2023年製作の映画『ターゲット 出品者は殺人鬼』（原題：타겟）はシン・ヘソン主演の韓国製サスペンス・スリラー。新居に越したスヒョンがフリマアプリで購入した洗濯機が壊れ、詐欺に気づく。警察の対応が遅く、自ら出品者に連絡するが、怒りのメッセージを送った後、恐怖の連鎖が始まる。以下では女優の活躍、女優の衣装・化粧・髪型、あらすじ、解説、キャスト、スタッフを説明。
基本情報
- 邦題：ターゲット 出品者は殺人鬼
- 原題：타겟
- 英題：Don’t Buy the Seller
- 公開年：2024年
- 製作国：韓国
- 上映時間：101分
- ジャンル：スリラー
- 配給：TCエンタテインメント
見どころ
社会問題となっている中古品取引詐欺に焦点を当て、誰にでも起こり得るリアルな恐怖を描き出す。シン・ヘソン、キム・ソンギュンら実力派俳優たちの熱演に引き込まれる。
あらすじ
新居に引っ越した設計事務所勤務のOL、カン・スヒョン（シン・ヘソン）は、経済的な理由からフリマアプリで中古の洗濯機を購入する。しかし、届いた洗濯機は故障しており、詐欺に遭ったことに気づく。警察に相談するが、捜査には時間がかかると告げられ、苛立ったスヒョンは自ら出品者のアカウントを追跡し、返金を要求するメッセージを送る。出品者は応じず、感情的になったスヒョンは怒りに満ちたメッセージを送信してしまう。
その直後、スヒョンの身の回りで不可解な出来事が頻発する。奇妙な電話や不審な人物の気配に悩まされ、恐怖を感じ始めた彼女は再び警察に助けを求める。刑事キム・ヨンジュ（キム・ソンギュン）を中心に捜査が始まり、出品者の住所を突き止めて訪問するが、そこには予想を遥かに超える恐ろしい事実が待ち受けていた。出品者の正体とその異常な動機が明らかになるにつれ、スヒョンは命の危険に晒される。彼女の勇気と機転、そして刑事たちの執念が、事件の真相に迫っていく。
解説
『ターゲット 出品者は殺人鬼』は、現代社会におけるオンライン取引の危険性を題材にしたサスペンススリラーです。フリマアプリという身近なプラットフォームを通じて、日常に潜む恐怖を描き、観客にリアリティと緊張感を与えます。韓国映画特有の容赦ない展開と、緻密な心理描写が特徴で、主人公スヒョンの感情の起伏や恐怖が観客に強く共感を呼びます。
監督のパク・ヒゴンは、『仁寺洞スキャンダル ～神の手を持つ男～』や『風水師 王の運命を決めた男』で知られるベテランで、本作でも安定した演出力を発揮。特に、日常のシーンから徐々に不穏な雰囲気を構築し、クライマックスでの衝撃的な展開へと導く手腕は見事です。脚本は、現代人のオンライン依存や衝動的な行動が招く結果を巧みに織り交ぜ、社会的なメッセージも込めています。
本作のテーマは、テクノロジーの進化がもたらす光と影。特に、匿名性が高いオンライン取引の裏に潜むリスクを浮き彫りにし、観客に「自分もターゲットになるかもしれない」という不安を植え付けます。また、主人公のスヒョンが単なる被害者ではなく、自らの行動で状況を打破しようとする姿は、現代女性の自立心や強さを象徴しており、共感を集めます。
映像面では、ソウルの都市風景やスヒョンのアパートの閉鎖的な空間を効果的に使い、緊張感を高めています。音響デザインも秀逸で、不気味な効果音や沈黙の使い方が、観客の不安を煽ります。全体として、韓国サスペンス映画のクオリティを維持しつつ、身近な題材で新鮮な恐怖を提供する作品と言えるでしょう。
女優の活躍
『ターゲット 出品者は殺人鬼』の主演を務めるシン・ヘソンは、主人公カン・スヒョンを演じ、その演技力で作品
の緊張感と感情の深みを大きく引き立てています。シン・ヘソンは、『潔白』（2020年）やドラマ『哲仁王后 ～俺がクイーン!?～』（2020年）で知られる実力派女優で、幅広い役柄をこなす才能が評価されています。本作では、平凡なOLから恐怖に立ち向かう強い女性へと変貌するスヒョンを、細やかな表情と体の動きで表現。序盤の日常的な不満や苛立ち、中盤の恐怖と混乱、そして終盤の決意と勇気を、段階的に見事に演じ分けています。
特に印象的なのは、スヒョンが詐欺に気づき、出品者と対峙するシーン。シン・ヘソンは、怒りと恐怖が交錯する複雑な感情を、声の震えや目の動きでリアルに伝え、観客を引き込みます。また、クライマックスのアクションシーンでは、身体的な強さだけでなく、精神的なタフさも表現し、単なる被害者ではないスヒョンの魅力を強調。彼女の演技は、物語のリアリティを支える柱であり、批評家からも高い評価を受けています。
共演のイ・ジュヨンも、脇役ながら重要な存在感を示します。スヒョンの先輩役として登場し、フリマアプリを勧めるキャラクターを自然体で演じ、物語の序盤に日常感を加えています。イ・ジュヨンは、『梨泰院クラス』（2020年）や『野球少女』（2019年）で注目を集めた若手女優で、本作でも短い出演時間の中で印象を残しています。
女優の衣装・化粧・髪型
シン・ヘソンの衣装は、スヒョンの職業や生活環境を反映した現実的なデザインが特徴です。設計事務所のOLとして、物語の序盤ではベージュやグレーといった落ち着いた色調のブラウスやスラックスを着用。シンプルながらも洗練されたスタイルは、現代の働く女性像を象徴しています。現場での施工管理業務を考慮し、動きやすいローファーやカジュアルなジャケットも登場し、機能性とファッション性を両立させています。
物語が進むにつれ、スヒョンが恐怖に追い詰められる展開では、衣装も変化。乱れたシャツや汗で濡れたトップスが、彼女の心理状態を視覚的に表現します。クライマックスでは、動きやすさを重視したダークトーンのカジュアルな服装にシフトし、アクションシーンでのダイナミズムを強調。全体的に、衣装はスヒョンの感情や状況の変化を補強する役割を果たしています。
化粧は、ナチュラルメイクが基本。序盤では、薄いファンデーションと控えめなリップで、日常的なOLの雰囲気を演出。恐怖のシーンでは、汗や涙でメイクが崩れる様子がリアルに描かれ、シン・ヘソンの感情表現をさらに引き立てます。髪型は、ショートボブをベースに、仕事ではシンプルにまとめ、プライベートでは軽くウェーブをかけたスタイル。物語の後半では、乱れた髪がスヒョンの追い詰められた状況を象徴し、視覚的なインパクトを与えます。
イ・ジュヨンの衣装は、カジュアルで親しみやすいスタイル。明るい色のニットやデニムを着用し、先輩らしいリラックスした雰囲気を演出。化粧はナチュラルで、髪はミディアムレングスのストレートヘア。彼女の登場シーンは短いものの、衣装とメイクがスヒョンとの対比を生み、物語に奥行きを加えています。
キャスト
- カン・スヒョン役：シン・ヘソン…主人公。設計事務所のOLで、フリマアプリでの詐欺をきっかけに恐怖に巻き込まれる。シン・ヘソンの繊細かつ力強い演技が光る。
- キム・ヨンジュ役：キム・ソンギュン…スヒョンを助ける刑事。『ムービング』（2023年）などで知られるベテラン俳優が、冷静で人間味ある役を好演。
- 特別出演：カン・テオ…物語の鍵を握る人物として登場。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』（2022年）で人気の若手俳優が、短い出演で強い印象を残す。
- 先輩役：イ・ジュヨン…スヒョンにフリマアプリを勧める先輩。『梨泰院クラス』（2020年）の演技で注目を集める女優。
- その他：イム・チョルス…脇役として物語を支える。
スタッフ
- 監督・脚本：パク・ヒゴン…『仁寺洞スキャンダル ～神の手を持つ男～』（2009年）、『風水師 王の運命を決めた男』（2018年）の監督。緻密な演出と社会派テーマの融合が得意。
- 製作：PLUS M ENTERTAINMENT、STUDIO PIEONA…韓国映画界で実績ある制作会社が、クオリティの高い映像を提供。
- 配給（日本）：TCエンタテインメント…日本での公開を担当。シネマート新宿・心斎橋などで上映。
- 撮影監督：未公開情報…ソウルの都市感と閉鎖的な室内を効果的に捉えた撮影が特徴。
- 音楽：未公開情報…緊張感を高める不気味なサウンドトラックが、物語を盛り上げる。
総括
『ターゲット 出品者は殺人鬼』は、フリマアプリという身近な題材を軸に、現代社会の闇と人間の感情を描いたサスペンススリラーです。シン・ヘソンの卓越した演技、リアルで機能的な衣装・メイク、パク・ヒゴン監督の確かな演出が融合し、観客に緊張と共感を提供します。キャスト・スタッフの高いクオリティと、社会的メッセージが込められた脚本は、韓国映画の魅力を存分に味わえる作品に仕上げています。オンライン取引が日常化した現代だからこそ、誰もが感じるリアリティと恐怖が、本作の最大の魅力です。
レビュー 作品の感想や女優への思い