マーベル映画『ブラック・ウィドウ』(2021年・米国)は、ナターシャ・ロマノフの過去と現在を描くアクション・ドラマ・SF。家族との再会と暗い過去の清算を迫られる彼女の戦いを描く。出演女優に、スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズ、オルガ・キュリレンコら。
基本情報
- ブラック・ウィドウ(2021)
Black Widow
上映日:2021年07月08日
製作国・地域:アメリカ
上映時間:133分
ジャンル:アクション、ドラマ、SF
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
あらすじ
『ブラック・ウィドウ』は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の人気キャラクター、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの単独映画です。物語は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)の直後から始まり、ナターシャがアベンジャーズの分裂後、逃亡者として身を隠しているところから展開します。彼女は過去の未解決の出来事と向き合うため、ロシアへと向かいます。そこで、かつての「家族」であるエレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)、メリーナ・ヴォストコフ(レイチェル・ワイズ)、アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)と再会します。彼らは、ナターシャが幼少期にスパイとして育てられた「レッドルーム」の一員であり、家族として潜入任務を共にした過去を持っています。
ナターシャは、レッドルームの黒幕であるドレイコフ(レイ・ウィンストン)とその右腕タスクマスター(オルガ・キュリレンコ)に立ち向かいます。レッドルームは、若い女性を洗脳し、無慈悲な暗殺者に仕立て上げる秘密組織です。ナターシャは、自身の過去と向き合いながら、仲間たちと共にレッドルームを壊滅させるための壮絶な戦いに身を投じます。物語は、アクションとドラマが織り交ぜられ、ナターシャの人間性や犠牲の精神が強調される展開となっています。
解説
『ブラック・ウィドウ』は、MCUのフェーズ4の幕開けを飾る作品として、ナターシャ・ロマノフのキャラクターに深みを与える重要な映画です。これまでのMCU作品では脇役として描かれていたナターシャの過去や内面に焦点を当て、彼女の出自やレッドルームでの過酷な訓練、家族との擬似的な絆が描かれます。アクションシーンは、MCUらしい大規模な爆破や空中戦、格闘戦がふんだんに盛り込まれ、特に終盤のレッドルームの崩壊シーンは視覚的に圧倒的です。
本作のテーマは「家族」と「贖罪」です。ナターシャは、過去の罪やレッドルームでの過ちと向き合い、未来のために戦う姿が描かれます。エレーナとの姉妹のような関係や、メリーナ、アレクセイとの擬似家族の再構築は、観客に感情的な共鳴を与えます。また、女性キャラクターが主導する物語として、フェミニズムの視点も取り入れられ、女性の自立や絆が強調されています。
監督のケイト・ショートランドは、アクションとドラマのバランスを重視し、ナターシャの人間性を丁寧に描き出しました。音楽はラロ・シフリンが担当し、緊張感ある戦闘シーンと感情的なシーンを効果的に引き立てています。撮影はガブリエル・ベリスタインによるもので、ロシアや東欧の風景を活かしたビジュアルが物語に深みを加えています。
女優の活躍
本作の主演であるスカーレット・ヨハンソンは、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ役をMCUシリーズ開始以来演じ続けており、本作では彼女の集大成とも言える演技を見せています。ナターシャのタフでクールな一面と、過去のトラウマや家族への複雑な感情を抱える人間的な側面を巧みに表現。特に、アクションシーンでは、ヨハンソンの身体能力とスタントの融合が見事で、格闘技や銃撃戦、爆発シーンでの迫真の演技が光ります。彼女は本作の製作総指揮も務め、キャラクターの深みを出すことに尽力しました。
フローレンス・ピュー演じるエレーナ・ベロワは、ナターシャの「妹」として登場し、若々しくも皮肉屋なキャラクターで観客を魅了します。ピューの演技はユーモアと感情のバランスが絶妙で、特にナターシャとの掛け合いは本作の大きな見どころです。彼女のアクションシーンもダイナミックで、特に白いスーツを着た戦闘シーンは印象的です。ピューは本作で一躍注目を集め、MCUの次世代を担う女優としての地位を確立しました。
レイチェル・ワイズはメリーナ・ヴォストコフ役で、知性と母性を兼ね備えた科学者を演じます。ワイズの落ち着いた演技は、家族の絆を再構築するシーンで特に際立ち、ナターシャとの心の交流を繊細に表現しています。彼女のアクションシーンは控えめながら、物語の鍵を握る重要な役割を果たしています。
女優の衣装・化粧・髪型
スカーレット・ヨハンソン(ナターシャ・ロマノフ)
ナターシャ・ロマノフの衣装は、ブラック・ウィドウとしてのアイコニックな黒のタクティカルスーツが中心です。スーツは機能的で動きやすく、タイトなデザインが彼女の強さと美しさを強調。映画の後半では、白いスーツが登場し、雪国の環境に合わせたデザインが新鮮です。化粧は控えめで、ナチュラルなベースに赤みがかったリップがアクセント。髪型は、赤毛のショートカットからブロンドのミディアムヘアに変化し、逃亡中のナターシャの心情を反映しています。
フローレンス・ピュー(エレーナ・ベロワ)
エレーナの衣装は、黒のタクティカルスーツに加え、白いスーツが特徴的です。特に白いスーツは、ベストやポケットが多数付いた実用的なデザインで、彼女の若さと実戦的な性格を表現。化粧はナターシャ同様ナチュラルで、戦闘時の汗や汚れがリアルさを加えます。髪型はブロンドのポニーテールや編み込みで、アクションシーンでの動きやすさを優先したスタイルです。
レイチェル・ワイズ(メリーナ・ヴォストコフ)
メリーナの衣装は、科学者らしいカジュアルなジャンプスーツやコートが中心。落ち着いた色合いが彼女の知的な雰囲気を引き立てます。化粧はほぼスッピンに近く、ナチュラルで年齢を重ねた美しさが際立ちます。髪型はダークブラウンのロングヘアをシンプルにまとめ、母性と知性を表現しています。
キャスト
- スカーレット・ヨハンソン:ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
- フローレンス・ピュー:エレーナ・ベロワ
- レイチェル・ワイズ:メリーナ・ヴォストコフ
- デヴィッド・ハーバー:アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン
- レイ・ウィンストン:ドレイコフ
- オルガ・キュリレンコ:タスクマスター
- ウィリアム・ハート:サディアス・ロス
スタッフ
- 監督:ケイト・ショートランド
- 脚本:エリック・ピアソン
- 原案:ジャック・シェイファー、ネッド・ベンソン
- 製作:ケヴィン・ファイギ
- 製作総指揮:スカーレット・ヨハンソン、ルイス・デスポジートほか
- 音楽:ラロ・シフリン
- 撮影:ガブリエル・ベリスタイン
- 編集:リー・フォークナー、マシュー・シュミット
- 美術:チャールズ・ウッド
- 衣装:ジェイソン・ラモス
以上が『ブラック・ウィドウ』(2021年)の詳細な解説です。本作は、ナターシャ・ロマノフの物語を締めくくる感動的な作品であり、アクションとドラマの融合が見事に実現されています。スカーレット・ヨハンソンやフローレンス・ピューの演技、印象的な衣装やビジュアルも必見です。
レビュー 作品の感想や女優への思い