モントリオールはカナダのケベック州に位置する最大の都市であり、カナダ全体で第二の規模を誇ります。人口は市域で約176万人、都市圏では約400万人超。セントローレンス川とオタワ川の合流点にあるモントリオール島を中心に発展した都市です。公式言語はフランス語ですが、英語も広く話され、世界で最もバイリンガルな都市の一つとして知られています。
経済的には航空宇宙産業、情報技術、バイオテクノロジー、映画産業、金融などが盛んで、UNESCOデザイン都市にも指定されています。多文化主義が特徴で、120を超える民族コミュニティが共存する国際都市です。旧市街の石畳の通りと近代的な高層ビルが調和し、北米で最もヨーロッパらしい雰囲気を残しています。美食の街としても有名で、プーティンやスモークミート、ベーグルが代表的。
生活の質が高く、芸術や祭りが豊富です。ジャズフェスティバルやジュスト・フォール・リールなどの大規模イベントが世界中から人を集めます。気候は四季がはっきりしており、厳しい冬と快適な夏が特徴です。教育や研究の中心地でもあり、国際的な魅力にあふれています。
歴史
モントリオールの歴史は先住民の時代に遡ります。1535年にジャック・カルティエが訪れた頃、ホチェラガと呼ばれるイロコイ系先住民の集落がありました。1642年にフランス人ポール・ド・ショメディ・ド・メゾヌーヴによりヴィル=マリーとして宣教師の拠点が設立されました。初期は毛皮交易の中心地として発展しましたが、イロコイ族との紛争も経験しました。
1760年の英仏戦争でイギリス領となり、1832年に市制が施行されました。19世紀にはラシン運河や鉄道の開通により工業都市として急成長し、一時カナダの首都にもなりました(1844-1849年)。1860年頃には英国北米最大の都市となり、移民の流入が続きました。20世紀に入り、1900年代の工業化、1967年の万国博覧会(エキスポ67)、1976年の夏季オリンピック開催で国際的地位を確立しました。
1960年代の静かな革命(クワイエット・レボリューション)によりフランス語圏の文化が強調され、言語法が整備されました。分離主義運動や10月危機も経験しましたが、現在は多文化共生の象徴となっています。歴史的な旧港やノートルダム大聖堂が往時を伝えています。
文化
モントリオールの文化はフランス語圏の伝統と北米のダイナミズムが融合した独自のものです。世界でパリに次ぐ第二のフランコフォニー都市として、フランス語の文学、演劇、音楽が活発です。一方で英語圏の影響も強く、バイリンガル環境が創造性を育んでいます。
食文化は多様で、プーティン(フライドポテトにチーズカードとグレイビー)、モントリオール風ベーグル、スモークミートが有名です。祭りが豊富で、モントリオール国際ジャズフェスティバル、ジュスト・フォール・リール(笑いの祭典)、オペラ・フェスティバルなどが毎年開催され、街全体が賑わいます。美術館や劇場も多く、モントリオール美術館や現代美術館が文化の拠点です。
映画やファッション、デザインの分野でも先進的で、UNESCOデザイン都市に選ばれています。多文化主義により世界各国の料理や祭りが楽しめ、温かく開放的な住民性が魅力です。冬季のイルミネーションや夏の屋外イベントが市民生活を彩っています。
おもな教育機関
高等教育機関
モントリオールはカナダ有数の学術都市です。主要な大学としてマギル大学があります。1821年創立の英語系大学で、世界トップクラスの研究機関です。医学、法学、工学などが特に優れており、国際学生も多数在籍しています。
モントリオール大学はフランス語系の最大規模大学で、1878年創立です。HECモントリオール(経営大学院)やポリテクニーク・モントリオール(工学)が付属し、研究量でカナダ上位を維持しています。医学やAI分野で強みを発揮します。
コンコルディア大学は英語系で、1974年創立。芸術、工学、ビジネスが充実しており、実践的な教育が特徴です。ユーケベック・モントリオール大学(UQAM)はフランス語系で、社会科学や芸術、デザインに強い公立大学です。
映画演劇学校
映画分野ではコンコルディア大学のメル・ホッペンハイム映画学校がカナダ最大規模で、映画制作、アニメーション、映画研究をカバーします。実践的な設備と業界とのつながりが強みです。
国立演劇学校(ナショナル・シアター・スクール・オブ・カナダ / École nationale de théâtre du Canada)は1960年創立の演劇専門校で、演技、演出、舞台デザイン、脚本などのプロフェッショナル養成を行います。多くの卒業生がカナダ演劇界で活躍しています。
そのほか、INIS(Institut national de l’image et du son)のような専門映画学校や、ドーソン・カレッジ、ジョン・アボット・カレッジの演劇プログラムも優れた実践教育を提供しています。
登場する映画
モントリオールはハリウッド映画の撮影地として人気で、多くの作品が街の景観を活かしています。
- キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年):レオナルド・ディカプリオ主演。空港や街路のシーンがモントリオールで撮影されました。
- アビエイター(2004年):ハワード・ヒューズの伝記映画。レオナルド・ディカプリオが主演し、旧港や建物が使用されました。
- きみに読む物語(The Notebook、2004年):ライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス主演。ロマンチックなシーンがモントリオールのロケーションで撮影されました。
- マミー(2014年):グザヴィエ・ドラン監督・脚本のカナダ映画。モントリオールを舞台に母と息子の絆を描き、カンヌ国際映画祭で注目を集めました。
- 灼熱の魂(Incendies、2010年):ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。モントリオール出身の監督作で、複雑な家族の物語が展開します。
- テイキング・ライブス(2004年):モントリオールの工事現場で白骨死体が発見され、現地警察は猟奇殺人と断定してFBI捜査官イリアナと合同で捜査をスタート。
- Victoria(2008年):モントリオールとサグネ・ラック・サン・ジャン地域で撮影されたミュージカル・ロードムービー。アンナ・カリーナが出演。
他にX-MENシリーズの複数作品、ザ・スコア(2001年、ロバート・デ・ニーロ主演)、スクリーム6(2023年)などもモントリオールで撮影されました。
出身女優・モデル
- ジェネヴィエーヴ・ブジョルド:1939年モントリオール生まれのベテラン女優。映画「アナと狼」(1969年、アナ役)で国際的に知られ、アカデミー賞候補にもなりました。演劇と映画の両方で活躍。
- エマニュエル・シュリーキ:1975年モントリオール生まれ。ドラマ「Entourage」(2004-2011年、シェリー役)や映画「クロニクルズ・オブ・リドック」(2004年)で人気。モデルとしても活動。
- キャロライン・ダヴァーナス:1978年モントリオール生まれ。ドラマ「Wonderfalls」(2004年、ジェイニー役)や「Hannibal」(2013-2015年、アラーナ役)で知られます。フランス語・英語のバイリンガル女優。
- ミッシー・ペレグリム:1982年モントリオール生まれの女優。ドラマ「Rookie Blue」(2010-2015年、アンディ役)で主演。アクションシーンに定評があります。
- レイチェル・ルフェーヴル:1979年モントリオール生まれ。映画「トワイライト」シリーズ(2008年、ヴィクトリア役)で注目。モデル業も兼ねています。
モデルとしてはキム・クルーティエ(モントリオール生まれ)がランジェリーモデルとして有名で、ビクトリアズ・シークレットなどに登場しました。
出身女性アスリート
- レイラ・フェルナンデス:2002年モントリオール生まれのテニス選手。2021年全米オープン準優勝など、若くして世界ランキング上位に。力強いプレースタイルと闘志が特徴です。
- ウジェニー・ブシャール:1994年モントリオール生まれのテニス選手。2014年ウィンブルドン準優勝で一躍有名に。グランドスラムでの活躍と人気の高さが際立ちます。
これらの選手はモントリオールのテニス環境で育ち、国際舞台でカナダを代表しています。他にもパラリンピックで活躍する選手がモントリオール出身で、車いす競技などでメダルを獲得しています。モントリオールはスポーツ都市としても恵まれた環境を提供し続けています。


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