Netflix映画『それでも夜は訪れる』(2025年)はウィリー・ヴローティン原作のクライム・サスペンス。家族を守るため、一夜で2万5千ドルを集める女性リネットの壮絶な闘いを描く。主演のヴァネッサ・カービーはリネット役として圧倒的な存在感を発揮。
基本情報
- 邦題:それでも夜は訪れる
- 原題:Night Always Comes
- 製作年:2025年
- 製作国・米国・英国合作
- 上映時間:108分
- 配信:Netflix
- 配信開始日:2025年8月15日
あらすじ
アメリカ・ポートランドを舞台に、再開発による家賃高騰と格差が広がるなか、リネット(ヴァネッサ・カービー)は病気の母と知的障害のある兄ケニーと共に借家で暮らしています。長年住んできた家を購入する最後のチャンスが訪れ、頭金を払えば家族の安定した未来が手に入るはずでした。しかし、頼りにしていた母の支援が突然打ち切られ、頭金の支払い期限は翌朝まで。追い詰められたリネットは、2万5千ドルをかき集めるため、深夜の街へと飛び出します。借金の取り立て、裏取引、過去の因縁、そして暴力と裏切りが渦巻く過酷な現実を前に、彼女は家族を守るため一人奮闘します。この物語は、リネットが一夜で直面する極限の選択と闘いを描いた濃密なクライム・サスペンスです。
解説
『それでも夜は訪れる』(原題:Night Always Comes)は、ウィリー・ヴローティンの同名小説を原作としたNetflixオリジナル映画で、2025年8月15日に全世界配信予定です。本作は、家族を守るために極限状態で闘う女性の姿を、緊張感あふれるサスペンスと深い人間ドラマを通じて描きます。原作小説は、約48時間にわたるリネットの奮闘を詳細な心理描写と社会問題(住宅価格高騰やジェントリフィケーション)を交えて描いた文学作品ですが、映画では24時間以内の出来事に焦点を絞り、夜の街を舞台にしたスリリングな展開が強調されています。この構成変更により、リアルタイムの緊迫感と視覚的な衝突が際立ち、観客を引き込むドラマチックな作品に仕上がっています。
物語のテーマは、家族への愛、貧困、格差社会、アメリカン・ドリームの崩壊です。特に、経済的困窮の中で「家」という安心の象徴を追い求めるリネットの葛藤は、現代社会の多くの人々に共感を呼びます。監督のベンジャミン・カロンは、リネットの「サバイバルと犠牲、静かなヒロイズム」を掘り下げることに注力し、「安心感の代償とは何か」を観客に問いかけます。彼女の行動は無謀に見えるかもしれませんが、それぞれの選択が過去の呪縛を断ち切り、未来を切り開くための必死の試みであることが強調されています。
映画は、原作の文学的な深みを継承しつつ、映像作品としてのテンポとサスペンス性を強化。ダークで緊迫感のあるビジュアル、緻密な脚本、そしてキャストの迫真の演技が融合し、観る者をリネットの過酷な一夜に引き込みます。ポートランドの夜の街並みや裏社会の描写も、物語の重苦しい雰囲気を効果的に演出しています。
女優の活躍
本作の主演を務めるヴァネッサ・カービーは、リネット役として圧倒的な存在感を発揮しています。『ミッション:インポッシブル』シリーズや『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』で知られる彼女ですが、本作ではプロデューサーも兼任し、作品への深い関与を示しています。リネットは、家族を守るために裏社会に足を踏み入れる複雑なキャラクターで、カービーはその感情の揺れや葛藤を繊細かつ力強く演じています。予告編では、彼女の鬼気迫る表情や、極限状態での決断を迫られる場面が印象的で、批評家からも「迫真の演技」と称賛されています。彼女の演技は、物語の感情的な核となり、観客にリネットの絶望と希望を強く訴えかけます。
ジェニファー・ジェイソン・リーはリネットの母ドリーン役を演じ、家族の経済的苦境に疲弊しながらも娘と息子を守ろうとする複雑な心情を表現。『ヘイトフル・エイト』での実績を持つ彼女は、母と娘の間に生じる感情の溝をリアルに描き出し、物語に深みを与えています。ジュリア・フォックスもグロリア役で出演し、リネットの家探しや計画に影響を与える謎めいたキャラクターを演じます。フォックスの独特な魅力と演技力が、物語の緊張感をさらに高めています。
女優の衣装・化粧・髪型
ヴァネッサ・カービー演じるリネットの衣装は、ポートランドの労働者階級の生活を反映した実用的でシンプルなものが中心です。予告編では、彼女が着用するダークトーンのジャケットやジーンズ、ブーツが目立ち、過酷な夜の街を駆け抜ける行動的なキャラクター性を強調しています。化粧は最小限で、ナチュラルなメイクがリネットの現実的で飾らない性格を表現。髪型は、動きやすさを重視したポニーテールや無造作なまとめ髪で、彼女の切迫した状況を視覚的に補強しています。これらの選択は、リネットの内面的な強さと外的な苦境をバランスよく表現するものとなっています。
ジェニファー・ジェイソン・リーのドリーン役は、疲弊した母親像を反映したややくたびれた衣装が特徴です。地味な色合いのセーターやカーディガンが多く、彼女の経済的困窮と精神的な重荷を象徴しています。化粧はほぼ施さず、年齢感や生活の厳しさを自然に表現。髪型は無造作なショートヘアで、家庭内のストレスをさりげなく示しています。
ジュリア・フォックスのグロリア役は、対照的にやや派手な衣装とメイクが特徴です。彼女の衣装にはタイトなトップスやアクセサリーが含まれ、裏社会とのつながりを暗示。化粧は大胆なアイラインやリップで、ミステリアスな雰囲気を醸し出しています。髪型はルーズなウェーブで、自由奔放かつ計算された印象を与えます。フォックスの個性的なスタイルが、グロリアの複雑な役割を際立たせています。
キャスト
- ヴァネッサ・カービー(リネット役):家族を守るため一夜の闘いに挑む主人公。プロデューサーも兼任。
- ジェニファー・ジェイソン・リー(ドリーン役):リネットの母。経済的困窮と家族の問題に直面。
- ザック・ゴッツァーゲン(ケニー役):リネットの知的障害のある兄。家族の希望の象徴。
- ステファン・ジェームズ(コディ役):リネットの夜の旅で出会う裏社会の男。敵にも味方にもなり得る。
- ジュリア・フォックス(グロリア役):リネットの計画に影響を与える謎めいたキャラクター。
- イーライ・ロス(ブレイク役):裏社会で影響力を持つ危険な存在。
- ランドール・パーク(スコット役):リネットの過去を知る旧友または元恋人。
- マイケル・ケリー(トミー役):公的機関または法律関係者としてリネットと関わる。
- J・クロード・ディアリング
- ダナ・ミリキャン
- カーティス・マッギャン
- ジェイク・マクドーマン
- ジェニファー・ラニアー
- ジェイソン・ラウズ
- スマック・ルイス
スタッフ
- 監督:ベンジャミン・カロン(『ザ・クラウン』『Sharper:騙す人』)
- 原作:ウィリー・ヴローティン(『荒野にて』『The Night Always Comes』)
- 脚本:セーラ・コンラット
- 製作:ヴァネッサ・カービー、ローレン・ダーク、ベンジャミン・カロン、ジョディ・カロン、ゲイリー・レヴィンソン、ビリー・ハインズ、ライアン・バルテッキ
- 撮影:ダミアン・ガルシア
- 編集:ヤン・マイルズ
- 音楽:アダム・ヤノタ・ボゾフスキ
まとめ
『それでも夜は訪れる』は、家族を守るため極限状態で闘う女性リネットの物語を通じて、貧困や格差といった社会問題を浮き彫りにするクライム・サスペンスです。ヴァネッサ・カービーをはじめとする実力派キャストの演技、ベンジャミン・カロンの緻密な演出、そして原作の文学性を活かしつつ映像化したスリリングな展開が魅力です。衣装やメイク、髪型もキャラクターの心情や背景を効果的に反映し、物語のリアリティを高めています。
レビュー 作品の感想や女優への思い