イザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani)はフランスの女優・歌手。フランス映画界を代表する存在で、セザール賞を史上最多の5回受賞し、2回の米アカデミー賞ノミネートを受けています。代表作には『アデルの恋の物語』『ポゼッション』『熱い夏』『カミーユ・クローデル』『クイーン・マーゴ』などがあり、情熱的で複雑な女性像を演じることが多いです。歌手としてもアルバムをリリースしています。国際的に活躍し、フランス文化の象徴です。
プロフィール
- 名前:イザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani)
- 本名:イザベル・ヤスミン・アジャーニ(Isabelle Yasmine Adjani)
- 生年月日:1955年6月27日(70歳)
- 出生地:フランス共和国パリ
- 職業:女優
- ジャンル:映画
- 活動期間:1970年 –
生い立ち・教育
イザベル・ヤスミン・アジャーニ(Isabelle Yasmine Adjani)は、1955年6月27日にフランス共和国パリ17区で生まれました。
父親のモハメッド・シェリフ・アジャーニはアルジェリアのコンスタンチン出身のイスラム教徒で、第二次世界大戦後にフランス軍に所属していました。母親のエマ・アウグスタ・シュヴァインベルガーはドイツのバイエルン出身のカトリック教徒です。二人は戦後ドイツで出会い、結婚してパリに移住しました。母親は当初フランス語を話せなかったそうです。
アジャーニは幼少期をパリ北西部郊外のジュヌヴィリエで過ごし、父親がガレージで働いていた環境で育ちました。フランス語とドイツ語の二言語を流暢に話すバイリンガルとして成長しました。弟のエリックがおり、彼は写真家でしたが、2010年12月25日に53歳で亡くなりました。
アジャーニは12歳の時に学校の朗読コンテストで優勝したのをきっかけに、アマチュア劇団で演技を始めました。高校卒業資格であるバカロレアを取得し、1976年にはヴァンセンヌ大学で授業を聴講していました。この頃から演劇への情熱を深め、クール・フロランで演劇を学び、後のキャリアの基盤を築きました。彼女の多文化的な背景は、演技スタイルに独自の深みを加えています。父親の厳格な教育や家族の複雑な関係が、彼女の内面的な表現力に影響を与えたと言われています。幼少期の経験は、後の作品で描かれる複雑な女性像に反映されているようです。
経歴
イザベル・アジャーニの経歴は、1970年に14歳で映画『ル・プティ・ブーニャ』(原題:Le Petit Bougnat)でデビューしたところから始まります。この作品は子供向けのコメディで、彼女の初々しい演技が注目されました。その後、1972年に国立劇団コメディ・フランセーズに入団し、モリエールの『女房学校』でアニュス役を演じて高い評価を得ました。
しかし、彼女は劇場よりも映画に魅力を感じ、1974年に『ラ・ギフル』(原題:La Gifle)で本格的な映画女優として活躍を始めました。1975年のフランソワ・トリュフォー監督作『アデルの恋の物語』でアデル・ユゴー役を演じ、20歳で米アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。これは当時最年少記録でした。この作品で国際的な名声を得ました。
1981年にはアンドレ・ズラウスキー監督の『ポゼッション』とジェームズ・アイヴォリー監督の『カルテット』でカンヌ国際映画祭女優賞を同時受賞し、史上唯一の快挙を成し遂げました。セザール賞では『ポゼッション』(1981年)、『熱い夏』(1983年)、『カミーユ・クローデル』(1988年)、『クイーン・マーゴ』(1994年)、『スカートの日』(2009年)と5回受賞し、フランス映画界の記録を保持しています。他にベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞した『カミーユ・クローデル』で再びアカデミー賞にノミネートされました。
1980年代にはハリウッド進出も果たし、『ドライバー』(1978年)、『イシュタル』(1987年)などに出演しました。1990年代以降はフランス映画を中心に活動し、2013年にはボリウッド映画『Ishkq in Paris』でフランス人女優として初出演しました。
歌手としても1983年にセルジュ・ゲンスブールプロデュースのアルバム『Pull Marine』をリリースし、ヒットしました。2023年には2枚目のアルバム『Bande Originale』を発表しています。舞台やテレビドラマにも出演し、多角的なキャリアを築いています。彼女の演技は情熱的で内省的であり、フランス文化勲章コマンドゥールやレジオンドヌール勲章シュヴァリエを受章しています。近年も『ピーター・フォン・カント』(2022年)などで活躍を続けています。
服飾・美容
イザベル・アジャーニは、フランス映画界のファッションアイコンとして知られています。彼女のスタイルは、エレガントでエキセントリックな要素を併せ持ち、映画の役柄やレッドカーペットで独自の魅力を発揮します。
1980年代の代表的なスタイルとして、リュック・ベッソン監督の『サブウェイ』(1985年)で着用したラッフルやギャザーの入ったボリュームあるドレス、XXLサイズのイヤリングが挙げられます。これらはサンローラン風の影響を受け、過剰なボリュームと洗練されたシルエットを特徴とします。ホラー映画『ポゼッション』(1981年)では、白いパフスリーブドレスにスパンコールの王冠を合わせたエキセントリックなルックが印象的です。1983年の『熱い夏』では、赤いラッフルミニドレス、デニムのホットパンツ、ルーシュビキニ、オフショルダートップなど、セクシーでミステリアスなサマースタイルを披露し、田舎町のファム・ファタル像を体現しました。
これらの衣装は、円形モチーフを多用し、少女らしい無邪気さと不気味なニュアンスを織り交ぜています。レッドカーペットでは、1989年のセザール賞授賞式でタフタとギャロッピングラッフルをあしらったドレスを着用し、陶器のような肌と青い瞳が際立ちました。ディオールの顔として、ジャンフランコ・フェレ時代にポイズンやデューンの香水キャンペーンに参加しました。
美容面では、青みがかった瞳と白い肌がトレードマークで、ナチュラルメイクを基調に、時にはボトックスなどの施術を指摘されるほど若々しさを保っています。彼女の美容哲学は、役柄を通じての内面的表現を重視し、ファッションをキャラクターの延長として活用します。
近年もパリ・ファッションウィークでフェイクファーハット、黒いサングラス、金のチェーンネックレス、黒いウールコートを着用し、タイムレスなエレガンスを示しています。メイクアップはジバンシィやロレアルを愛用し、常に洗練されたイメージを維持しています。
私生活
イザベル・アジャーニの私生活は、彼女のキャリア同様にドラマチックです。1979年に撮影監督のブリュノ・ニュイッテンと交際し、息子のバルナベ・サイド=ニュイッテンを出産しました。彼は『カミーユ・クローデル』の監督でもあり、二人は共同作業を通じて絆を深めました。
1980年代半ばには俳優のウォーレン・ビーティと関係を持ち、『イシュタル』への出演につながりました。1989年から1995年までダニエル・デイ=ルイスと交際し、1995年に息子のガブリエル=ケイン・デイ=ルイスを出産しました。この関係は破局しましたが、息子はモデルとして活躍しています。
2002年から2004年までは作曲家のジャン=ミシェル・ジャールと婚約していましたが、破局しました。
アジャーニはプライベートを厳しく守り、インタビューを避けることで知られています。2023年には脱税で執行猶予付きの判決を受けましたが、彼女のイメージに大きな影響はありませんでした。家族の多文化背景が私生活に影響を与え、アルジェリア系ドイツ系のルーツを誇りにしています。弟の死去は彼女に深い悲しみを与えましたが、それをバネに創作活動を続けています。
子供たちとの関係は良好で、息子たちを公の場に連れることは稀ですが、家族を大切にしています。私生活の出来事が作品に反映されることもあり、情熱的な恋愛観が演技に深みを加えています。
出演作品
- ル・プティ・ブーニャ(1970年、ローズ)
- ファウスティーヌと美しい夏(1972年、カミーユ)
- ラ・ギフル(1974年、イザベル・ドゥレアン)
- アリアーヌ(1974年、アリアーヌ)
- アデルの恋の物語(1975年、アデル・ユゴー)
- テナント/恐怖の館(1976年、ステラ)
- バロッコ(1976年、ローラ)
- ヴィオレットとフランソワ(1977年、ヴィオレット・クロ)
- ザ・ドライバー(1978年、ザ・プレイヤー)
- ノスフェラトゥ(1979年、ルーシー・ハーカー)
- ブロンテ姉妹(1979年、エミリー・ブロンテ)
- クララと素敵な人たち(1981年、クララ)
- ポゼッション(1981年、アンナ/ヘレン)
- カルテット(1981年、メアリーア・”マド”・ゼリ)
- すべて燃えてしまった(1982年、ポーリーヌ・ヴァランス)
- ラスト・ホラー・フィルム(1982年、本人役)
- デッドリー・サーキット(1983年、カトリーヌ・レイリス/リュシー、”マリー”)
- 熱い夏(1983年、エリアーヌ、通称”エル”)
- サブウェイ(1985年、エレナ)
- タ・デ・ボー・エスカリエ・テュ・セ(1986年、本人役、短編)
- イシュタル(1987年、シラ・アッセル)
- カミーユ・クローデル(1988年、カミーユ・クローデル)
- ルン・タ:風の騎手たち(1990年、ナレーター、ドキュメンタリー)
- トキシック・アフェア(1993年、ペネロペ)
- クイーン・マーゴ(1994年、マルゴ)
- 悪魔のような女(1996年、ミア・バラン)
- パパラッツィ(1998年、本人役)
- ザ・リペンタント(2002年、シャルロット/レイラ)
- アドルフ(2002年、エレノール)
- ボン・ヴォヤージュ(2003年、ヴィヴィアン・ドゥンヴェル)
- スカートの日(2009年、ソニア・ベルジュラック)
- マンモス(2010年、セルジュの失われた愛)
- ドゥ・フォルス(2011年、クララ・ダミコ)
- ダヴィッドとマダム・ハンセン(2012年、マダム・ハンセン=ベルクマン)
- Ishkq in Paris(2013年、マリー・エリーズ)
- フランスの女たち(2014年、リリ)
- カロル・マチュー(2016年、カロル・マチュー)
- ザ・ワールド・イズ・ユアーズ(2018年、ダニー)
- ソエルス(2021年、ゾラ)
- ピーター・フォン・カント(2022年、シドニー・フォン・グラッセナッブ)
- マスカレード(2022年、マルタ)
- Dammi(2023年、本人役、短編)
- ウィングウーマン(2023年、マレーヌ)
- ウィッシュ(2023年、アマヤ女王、フランス語吹き替え、声優)
- ナターシャ、ほとんど客室乗務員(2025年、モナ・ゲラルディーニ)
テレビ作品
- 女房学校(1973年、アニュス、テレビ映画)
- アヴァール(1974年、マリアンヌ)
- フラマンの秘密(1974年、マリア、ミニシリーズ)
- オンディーヌ(1975年、オンディーヌ、テレビ映画)
- フィガロ(2008年、アルマヴィヴァ伯爵夫人、テレビ映画)
- アイシャ(2011年、アッスッサ医師、シリーズエピソード)
- コール・マイ・エージェント!(2017年、本人役、シリーズエピソード)
- キャピテーヌ・マーロー(2018年、イザベル・ローモン、シリーズエピソード)
- 王の寵愛(2022年、ディアーヌ・ド・ポワティエ、ミニシリーズ)
- アデュー・ヴィニル(2023年、イヴ・フォジェール、テレビ映画)
- ザ・パーフェクト・カップル(2024年、イザベル・ナレ、ミニシリーズ)
- アンダー・ア・ダーク・サン(2025年、ベアトリス・ラッセール、ミニシリーズ)


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