メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）は、1924年に設立されたアメリカの老舗映画製作・配給会社。本社はカリフォルニア州ビバリーヒルズにあり、2022年よりAmazon MGMスタジオの子会社です。「天にあるよりも多くのスター」をスローガンに、ミュージカルや名作映画で知られ、数多くのアカデミー賞を受賞。ジェームズ・ボンドやロッキーシリーズが代表的です。
最近の有名な映画作品10点
以下のリストは、MGMが関与した最近の著名な映画作品（2010年代以降、公開順）を中心に選定しました。解説は各作品の概要、MGMの役割、文化的・商業的影響を200文字程度でまとめます。
ホビット 竜に奪われた王国（2013年）
『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚として、ピーター・ジャクソンが監督。MGMは共同製作・配給を担当。ビルボとドワーフたちの冒険を描き、壮大な映像と視覚効果が話題に。全世界興行収入9.58億ドルを記録し、MGMの破産後初の大作としてスタジオの復活を印象づけた。J.R.R.トールキンの世界観を忠実に再現し、ファンタジー映画の金字塔として評価されたが、一部では物語の引き延ばしが批判された。MGMのブランド力とワーナーとの提携が成功要因。
007 スカイフォール（2012年）
ジェームズ・ボンドシリーズの23作目で、サム・メンデス監督。MGMは共同製作。ダニエル・クレイグ演じるボンドがMI6の危機に立ち向かう。興行収入11億ドル超を記録し、アカデミー賞2部門受賞。MGMの財政難からの回復を象徴する作品で、ボンドの人間性を掘り下げたストーリーとアクションが絶賛された。MGMの伝統であるスパイ映画の遺産を継承し、現代的なアプローチで再活性化。
クリード チャンプを継ぐ男（2015年）
『ロッキー』シリーズのスピンオフで、ライアン・クーグラー監督。MGMが製作・配給。ロッキーがアドニス・クリードを指導する物語。興行収入1.73億ドルを記録。マイケル・B・ジョーダンの熱演とロッキーの新たな役割が感動を呼び、批評家からも高評価。MGMのフランチャイズを現代に蘇らせた成功例で、若者層にアピールしつつ、シリーズの伝統を継承した。
007 スペクター（2015年）
ボンドシリーズ24作目、サム・メンデス監督。MGMは共同製作。ボンドが秘密組織スペクターと対決。興行収入8.8億ドルを記録。クリストフ・ヴァルツの敵役が話題だが、前作『スカイフォール』の評価を超えられず賛否両論。MGMのブランド力を活かし、シリーズの継続性を示した。ダニエル・クレイグの演技とアクションは健在で、MGMのスパイ映画の地位を強化。
クリード 炎の宿敵』（2018年）
『クリード』シリーズ2作目で、スティーヴン・ケイプル・Jr監督。MGMが製作。アドニスがドラゴの息子と対戦し、ロッキーが支える。興行収入2.14億ドル。家族と遺産をテーマにした感動的な物語が好評。シルベスター・スタローンの演技も称賛され、MGMのロッキーシリーズの現代的価値を証明。アクションとドラマのバランスが成功要因。
ハウス・オブ・グッチ（2021年）
リドリー・スコット監督の犯罪ドラマ。MGMが製作・配給。グッチ家の崩壊を描き、レディー・ガガとアダム・ドライバーが主演。興行収入1.53億ドル。豪華キャストとファッションの世界が注目を集めたが、批評は賛否両論。MGMのドラマ映画への挑戦として、ブランドの多様性を示した。ガガの演技は高評価で、MGMの現代的スター活用が光る。
007 ノー・タイム・トゥ・ダイ（2021年）
ボンドシリーズ25作目で、ダニエル・クレイグの最終作。MGMが共同製作。ボンドの引退後の物語で、興行収入7.74億ドル。ラミ・マレックの敵役と感動的な結末が話題。パンデミックによる公開延期を乗り越え、MGMのフランチャイズの力を示した。アクションと感情の融合が評価され、ボンドシリーズの新時代を予感させた。
リスペクト』（2021年）
アレサ・フランクリンの伝記映画で、リーゼル・トミー監督。MGMが製作。ジェニファー・ハドソンが主演し、興行収入0.32億ドル。ハドソンの歌唱と演技が絶賛されたが、興行的には苦戦。MGMの音楽映画の伝統を継承し、多様なストーリーへの挑戦を示した。アレサの人生を丁寧に描き、文化的意義が評価された。
クリード3（2023年）
マイケル・B・ジョーダンが初監督・主演。MGMが製作。アドニスの新たな挑戦と過去の因縁を描く。興行収入2.71億ドル。ジョーダンの監督デビューが話題となり、アクションとドラマの融合が成功。ロッキーの不在を補うストーリーテリングで、MGMのフランチャイズの進化を示した。若者層への訴求力も強い。
チャレンジャーズ（2024年）
ルカ・グァダニーノ監督のスポーツロマンス映画。MGMが製作・配給。ゼンデイヤ主演で、テニスを背景にした三角関係を描く。興行収入0.94億ドル。ゼンデイヤのスター性と現代的なテーマが若者にヒット。MGMの新たなジャンルへの挑戦として、ブランドの柔軟性を示した。批評家からも視覚的スタイルが称賛された。
MGMの歴史
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）は、1924年4月17日にマーカス・ロウにより、メトロ・ピクチャーズ、ゴールドウィン・ピクチャーズ、ルイス・B・メイヤー・ピクチャーズの合併により設立されました。ロウは映画館チェーン「ロウズ・シアターズ」への良質な映画供給を目指し、ルイス・B・メイヤーをトップ、アーヴィング・タルバーグを製作責任者に任命。MGMは「天にあるよりも多くのスター」をスローガンに、ジョーン・クロフォード、グレタ・ガルボ、クラーク・ゲーブルらを擁し、1926年から1959年の最盛期には『ベン・ハー』（1925年、1959年）や『オズの魔法使い』（1939年）などの名作を製作。ミュージカル映画やテクニカラー技術の導入で業界をリードしました。
しかし、1960年代以降は業界の変化に対応できず、1969年にカーク・カーコリアンが買収し、コスト削減や低予算映画へのシフトを進めます。1980年にユナイテッド・アーティスツを買収し、1986年にテッド・ターナーに売却されるも再買収。1990年代にはオライオン・ピクチャーズなどを吸収しましたが、2005年にソニー主導のコンソーシアムに売却。2010年には連邦破産法第11章を申請し、債権者主導で再建。2021年、Amazonが84.5億ドルでMGMを買収し、2023年にAmazon MGMスタジオに統合されました。現在はジェームズ・ボンドやロッキーシリーズを軸に、映画・テレビ製作を続けています。
イギリスを代表するスパイ映画『007』シリーズを長年手がけてきたイーオン・プロダクションのマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリから、Amazon MGMスタジオにクリエイティブコントロール権が移ることになった。両者は2月20日（現地時間）、『007』シリーズの知的財産権を管理する新たな合弁会社を設立したと発表。今後はAmazon MGMがキャスティングなど、シリーズの製作に関して主導権を握ることになる。https://www.vogue.co.jp/article/amazon-takes-creative-control-of-007
その他の解説
MGMは、ハリウッドの黄金時代を象徴するスタジオとして、映画史に大きな足跡を残しました。その特徴は、豪華なキャストと高品質な製作にあり、スターシステムを確立したことで知られます。クラーク・ゲーブルやジュディ・ガーランドらを起用し、『風と共に去りぬ』（1939年）などの大作でアカデミー賞を多数受賞。また、MGMレコードを1946年に設立し、『雨に唄えば』（1952年）などのサウンドトラックをリリースし、音楽産業にも進出しました。
技術面では、トーキー移行が遅れたものの、1930年の『悪漢の唄』でオールカラー・トーキー映画を公開。テクニカラー技術を積極採用し、『スウィートハーツ』（1938年）で初の長編カラー映画を製作しました。近年はAmazonの傘下で、Prime Videoを通じた配信や新作映画の製作を強化。2022年以降、ワーナー・ブラザースと海外配給提携を結び、グローバル展開を拡大しています。MGMの遺産は、映画産業の革新とスター文化の形成に大きく貢献し続けています。
以上、MGMの概要、最近の作品、歴史、その他の解説を丁寧にお伝えしました。ご参考になれば幸いです。
レビュー 作品の感想や女優への思い