カトリーナ・バルフ(Caitriona Balfe)はアイルランド出身の女優・元ファッションモデル。1979年10月4日ダブリン生まれ。18歳でモデルとしてデビューし、シャネルやルイ・ヴィトンなどのブランドで活躍。2009年に女優へ転向し、『アウトランダー』(2014年~)でクレア役を演じ、ゴールデングローブ賞に4度ノミネート。映画『フォードvsフェラーリ』や『ベルファスト』でも評価され、多彩なキャリアを築いている。
プロフィール
- 名前:カトリーナ・バルフ(Caitriona Balfe)
- 生年月日:1979年10月4日(46歳)
- 出生地:アイルランド、ダブリン県ダブリン
- 職業:ファッションモデル・女優
- 活動期間:2006年~
生い立ち・教育
カトリーナ・メアリー・バルフは、1979年10月4日にアイルランドの首都ダブリンでこの世に生を受けました。彼女の幼少期は、モナハン県の小さな村タイダヴネットの外れで過ごすものでした。この静かな田舎町は、緑豊かな風景に囲まれ、穏やかな日常が続く場所でした。バルフ家は大家族で、彼女は5人の兄弟姉妹の4番目として育ちました。さらに両親は後に2人の養子を迎え入れ、総勢7人の賑やかな家庭を形成していました。
父親はガルダ(アイルランド国家警察)の軍曹として勤務しており、厳格ながらも温かく家族を支える存在でした。母親は家庭を守る良きパートナーとして、子供たちに愛情を注ぎました。こうした環境の中で、バルフは幼い頃から想像力豊かな遊びを楽しむ少女でした。家族の絆は強く、兄弟たちとの思い出は彼女の人生に深い影響を与えています。例えば、村の近辺を駆け回る冒険や、家族での集まりでの語らいが、彼女の創造性を育んだのです。
教育面では、バルフはダブリン工科大学(Dublin Institute of Technology)で演劇を専攻しました。この選択は、彼女の内なる情熱を反映したものです。大学時代は、演技の基礎を学び、舞台上で自分を表現する喜びを知りました。しかし、運命は彼女に別の道を示しました。18歳の頃、地元のショッピングセンターでチャリティ活動のための募金集めをしている最中、エージェントの目に留まり、ファッションモデルの世界への扉が開かれたのです。この出来事は、彼女の人生を大きく変えるきっかけとなりました。大学での学びは中断されましたが、演劇への夢は心の奥底に残り続け、後年の女優転向の原動力となりました。
こうして生い立ちの中で、バルフはアイルランドの伝統的な価値観と、芸術への強い渇望を身につけました。家族の支えと自身の好奇心が、彼女を国際的な舞台へと導いていったのです。
経歴
カトリーナ・バルフの経歴は、ファッションモデルとしての華やかなスタートから、女優としての確固たる地位の確立へと移行する、魅力的な物語です。まず、モデル時代について詳しく振り返ってみましょう。1999年、19歳の彼女はパリに移住し、フォード・モデルズの傘下でキャリアを始めました。瞬く間に注目を集め、シャネル、ジバンシィ、ドルチェ&ガッバーナ、モスキーノ、アルベルタ・フェレッティ、ルイ・ヴィトンといった一流ブランドのファッションショーでオープニングやクロージングを飾るようになりました。わずか3年間で250回以上のランウェイを歩き、キャリアの絶頂期には、世界で最も需要の高い20人のモデルの一人に数えられました。
彼女のモデル活動は、ニューヨーク、パリ、ロンドン、ミラノ、ハンブルク、東京と、世界中のファッションの中心地を舞台に繰り広げられました。広告キャンペーンでは、カルバン・クライン、リーバイス、ヴィクトリアズ・シークレット、H&M、オスカー・デ・ラ・レンタなど、多様なブランドの顔として活躍。ヴォーグやエルなどの著名雑誌の表紙を飾り、2002年から2004年のシーズンでは、年間70回以上ものショーに出演するほどの多忙ぶりでした。しかし、この華々しい世界の裏側には、支払いの遅延やエージェンシーの破産といった厳しい現実もありました。例えば、2002-2003年のミラノでの仕事で報酬未払いのトラブルが発生し、彼女はモデル・アライアンスの設立に間接的に寄与する経験をしました。それでも、バルフはこの時期を「情熱を注げない仕事」と振り返りつつ、自身の成長の糧としたのです。
2009年、モデル業から足を洗ったバルフは、夢だった演技の世界へ本格的に踏み出しました。ロサンゼルスに移住し、Warner Loughlin Studios、Sanford Meisner Center、Judith Weston Studiosで1年半にわたり演技レッスンに没頭。初期の出演作は、2006年の『プラダを着た悪魔』での端役(クレジットなし)でしたが、転向後は急速にキャリアを積み重ねました。2011年の『SUPER8/スーパーエイト』で主人公の母親役を演じ、J.J.エイブラムス監督の目に留まりました。続いて2013年には、『グランド・イリュージョン』でマイケル・ケインの妻役、『大脱出』でCIAの弁護士役を務め、シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーと共演。ウェブシリーズ『The Beauty Inside』(2012年)ではアレックス#34役で注目を集め、『H+: The Digital Series』(2012-2013年)でバイオテクノロジー企業の幹部役を熱演しました。また、Bonoboの「First Fires」やPhoenixの「Chloroform」(ソフィア・コッポラ監督)のミュージックビデオにも出演し、多角的な表現力を発揮しました。
真のブレイクは、2013年のキャスティングで訪れました。Starzの歴史ドラマ『アウトランダー』で、クレア・ボーチャンプ・ランダル・フレイザー役に抜擢されたのです。2014年のプレミア以降、20世紀の看護師が18世紀スコットランドへタイムスリップする物語で、彼女の演技は批評家から絶賛を浴びました。ヴァニティ・フェアの批評家は「活発で勇ましいヒロインを体現」と評価し、ハリウッド・リポーターは「陰影を与える素晴らしい女優」と称賛。エンターテインメント・ウィークリーのブレイクアウトスターに選ばれ、BBCアメリカのウーマン・オブ・ザ・イヤーにも輝きました。サターン賞主演女優賞を2度、Scottish BAFTA賞、Irish IFTA賞を受賞し、ゴールデングローブ賞に4度ノミネートされる快挙を達成。現在もシリーズのエグゼクティブ・プロデューサー兼監督としても活躍し、2025年のシーズン8で完結予定です。
映画分野でも、2016年の『マネーモンスター』(ジョディ・フォスター監督)でPR責任者役を演じ、ジョージ・クルーニーやジュリア・ロバーツと肩を並べました。2019年の『フォードvsフェラーリ』ではケン・マイルズの妻モリー役でIrish IFTA助演女優賞にノミネートされ、アカデミー作品賞ノミネートの快作に貢献。Netflixの『ダーククリスタル: エイジ・オブ・レジスタンス』(2019年)では声優としてターヴラ役を務めました。2021年の『ベルファスト』(ケネス・ブラナ監督)で母親役を演じ、ゴールデングローブ賞、SAG賞、BAFTA賞、Critics’ Choice賞の助演女優部門にノミネート。アカデミー作品賞ノミネートの感動作で、控えめながら深い感情表現が光りました。2022年にはアカデミー会員に加入し、業界での地位を確立しています。
今後の予定として、2025年の『The Amateur』(20世紀スタジオ)でインクイライン・デイヴィス役、『Tenzing』(Apple Original Films)でジル・ヘンダーソン役、『Sense and Sensibility』(Focus Features)でミセス・ダッシュウッド役が控えています。これらの作品を通じて、バルフの多才さがさらに発揮されるでしょう。彼女の経歴は、モデルから女優への転身という大胆な決断が、忍耐と情熱によって実を結んだ好例です。
私生活
カトリーナ・バルフの私生活は、プロフェッショナルなキャリアの裏側で、静かで温かな幸福に満ちています。長年ロサンゼルスやニューヨーク、パリ、ロンドン、ミラノ、ハンブルク、東京を転々としていましたが、現在はロンドンを主な居住地とし、『アウトランダー』の撮影のためグラスゴーにも頻繁に滞在しています。こうした移動の多い生活の中で、彼女はアイルランド語に堪能で、フランス語も会話レベルで操ります。幼少期に学んだアイルランド語は、故郷へのルーツを象徴する大切な一部です。
恋愛面では、2019年6月26日に長年の恋人、アンソニー「トニー」・マクギルと婚約を発表しました。トニーは元バンドマネージャー兼ビジネスマンで、音楽業界での経験が豊富です。二人は2013年頃に知り合い、互いのキャリアを尊重し合うパートナーシップを築きました。結婚式は同年8月10日、イングランド・ソマセット州のセント・メアリーズ教会で執り行われ、親しい友人や家族に囲まれた親密なセレモニーでした。バルフはインタビューで、「トニーは私の支えであり、共に成長できる存在」と語り、穏やかな愛情を表現しています。
2021年8月18日、夫妻は第一子となる男児の誕生を喜びの声で発表しました。子育ては彼女の人生に新たな喜びをもたらし、『アウトランダー』の撮影中も家族との時間を大切にしています。プライベートを公にしない姿勢を保ちつつ、SNSで時折温かな家族のエピソードを共有します。また、宗教については「制度化されたものは離れたが、スピリチュアルで宇宙の善を信じる」と述べ、独自の信仰心を持っています。
慈善活動にも積極的で、2014年からWorld Child Cancerのパトロンとして、ガーナの施設訪問やロンドンマラソン完走(2018年、4万1000ドル調達)で貢献。『アウトランダー』ファンによるProject CaiTREEna(2020年開始、2024年までに21万7000本以上の植樹)や、自身のジン「Forget Me Not」(2020年発売、売上25%を芸術支援に)を通じ、社会還元を続けています。難民支援のChooseLoveや環境保護にも寄付し、多面的な人間性を示しています。こうした私生活は、バルフの謙虚さと優しさを物語るものです。
出演作品
映画
公開年 | 題名 | 配役 |
---|---|---|
2025 | アマチュア | インクワライン |
2024 | The Cut | Caitlin Harney |
2021 | ベルファスト | マー |
2019 | フォードvsフェラーリ | モリー・マイルズ |
2016 | マネーモンスター | ダイアン・レスター |
2015 | The Price of Desire | ガブリエル・ブロック |
2013 | Crush | アンディ |
2013 | グランド・イリュージョン | ジャスミン・トレスラー |
2013 | 大脱出 | ジェシカ・ミラー |
2012 | The Wolf | サリー |
2012 | Lost Angeles | ヴェロニク |
2011 | SUPER8/スーパーエイト | エリザベス・ラム |
2011 | Lust Life | オーブリー |
2009 | Picture Me | 本人役 |
2009 | A Herculean Effort | エミリー |
2006 | プラダを着た悪魔 | Clacker |
TV・ウェブ
放送年 | 題名 | 配役 |
---|---|---|
2019 | ダーククリスタル: エイジ・オブ・レジスタンス | タヴラ |
2014 – | アウトランダー | クレア・ビーチャム・ランダル・フレイザー |
2012 – 2013 | H+ デジタルシリーズ | ブレナ・シーハン |
2012 | The Beauty Inside | アレックス #34 |
2010 | The Model Scouts | 本人役 |
レビュー 作品の感想や女優への思い