伝的小説『バンディーニ家よ、春を待て』を基に、移民の現実的な苦難を描いています。1920年代アメリカ合衆国のイタリア系コミュニティの貧困、労働の過酷さ、文化的適応の難しさが丁寧に表現されています。
信仰と誘惑の対立が大きなテーマです。マリアの強い宗教心は家族を支えますが、夫の弱さが亀裂を生みます。カトリック的な罪の意識と赦しが、物語の深みを増しています。
父親像の複雑さが際立ちます。スヴェボは家族を愛しつつ、自由と快楽に弱い人間として描かれ、観客に共感と批判の両方を呼び起こします。少年アルトゥーロの視点が、成長物語の側面を加えています。
冬の厳しい自然描写が象徴的で、家族の試練と春の希望を対比させます。監督のドミニク・デリュデールは、情感豊かな演出で人間ドラマを昇華させています。賞を受賞したのも、こうした普遍的な家族愛の描き方が評価されたためです。
全体として、希望の物語でありながら、現実の厳しさを忘れさせないバランスが魅力です。移民の夢と挫折を、温かくも切ないタッチで語っています。
キャスト
- ジョー・マンテーニャ(スヴェボ・バンディーニ)
- オルネラ・ムーティ(マリア・バンディーニ)
- フェイ・ダナウェイ(ヒルデガード夫人)
- マイケル・バコール(アルトゥーロ・バンディーニ)
- ダニエル・ウィルソン(オーガスト・バンディーニ)
- アレックス・ヴィンセント(フェデリコ・バンディーニ)
- バート・ヤング(ロッコ・サッコーネ)
- レナータ・ヴァンニ(ドナ・トスカーナ)
- ターニャ・ロパート(シスター・セリア)
スタッフ
- 監督:ドミニク・デリュデール
- 脚本:ドミニク・デリュデール
- 撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
- 音楽:アンジェロ・バダラメンティ
- 編集:ルド・トロッシュ
- 衣装:キャミール・モリス
- メイクアップ:マリオ・ディ・サルヴィオ、ゲルリンデ・クンツ
- ヘアスタイル:パオロ・フランセスキ
- 製作:トム・ラディ、フレッド・ルース、エルウィン・プロヴーストなど
- 原作:ジョン・ファンテ『バンディーニ家よ、春を待て』


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