『マエストロ:その音楽と愛と』は2023年に公開された米国映画。アメリカを代表する世界的指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインと、女優でピアニストの妻フェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインが歩んだ紆余曲折に満ちた人生を描いています。ブラッドリー・クーパーが監督と主演を務め、妻フェリシアをキャリー・マリガンが演じます。音楽と愛の物語が、壮大なスケールで展開されます。
基本情報
- 邦題:マエストロ:その音楽と愛と
- 原題:Maestro
- 公開年:2023年
- 製作国・地域:アメリカ
- 上映時間:129分
- ジャンル:ドラマ、音楽、伝記
女優の活躍
映画『マエストロ:その音楽と愛と』でフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインを演じるキャリー・マリガンは、夫婦の複雑な関係性を繊細に表現しています。彼女の演技は、夫の成功を支えながらも内面的な葛藤を抱える女性の姿を深く掘り下げ、観客に強い印象を与えます。特に、夫婦の会話シーンでは、微妙な感情の揺らぎを自然に体現し、批評家から高い評価を受けています。
キャリー・マリガンは、フェリシアの多面的なキャラクターを活き活きと描き出します。女優としてのキャリアを諦め、家族を優先する選択や、病との闘いを演じる場面では、静かな強さと脆弱さを同時に表現します。この役柄を通じて、彼女はアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞でも最優秀主演女優賞に輝く可能性を秘めています。夫レナードとの対比が、彼女の活躍をさらに際立たせます。
さらに、キャリー・マリガンのパフォーマンスは、時代を跨ぐフェリシアの変化を丁寧に追います。若い頃の情熱的な恋愛から、成熟した夫婦の絆まで、彼女の演技は一貫してリアリティに満ちています。監督のブラッドリー・クーパーとの化学反応も抜群で、夫婦の愛と葛藤をリアルに再現します。
本作でキャリー・マリガンはアカデミー賞主演女優賞などに3度目のノミネートを果たしました。この活躍は、彼女のキャリアにおいて新たなマイルストーンとなります。
女優の衣装・化粧・髪型
キャリー・マリガンが演じるフェリシアの衣装は、時代ごとのスタイルを反映し、デザイナーのマーク・ブリッジスが手掛けています。1940年代から1970年代にかけての変化が顕著で、初期の黒白シーンではシンプルでエレガントなドレスが用いられ、フィルム撮影に適した素材を選んでいます。特に、青いドラマチックなドレスは、フェリシアが夫の成功を見守る場面で印象的です。
化粧は、年齢の変遷を表現するためにプロスセティックスを活用しています。24歳の若々しい姿から56歳の成熟した外見まで、特殊メイクのアーティストであるシアン・グリッグとダンカン・ジャーマンが担当します。若い頃はナチュラルでフレッシュなメイク、老年期にはシワや肌の質感をリアルに再現し、キャリー・マリガンを全く違う人物のように変身させます。このメイクは、彼女の妊娠時にも影響を与え、医師を混乱させるほどのリアリティです。
髪型もフェリシアの人生のステージごとに進化します。1940年代の若い頃はソフトなウェーブやアップスタイルが主流で、1950年代以降はより洗練されたボブやロングヘアに変わります。時代ごとのトレンドを取り入れつつ、フェリシアの実在の写真を参考にし、キャリー・マリガンの自然な魅力を引き出しています。この髪型の変化は、彼女の内面的成長を視覚的に強調します。
全体として、衣装・化粧・髪型はフェリシアの多文化的なバックグラウンドを反映します。コスタリカ生まれでチリ育ちの英国教育を受けた彼女の洗練されたスタイルが、シャネル風のスーツやエレガントなアクセサリーで表現され、キャリー・マリガンの演技を補完します。これらの要素が融合し、フェリシアのキャラクターを立体的に描き出します。
あらすじ
物語は、1943年のレナード・バーンスタインのデビューから始まります。若きレナードは、ニューヨーク・フィルハーモニックの指揮者として急遽登壇し、一夜にしてスターとなります。そこで出会うのが、女優でピアニストのフェリシア・モンテアレグレです。二人はパーティーで意気投合し、恋に落ちますが、レナードの複雑な性的指向が影を落とします。
二人は結婚し、3人の子供をもうけます。レナードのキャリアは順風満帆で、作曲家・指揮者として世界的に活躍します。一方、フェリシアは女優の道を諦め、家族を支えます。しかし、レナードの男性との関係が表面化し、夫婦の絆が試されます。フェリシアは夫の才能を信じ、支え続けますが、内面的な苦しみを抱えます。
1970年代に入り、フェリシアは肺がんを患います。レナードは彼女を献身的に看病し、二人は再び強い絆で結ばれます。フェリシアの死後、レナードは彼女の記憶を胸に、音楽活動を続けます。物語は、二人の愛と音楽が交錯する生涯を、感動的に締めくくります。
全体を通じて、バーンスタインの代表曲が挿入され、音楽が物語を彩ります。夫婦の喜びと悲しみ、成功と挫折が、時代を跨いで描かれます。このあらすじは、愛の複雑さと芸術の力をテーマにしています。
解説
本作『マエストロ:その音楽と愛と』は、ブラッドリー・クーパーの監督第2作目で、レナード・バーンスタインの伝記を妻フェリシアとの関係を中心に描きます。バーンスタインは「ウエスト・サイド物語」の作曲で知られる巨匠ですが、映画は彼の私生活に焦点を当て、バイセクシャルの側面や家族の絆を深掘りします。これにより、単なる伝記ではなく、愛の物語として昇華されます。
クーパーはバーンスタインを演じるために、6年間の準備を費やしました。指揮のトレーニングや鼻のプロテーゼ使用が話題となり、リアルな再現を追求します。一方、キャリー・マリガンのフェリシアは、夫を支える強い女性として描かれ、夫婦のダイナミクスが作品の核心です。製作陣にはマーティン・スコセッシやスティーブン・スピルバーグが名を連ね、豪華な布陣です。
視覚的には、初期の黒白映像からカラーへ移行し、時代感を表現します。音楽はバーンスタインのオリジナル曲を活用し、ロンドン交響楽団の演奏が感動を誘います。アカデミー賞で7部門ノミネートされ、批評家からは演技と演出が高く評価されます。ただし、物語の飛躍的な展開が一部で指摘されます。
テーマとして、芸術家のエゴと家族の犠牲、愛の多様性が挙げられます。バーンスタインの成功の裏側を描き、観客に人生の複雑さを問いかけます。Netflix配信により、世界的にアクセスしやすく、音楽ファンやドラマ爱好者にオススメです。この解説は、作品の芸術性と人間性を強調します。
キャスト
- ブラッドリー・クーパー:レナード・バーンスタイン
- キャリー・マリガン:フェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタイン
- マット・ボマー:デイビッド・オッペンハイム
- マヤ・ホーク:ジェイミー・バーンスタイン
- サラ・シルバーマン:シャーリー・バーンスタイン
- ジョシュ・ハミルトン:ジョン・グラデン
- スコット・エリス:ハリー・クラウス
- ギデオン・グリック:トミー・コイル
- サム・ニボラ:アレクサンダー・バーンスタイン
- アレクサ・スウィントン:ニーナ・バーンスタイン
- ミリアム・ショア:シンシア・オハーン
- マイケル・ユーリー:ジェローム・ロビンス
- ケイト・イーストマン:エレン・アドラー
- サフ・ヒラヤマ:クニコ・カンダ
- ヤシン・ダル:フランク
- ジェニファー・エスポジート:ジェイミーの友人
- ウィリアム・ヒル:スコット
- ザカリー・ブース:ダニエル
- ガブリエル・ファジオ:ウィラード・ザ・ラット
- ブライアン・クラグマン:アーロン・コープランド
スタッフ
- 監督:ブラッドリー・クーパー
- 脚本:ブラッドリー・クーパー、ジョシュ・シンガー
- 製作:マーティン・スコセッシ、ブラッドリー・クーパー、スティーブン・スピルバーグ、フレッド・バーナー、クリスティ・マコスコ・クリーガー、エイミー・ダーニング
- 撮影:マシュー・リバティーク
- 美術:ケビン・トンプソン
- 衣装:マーク・ブリッジス
- 編集:ミシェル・テゾーロ
- 音楽:レナード・バーンスタイン
- 視覚効果監修:ジョン・ベアー
- 特殊メイク:カズ・ヒロ
- 製作総指揮:カーラ・ライジ、カーラ・ラウストン、ジョシュ・シンガー
- キャスティング:シェイナ・マーコウィッツ
- セット装飾:レナ・デアンジェロ
- 音響設計:トム・オザニッチ、スティーブン・モロー
- メイクアップ:シアン・グリッグ
- ヘアスタイリスト:ロリ・マッコイ・ベル
- プロダクションデザイン:ケビン・トンプソン
- 視覚効果:インダストリアル・ライト・アンド・マジック
- 録音:トッド・A・メイトランド
- 助監督:ジェレミー・マークス




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