『ベネデッタ』(原題:Benedetta)は2021年に公開されたフランス、オランダ合作映画。17世紀イタリアのペーシャを舞台に、実在した修道女ベネデッタ・カルリーニの生涯を描いた伝記ドラマです。
幼少期から聖母マリアと対話し奇跡を起こすとされるベネデッタは修道院に入り、成人後に聖痕を受け聖女として崇められます。しかしバルトロメアとの秘密の関係や奇跡の真偽をめぐる審問が起き、ペスト流行中の権力闘争と人間の欲望が交錯します。
宗教とセクシュアリティの境界を探るポール・ヴァーホーヴェン監督の挑発的作品です。
基本情報
- 邦題:ベネデッタ
- 原題:Benedetta
- 公開年:2021年
- 製作国・地域:フランス共和国、オランダ
- 上映時間:131分
- ジャンル:ドラマ、伝記
女優の活躍
ヴィルジニー・エフィラはベネデッタ役で主演を務めています。敬虔な信仰心を持ちながら野心的に修道院長へと昇りつめ、官能的な側面も併せ持つ複雑なキャラクターを力強く演じ切っています。無垢さとカリスマ性、幻視の激情を自然に表現し、観客を魅了します。『エル ELLE』での経験を活かした演技はカンヌ国際映画祭で注目を集め、セザール賞主演女優賞候補となるなど高く評価されています。彼女の存在感が作品の中心を支えています。
女優の衣装・化粧・髪型
ヴィルジニー・エフィラが演じるベネデッタの衣装は17世紀の修道女らしい黒いチュニックに白いウィンプルとヴェールで構成されています。厳格で控えめなデザインが敬虔さを強調しつつ、親密な場面ではローブが緩み身体の線が浮かび上がります。
化粧は最小限で自然な素肌を活かし、淡い唇と眉で無垢で神秘的な印象を与えます。重厚なメイクは避けられ、信仰者の純粋さを際立たせています。髪型はヴェールで覆われ普段は見えませんが、幻視や私的な場面では長いウェーブのかかった髪が自然に下り、女性らしさを強調します。
あらすじ
17世紀のイタリア・ペーシャ。幼いベネデッタは両親に連れられテアティン修道院に入ります。道中で傭兵に襲われますが祈りで奇跡を起こし無事到着します。修道院でマリア像の下敷きになりながらも無傷で奇跡とされ、18年後成人したベネデッタは聖母マリアを演じる芝居中にイエス・キリストの幻視を見ます。
虐待を受け逃げてきたバルトロメアが修道院に身を寄せ、ベネデッタが世話を任されます。2人は次第に親密になりキスを交わします。ベネデッタは熱病に倒れ幻視の中でイエスに触れられ聖痕が現れます。修道院長フェリシタは疑念を抱きますがベネデッタはさらに額から血を流しイエスの声で語り始めます。
聖痕の真偽を巡る調査の末ベネデッタは修道院長に就任します。バルトロメアと深い関係を結びますが、嫉妬する修道女クリスティナの告発により秘密が露呈します。ペストが流行する中教皇大使が調査に訪れ、拷問と対決が繰り広げられます。ベネデッタは再び聖痕を見せ民衆の支持を得ますが、混乱の中で物語は衝撃的な結末を迎えます。
解説
『ベネデッタ』は実在のベネデッタ・カルリーニを題材に、宗教的な幻視と同性愛、権力欲が絡み合う人間ドラマを描きます。ポール・ヴァーホーヴェン監督は『氷の微笑』や『エル ELLE』同様、挑発的で官能的な描写を交え聖と俗の対立を現代的に問いかけます。聖痕や幻視が自作自演か真実か、信仰の本質を曖昧にし観客に判断を委ねます。
ペスト流行という時代背景が恐怖と混乱を増幅させ、教会権力の腐敗や女性の抑圧を浮き彫りにします。カンヌ国際映画祭で論争を呼び、カトリック団体から抗議を受けました。一方で宗教とセクシュアリティの融合を大胆に表現した点が高く評価され、心理ドラマとしての深みもあります。監督の鬼才ぶりが光る作品です。
キャスト
- ベネデッタ・カルリーニ : ヴィルジニー・エフィラ
- バルトロメア・クリヴェッリ : ダフネ・パタキア
- フェリシタ修道院長 : シャーロット・ランプリング
- ジリオーリ教皇大使 : ランベール・ウィルソン
- アルフォンソ主席司祭 : オリヴィエ・ラブルダン
- クリスティナ修道女 : ルイーズ・シュヴィヨット
- その他 : エルヴェ・ピエール、ギレーヌ・ロンデス、クロティルド・クローなど
スタッフ
- 監督・脚本 : ポール・ヴァーホーヴェン
- 脚本 : デヴィッド・バーク
- 原案 : ジュディス・C・ブラウン著『ルネサンス修道女物語―聖と性のミクロストリア』
- 音楽 : アン・ダッドリー
- 撮影 : ジャンヌ・ラポワリー
- 編集 : ヨープ・テル・ブルフ
- 製作 : サイード・ベン・サイード、ミヒェル・メルクト、ジェローム・セドゥ



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