高麗末期を舞台に、愛と復讐に翻弄される剣士たちの運命を描くアクション時代劇。2015年に韓国で製作されました。イ・ビョンホン主演、チョン・ドヨン、キム・ゴウン共演。壮絶なソードアクションと深い人間ドラマが交錯し、真実と愛の物語が展開。
基本情報
- 邦題:メモリーズ 追憶の剣
- 原題:협녀, 칼의 기억
- 英題:Memories of the Sword
- 公開年:2015年
- 製作国:韓国
- 上映時間:120分
見どころ
イ・ビョンホンを筆頭に、実力派女優、チョン・ドヨン、新人賞を総なめにしたキム・ゴウンらが共演。K-POPアイドル・2PMのジュノ演じる武士の切ない恋にも注目。
女優の活躍
「メモリーズ 追憶の剣」では、チョン・ドヨンとキム・ゴウンという二人の実力派女優が物語の中心を担い、圧倒的な存在感を発揮しています。
チョン・ドヨン(ウォルソ役)
チョン・ドヨンは、盲目の女剣客ウォルソを演じ、深い感情表現とアクションシーンでの卓越した演技で観客を魅了しました。彼女は2007年の「シークレット・サンシャイン」でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した韓国初の女優であり、本作でもその実力を遺憾なく発揮。視覚障がい者の役柄を、目でなく表情や雰囲気で表現し、復讐と愛の間で葛藤するウォルソの複雑な心情を見事に体現しました。特に、剣を振るうシーンでは、スタントなしで挑んだアクションが評価され、力強さと優雅さを兼ね備えた剣さばきが印象的です。インタビューでは、視覚障がい者の役に挑戦した難しさや、感情とアクションの両立に苦労したことを語っており、彼女のプロフェッショナリズムが伺えます。
キム・ゴウン(ホンイ役)
新進気鋭の女優キム・ゴウンは、復讐のために育てられた若き剣客ホンイを演じ、物語の鍵を握る役どころを熱演。デビュー作「ウンギョ 青い蜜」(2012年)で注目を集めた彼女は、本作でアクションに初挑戦し、激しい剣術シーンをこなしながら、ホンイの純粋さと内面の葛藤を繊細に表現しました。アクションシーンの撮影後、感情の起伏が激しい場面にすぐ移行する必要があり、精神的な負荷が大きかったと述べており、撮影の合間には編み物で心を落ち着かせていたというエピソードも明かしています。彼女の明るい笑顔と役柄のギャップが、ホンイの魅力を一層引き立て、観客に強い印象を与えました。
## 女優の衣装・化粧・髪型
チョン・ドヨン(ウォルソ)
ウォルソの衣装は、盲目の剣客としての孤高な雰囲気を強調するシンプルかつ機能的なデザインが特徴です。暗い色調の韓服を基調とし、動きやすさを考慮したゆったりとしたシルエットが採用されました。メイクアップは、ウォルソの内面的な苦しみを反映し、ほぼナチュラルに近い状態で、顔の表情が際立つよう工夫されています。ヘアスタイルは、長い髪を簡素に束ねたスタイルで、戦う剣士としての実用性と、女性らしい柔らかさを両立。視覚障がい者を演じるため、目の表現に頼らず、全体の雰囲気が彼女の感情を伝える重要な要素となりました。
キム・ゴウン(ホンイ)
ホンイの衣装は、若さと活発さを象徴する軽やかな韓服で、アクションシーンに適した動きやすいデザインが特徴。淡い色合いが彼女の純粋さを引き立て、戦闘時には髪を結び上げたスタイルで機敏さを強調。メイクアップは、若々しさと自然体を重視した薄化粧で、戦いの傷や汗で汚れるシーンではリアルな戦士像を表現。ヘアスタイルは、普段は肩に流れる自然な髪型で、アクションシーンでは束ねたスタイルが採用され、彼女のダイナミックな動きを際立たせました。キム・ゴウンは、衣装やメイクを通じて、ホンイの成長と変化を視覚的に表現し、役柄の深みを加えました。
あらすじ
高麗末期、ユベク(イ・ビョンホン)、ウォルソ(チョン・ドヨン)、プンチョン(ペ・スビン)の3人の剣士は、最強と謳われた3本の剣を手に、圧政の世を変えるべく反乱を計画します。しかし、ユベクの裏切りによりプンチョンが命を落とし、計画は失敗。ウォルソはプンチョンの子ホンイ(キム・ゴウン)と共に姿を消します。18年後、ユベクは国内で最も権力を持つ男となり、自身が主催した武術大会で、ウォルソにそっくりな剣さばきの少女ホンイを発見。彼女の正体を探るため、ユベクは右腕の若き武士ユル(ジュノ)と共にホンイを追います。ホンイはウォルソに育てられ、復讐のために剣を握る少女でした。3本の剣が再び交錯する時、隠された真実と愛の物語が明らかに。壮絶な戦いの中で、運命に翻弄される剣士たちのドラマが描かれます。
解説
「メモリーズ 追憶の剣」は、韓国映画らしい壮大なスケールと情感豊かなストーリーが特徴のソードアクション時代劇です。愛と復讐、裏切りと贖罪という普遍的なテーマを、高麗末期の動乱期を背景に描き、剣士たちの運命的な対決を通じて人間の内面を掘り下げます。イ・ビョンホンのカリスマ性とチョン・ドヨン、キム・ゴウンの繊細な演技が、物語に深みを与え、アクションシーンではワイヤーを使ったダイナミックな剣術が視覚的な魅力を加えています。しかし、韓国での興行成績は振るわず、50万人程度の観客動員に留まりました。これは、イ・ビョンホンのプライベートな問題や公開タイミングのずれ、キム・ゴウンの滑舌に関する批判などが影響したとされています。それでも、豪華キャストと美しい映像美は高く評価され、アクションとドラマの融合が好きな観客には見応えのある作品です。
キャスト
- ユベク(ドッキ):イ・ビョンホン。権力を手に入れるため仲間を裏切った剣士。スタントなしで挑んだアクションが話題。
- ウォルソ(ソルラン):チョン・ドヨン。盲目の女剣客。復讐と愛の間で葛藤する複雑な役柄を繊細に演じる。
- ホンイ:キム・ゴウン。復讐のために育てられた若き剣客。アクションと感情表現で成長を見せる。
- ユル:ジュノ(2PM)。ユベクの右腕である若き武士。カリスマ性ある演技で存在感を発揮。
- プンチョン:ペ・スビン。ユベクに裏切られ命を落とす剣士。物語のきっかけとなる人物。
その他、イ・ギョンヨン、キム・テウ、キム・スアン、ムン・ソングンなど。
スタッフ
- 監督:パク・フンシク。「初恋のアルバム 人魚姫のいた島」などで知られる監督。アクションとドラマのバランスを追求。
- 脚本:チェ・アルム、パク・フンシク。愛と復讐を軸にした緻密なストーリー展開。
- 製作:TPSカンパニー、ロッテエンターテインメント。韓国全土でのロケ撮影と高麗時代のセットで映像美を実現。
- 配給:クロックワークス(日本)、ロッテエンターテインメント(韓国)
- 音楽:チェ・ヨンラク。壮大なオーケストラがアクションとドラマを盛り上げる。
- 撮影:キム・ビョンソ。美しい風景とダイナミックなアクションを捉えた映像が特徴。
総括
「メモリーズ 追憶の剣」は、豪華キャストと壮麗なアクションが織りなす愛と復讐の物語です。チョン・ドヨンとキム・ゴウンの女優としての活躍、時代劇らしい衣装とメイク、深い人間ドラマが魅力。興行的な成功は逃したものの、韓国映画の美学とアクションの迫力を堪能できる作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い