『ロングレッグス』(2024年)は、ニコラス・ケイジがシリアルキラーを演じるホラースリラー。FBI捜査官リー・ハーカーが未解決の連続殺人事件を追う。オカルトとサスペンスが交錯し、全米で大ヒットを記録した話題作。
基本情報
- 邦題:ロングレッグス
- 原題:Longlegs
- 公開年:2024年
- 製作国:カナダ、アメリカ
- 上映時間:101分
- ジャンル:ホラー
- 配給:松竹
見どころ
絶叫クイーン、『イット・フォローズ』のマイカ・モンロー主演。ニコラス・ケイジが自身初のシリアルキラー役に挑戦。異様な風貌と常軌を逸した怪演に注目だ。
あらすじ
1990年代のオレゴン州を舞台に、FBIの新人捜査官リー・ハーカー(マイカ・モンロー)は、30年間未解決の連続殺人事件の捜査を任されます。10の事件に共通するのは、父親が家族を皆殺しにした後自殺し、現場に暗号で書かれた「ロングレッグス」という署名入りの手紙が残されている点です。リーは鋭い直感と特殊な能力を駆使し、謎めいた手がかりを頼りに事件の真相に迫ります。捜査が進むにつれ、彼女は犯人「ロングレッグス」(ニコラス・ケイジ)と個人的な繋がりがあることに気づき、オカルト的な要素や悪魔崇拝が絡む複雑な事件の闇に踏み込んでいきます。やがて、リーは自身の過去と向き合い、新たな殺人を阻止するために命がけの戦いに挑むのです。
解説
『ロングレッグス』は、ホラーとサスペンスを融合させた作品で、監督オズグッド・パーキンスの独特な映像美と心理的な恐怖描写が際立ちます。1990年代のレトロな雰囲気、暗号やオカルト要素、そして家族の崩壊を描くテーマが、観客に深い不安感を与えます。本作は、単なるホラー映画を超え、心理的なトラウマや人間のコントロール不能な恐怖を探求する「ポストホラー」の一作として評価されています。ニコラス・ケイジの怪演とマイカ・モンローの繊細な演技が対比をなし、物語に緊張感をもたらします。パーキンス監督の父親であるアンソニー・パーキンス(『サイコ』のノーマン・ベイツ役)の影響や、監督自身の家族の秘密が脚本に反映されており、個人的なテーマが作品に深みを与えています。全米で興行収入1億2500万ドルを記録し、配給会社NEONの史上最高興収作品となりました。
女優の活躍
主演のマイカ・モンローは、FBI捜査官リー・ハーカー役で本作の中心を担います。『イット・フォローズ』(2015年)で「絶叫クイーン」として知られる彼女ですが、本作では悲鳴を抑えた内面的な演技で新たな一面を見せます。リーは鋭い直感と超常的な能力を持ちながら、自身の過去やトラウマに悩む複雑なキャラクターです。モンローは、感情を押し殺しつつも事件に没頭する姿勢や、恐怖と対峙する微妙な表情を通じて、観客にリーの内面の葛藤を伝えました。しかし、批評家からは、役のキャラ立ちがやや弱く、ニコラス・ケイジとの対峙シーンが少ないため、彼女の持ち味が完全には活かされなかったとの声もあります。それでも、モンローの落ち着いた演技は、物語の暗いトーンに調和し、観客を引き込む力を持っています。
アリシア・ウィットが演じるルス・ハーカー(リーの母親)も重要な役割を果たします。ウィットは、娘との複雑な関係性や、物語の後半で明らかになる衝撃的な事実を、抑制された演技で表現。特に、彼女の口元の動きや表情は、監督の意図した「人形的な」不気味さを体現し、物語の恐怖を増幅させました。ウィットの演技は、観客に深い印象を残し、物語の悲劇性を強調しています。
女優の衣装・化粧・髪型
マイカ・モンロー演じるリー・ハーカーの衣装は、1990年代のFBI捜査官らしい実用的なスタイルが特徴です。ダークトーンのスーツやコート、シンプルなシャツを着用し、プロフェッショナルで真剣な雰囲気を強調。髪型は、ストレートのボブカットで、動きやすく清潔感のある印象を与えます。化粧は最小限で、ナチュラルなメイクが彼女の真面目で内省的なキャラクターを反映。モンローの衣装と外見は、物語の暗い雰囲気と調和し、彼女の感情的な孤立感を視覚的に表現しています。
アリシア・ウィットのルスは、対照的にやや時代遅れで地味な衣装が目立ちます。くすんだ色合いのカーディガンやロングスカートは、彼女の孤独で閉鎖的な生活を象徴。髪型は無造作にまとめられたアップスタイルで、化粧はほとんどなく、疲弊した母親像を強調しています。物語が進むにつれ、彼女の外見が持つ不気味さが、キャラクターの裏に隠された秘密を暗示します。
キャスト
- マイカ・モンロー(リー・ハーカー役):新人FBI捜査官。鋭い直感で事件を追う。
- ニコラス・ケイジ(ロングレッグス/デール・フェルディナンド・コブブル役):シリアルキラー。異様なメイクと怪演で恐怖を煽る。製作も兼任。
- ブレア・アンダーウッド(ウィリアム・カーター役):リーの上司で、捜査を支えるFBI捜査官。
- アリシア・ウィット(ルス・ハーカー役):リーの母親。物語の鍵を握る。
- キーナン・シプカ(キャリー・アン・カメラ役):事件の生存者で、物語に深く関わる。
- ローレン・アカラ(幼少期のリー・ハーカー役):過去のシーンで登場。
スタッフ
- 監督・脚本:オズグッド・パーキンス。『フェブラリィ -悪霊館-』などの作品で知られ、独特のホラー演出が特徴。父親は『サイコ』のアンソニー・パーキンス。
- 製作:ニコラス・ケイジ(Saturn Films)、ダン・クレイビル、ブライアン・カバナー=ジョーンズ他。
- 撮影:アンドレス・アロ。
- 音楽:ザイナー(エルビス・パーキンス)。不穏な雰囲気を高めるスコア。
- 編集:グレッグ・ン、グラハム・フォルティン。
- 配給:NEON(北米)、松竹(日本)。
総括
『ロングレッグス』は、ニコラス・ケイジの強烈な怪演とマイカ・モンローの繊細な演技が織りなす、オカルトとサスペンスが融合したホラー・スリラー。オズグッド・パーキンスの演出は、視覚的な美しさと心理的な恐怖を巧みに組み合わせ、観客に忘れがたい体験を提供します。女優たちの衣装や外見は、キャラクターの内面や物語の雰囲気を効果的に反映。興行的な成功と批評家の称賛を受け、2024年のホラー映画の金字塔として語り継がれるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い