『素晴らしき日』(原題:One Fine Day)は、1996年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画。離婚歴のあるシングルペアレントの男女が、子供たちをめぐる騒動を通じて出会い、互いに惹かれ合う一日を描写。主演はミシェル・ファイファーとジョージ・クルーニー。ニューヨークを舞台に、軽快なユーモアと心温まるストーリーが魅力。
基本情報
- 邦題:素晴らしき日
- 原題:ONE FINE DAY
- 公開年:1996年
- 製作国:米国
- 上映時間:108分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
本作の主演女優、ミシェル・ファイファーは、建築家のメラニー・パーカー役を演じ、その魅力と演技力で作品に大きな華を添えています。メラニーは、仕事と子育ての両立に追われるシングルマザーでありながら、強い意志とユーモアを持ち合わせた女性です。ファイファーは、こうした複雑なキャラクターを自然体で表現し、観客に感情移入させることに成功しています。彼女の演技は、忙しい日常の中での苛立ちや焦り、そして恋愛に対する微妙な心の動きを繊細に描き出します。
特に、ジョージ・クルーニー演じるジャックとの掛け合いは、軽妙な会話とケミストリーで観客を引き込みます。彼女の表情や仕草からは、メラニーのプロフェッショナルな一面と、母親としての優しさや脆さが絶妙に伝わります。ミシェル・ファイファーは本作で製作総指揮も務めており、作品全体のトーンやメッセージにも影響を与えています。彼女の存在感は、物語の情感を高め、ロマンティック・コメディとしての本作の成功に大きく貢献しました。
批評家からも、彼女の演技は「魅力的で説得力がある」と高く評価されており、特に忙しい現代女性のリアルな姿を体現した点が称賛されています。また、子役たちとの自然なやりとりも、彼女の演技の幅広さを示すもので、観客に温かい印象を与えます。
女優の衣装・化粧・髪型
ミシェル・ファイファーの衣装は、1990年代のニューヨークのキャリアウーマンを反映したスタイリッシュかつ実用的です。衣装デザインを担当したスージー・デ・サントは、メラニーの多忙な生活を考慮しつつ、彼女の魅力と知性を引き立てるスタイルを構築しました。主に登場するのは、テーラードのスーツやブラウス、スカートといったプロフェッショナルな装いですが、柔らかい色合いやフィット感のあるデザインにより、女性らしさが強調されています。例えば、ベージュや白のスーツは、彼女の洗練された外見を際立たせつつ、建築家としての信頼感を表現しています。
一方で、物語の終盤では、よりリラックスしたカジュアルな服装に変化し、彼女の内面的な変化や恋愛への心の開きを象徴しています。化粧はナチュラルで、忙しいシングルマザーの現実感を保ちつつ、ミシェル・ファイファーの美しさを最大限に引き出すよう工夫されています。薄いファンデーションに、控えめなアイメイクとリップカラーが施され、疲れやストレスの中でも輝きを失わないメラニーの魅力を表現しています。髪型は、肩にかかる長さのブロンドヘアをゆるくウェーブさせたスタイルで、時折ポニーテールやアップスタイルにすることで、忙しい日常の中での機能性とエレガンスを両立させています。この髪型は、彼女の動きの多いシーンでも乱れず、キャラクターのプロフェッショナルなイメージを保ちます。
全体的に、衣装・化粧・髪型は、メラニーの多面的な性格を視覚的に表現し、物語のトーンに調和したものとなっています。
あらすじ
ニューヨークに住む建築家のメラニー・パーカー(ミシェル・ファイファー)は、ミュージシャンの夫と離婚し、5歳の息子サミー(アレックス・D・リンツ)を育てながら多忙な日々を送っています。
一方、人気新聞コラムニストのジャック・テイラー(ジョージ・クルーニー)は、元妻の再婚に伴い、5歳の娘マギー(メイ・ホイットマン)を一時的に預かっています。
ある朝、子供たちの野外授業の集合時間に遅れた二人は、急いでタクシーに相乗りしますが、互いに反感を抱き、皮肉を言い合います。船に間に合わず、子供たちを預ける場所を失った二人は、重要な仕事の合間に子供の面倒を見るため、協力することを渋々決めます。メラニーは午後のプレゼンテーション、ジャックは市長の汚職を追う記者会見と、それぞれの仕事が佳境を迎える中、子供たちの携帯電話の取り違えやマギーの迷子騒動など、次々と問題が降りかかります。
最初は衝突ばかりだった二人は、子供たちを通じて互いの人間性に触れ、徐々に心を通わせ始めます。サミーのサッカー試合や金魚の紛失といった出来事を経て、ジャックはメラニーの家を訪れ、二人は互いの気持ちを確認し、キスを交わします。疲れ果てた一日を終え、二人は寄り添って眠り、子供たちに見守られながら新たな関係の第一歩を踏み出します。
解説
『素晴らしき日』は、1990年代のロマンティック・コメディの典型でありながら、現代的なテーマを取り入れた作品です。シングルペアレントの生活や仕事と家庭の両立という、現実的な課題をユーモアと温かさで描き、観客に共感を呼びます。本作の魅力は、ミシェル・ファイファーとジョージ・クルーニーのケミストリーにあります。二人の軽快な掛け合いと、対立から愛情へと変化する関係性は、伝統的なロマコメの枠組みに新鮮さをもたらしています。監督のマイケル・ホフマンは、ニューヨークの喧騒を背景に、日常の小さな出来事の中に幸せを見出すストーリーを丁寧に演出しました。脚本は、プロデューサーのリンダ・オブストの実体験を基に、エレン・サイモンとテレル・セルツァーが執筆。携帯電話の取り違えという現代的な要素を巧みに取り入れ、物語にコミカルなひねりを加えています。音楽はジェームズ・ニュートン・ハワードが担当し、シフォンズの「One Fine Day」をはじめとするキャッチーな楽曲が、作品の軽快な雰囲気を高めます。子役のメイ・ホイットマンとアレックス・D・リンツも、愛らしい演技で物語に温かみを加え、家族の絆を強調しています。本作は、第69回アカデミー賞と第54回ゴールデングローブ賞で主題歌賞にノミネートされるなど、一定の評価を受けました。批評家からは「50年代ハリウッドの小粋なラブストーリーを彷彿とさせる」との声もあり、現代とクラシックの融合が成功した作品と言えるでしょう。
一方で、ご都合主義的な展開や典型的なロマコメの枠組みに対する批判もありますが、全体として心温まるエンターテインメントとして多くの観客に愛されています。ニューヨークの街並みや、忙しい現代人の生活をリアルに描いた点も、作品の魅力の一つです。
キャスト
- ミシェル・ファイファー:メラニー・パーカー(売れっ子建築家、シングルマザー)
- ジョージ・クルーニー:ジャック・テイラー(新聞コラムニスト、シングルファーザー)
- メイ・ホイットマン:マギー・テイラー(ジャックの娘)
- アレックス・D・リンツ:サミー・パーカー(メラニーの息子)
- チャールズ・ダーニング:ルー(ジャックのデスク)
- エレン・グリーン:エレイン・リーバーマン(清掃局長の夫人)
- シーラ・ケリー:クリステン(ジャックの元妻)
- バリー・キヴェル:イェーツSr.
- マイケル・マッシー:エディ(メラニーの元夫)
- アマンダ・ピート:セリア(ジャックの同僚)
- ホランド・テイラー:リタ(メラニーの母親)
- ジョン・ロビン・ベイツ:イェーツJr.
- ジョー・グリファシ:マニー・フェルドスタイン
- ピート・ハミル:フランク・バロウズ
スタッフ
- 監督:マイケル・ホフマン
- 製作:リンダ・オブスト
- 製作総指揮:ケイト・グインズバーグ、ミシェル・ファイファー
- 脚本:テレル・セルツァー、エレン・サイモン
- 撮影:オリヴァー・ステイプルトン
- 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
- 編集:ガース・クレイヴン
- 美術:デヴィッド・グロップマン
- 衣装デザイン:スージー・デ・サント
- 字幕翻訳:松浦美奈
- 吹替翻訳:高山美香
レビュー 作品の感想や女優への思い