2018年のイタリア映画『Notti magiche』は、パオロ・ヴィルズィ監督によるコメディ。1990年のFIFAワールドカップ準決勝の夜、有名映画プロデューサーの死体がローマのティベレ川から発見されます。容疑者となった3人の若い脚本志望者が、イタリア映画界の栄光と衰退を背景に描かれます。風刺を交えた物語で、映画業界の内幕をユーモラスに探求します。
基本情報
- 原題: Notti magiche
- 英題:Magical Nights
- 公開年:2018年
- 製作地域:イタリア共和国
女優の活躍
映画『Notti magiche』では、アイリーン・ベテレが主人公の一人であるウジェニア・マラスピーナを演じています。彼女はローマの裕福なブルジョワ階級出身の女性として、複雑な内面を持ち、薬物依存や家族との葛藤を抱えながら脚本家を目指します。ベテレの演技は、キャラクターの繊細さと反抗心を巧みに表現し、物語の中心を担っています。彼女の存在は、男性中心の映画界での女性の立場を象徴的に描き出しています。
オルネラ・ムーティはフェデリカ役で登場し、ベテラン女優らしい存在感を発揮します。彼女の役柄は、映画プロデューサーとの関係を通じて業界の華やかさと裏側を示します。ムーティの演技は、経験豊かな魅力で脇を固め、若い世代とのコントラストを強調しています。また、マリーナ・ロッコやアナリサ・アレーナなどの女優も重要な脇役を務め、物語に深みを加えています。
全体として、女優たちの活躍はイタリア映画の伝統を継承しつつ、1990年代の社会変化を反映しています。ベテレのような若手女優が主役級で活躍する点は、監督の意図的な選択であり、映画界の新旧交代を象徴します。これにより、観客は女性キャラクターの視点から業界の現実を理解できます。
女優の衣装・化粧・髪型
アイリーン・ベテレ演じるウジェニア・マラスピーナの衣装は、1990年代のローマのファッションを反映したエレガントでモダンなスタイルです。彼女のワードローブには、ゆったりとしたブラウスやスカートが多く、ブルジョワらしい洗練された印象を与えます。化粧はナチュラルメイクを基調とし、時には赤いリップでアクセントを加え、キャラクターの内面的な強さを表現しています。髪型はロングヘアをルーズにまとめ、自由奔放な性格を表しています。
オルネラ・ムーティのフェデリカは、華やかなドレスやアクセサリーを着用し、ベテラン女優らしいグラマラスな装いです。化粧はアイラインを強調したクラシックなスタイルで、髪型はボリュームのあるウェーブが特徴です。これにより、映画業界の華やかさを視覚的に強調しています。マリーナ・ロッコやアナリサ・アレーナなどの脇役女優の衣装は、カジュアルな日常着が多く、現実味を加えています。
全体の衣装デザインはカティア・ドットーリが担当し、時代背景を忠実に再現しています。メイクアップはルカ・マッツォッコリ、ヘアスタイリングはアレッシオ・ポンペイが手がけ、女優たちの自然な美しさを引き立てています。これらの要素は、物語の風刺的なトーンを支え、視覚的に魅力的な作品に仕上げています。
あらすじ
物語は1990年7月3日、イタリア対アルゼンチンのワールドカップ準決勝の夜に始まります。ローマのティベレ川で有名映画プロデューサー、レアンドロ・サポナーロの死体が発見されます。容疑者として逮捕されたのは、3人の若い脚本志望者、アントニーノ・スコルディア、ルチアーノ・アンブロージ、ウジェニア・マラスピーナです。彼らはソリナス賞のファイナリストで、事件の直前にサポナーロと夕食を共にしていました。
取り調べの過程で、物語はフラッシュバック形式で彼らの過去を描きます。アントニーノはシチリア出身の洗練された青年、ルチアーノはトスカーナの粗野だが才能ある男、ウジェニアはローマの裕福な家系の複雑な女性です。彼らは映画界に足を踏み入れ、栄光の時代が終わりを迎えようとするイタリア映画の現実を目の当たりにします。著名な監督や俳優たちとの出会いを通じて、業界の腐敗、ゴーストライティング、商業主義を体験します。
事件の真相は、彼らの野心と失望が交錯する中で明らかになります。サポナーロの死は、映画界の衰退を象徴する出来事として描かれ、3人の成長物語がユーモアと皮肉を交えて展開します。最終的に、彼らは映画の夢を追い続けるか、現実を受け入れるかの選択を迫られます。
解説
映画『Notti magiche』は、パオロ・ヴィルズィ監督の自伝的要素が強い作品です。1990年代初頭のイタリア映画界を舞台に、フェリーニやヴィスコンティなどの巨匠たちの時代が終わりを迎える様子を風刺的に描いています。ワールドカップの興奮を背景に、国民的な熱狂と映画業界の衰退を対比させることで、イタリア文化の移り変わりを象徴します。コメディ要素が強いものの、トラジコメディとして深いテーマを扱っています。
3人の主人公は、監督や脚本家たちの若い頃を投影したキャラクターです。業界のネポティズム、商業優先主義、芸術性の喪失を批判しつつ、ノスタルジックな視点で過去の栄光を振り返ります。女性キャラクターのウジェニアを通じて、ミソジニーやジェンダー問題も触れ、現代的な視点を提供します。監督の前作『Il Capitale Umano』に近いメランコリックなトーンが特徴です。
視覚的には、ローマの街並みや映画セットを活かしたダイナミックな撮影が魅力です。音楽やサッカーの要素が物語を盛り上げ、観客をイタリアの情熱的な世界に引き込みます。本作は、イタリア映画のファンに向けたオマージュであり、業界の内幕を知る機会を提供します。全体として、楽しさと洞察を兼ね備えた作品です。
キャスト
- マウロ・ラマンティア(アントニーノ・スコルディア)
- ジョヴァンニ・トスカーノ(ルチアーノ・アンブロージ)
- イレーネ・ヴェテーレ(ウジェニア・マラスピーナ)
- ロベルト・ヘルリツカ(フルヴィオ・ザッペリーニ)
- ジャンカルロ・ジャンニーニ(レアンドロ・サポナーロ)
- オルネラ・ムーティ(フェデリカ)
- ジュリオ・ベルルーティ(マックス・アンドレイ)
- ジュリオ・スカルパーティ(サルヴァトーレ・マラスピーナ)
- パオロ・ボナチェッリ(エンニオ)
- マリーナ・ロッコ
- アナリサ・アレーナ
- エウジェニオ・ニコラ・マリネッリ(ジャンフランコ)
- エマヌエレ・サルチェ
- アンドレア・ロンカート
- フェルッチオ・ソレリ
- レジーナ・オリオーリ
- ルドヴィカ・モドゥーニョ
- シモナ・マルキーニ
- テア・ファルコ
- ジャリル・レスペール
- エリアナ・ミリオ
- エミリア・ヴェルジネッリ
- マウロ・カテリーニ
- フェデリカ・カッチョーラ
- ニコル・グエルツォーニ
- フランチェスコ・ラギ
- ジョヴァンニ・ラ・パロラ
- フランチェスカ・トゥルリーニ
スタッフ
- 監督:パオロ・ヴィルズィ
- 脚本:パオロ・ヴィルズィ、フランチェスコ・ピッコロ、フランチェスカ・アルキブージ
- 製作:マルコ・ベラルディ、イヴァン・フィオリーニ
- 撮影:ヴラダン・ラドヴィッチ
- 編集:ジャコポ・クアドリ
- 音楽:カルロ・ヴィルズィ
- 美術:アレッサンドロ・ヴァンヌッチィ
- セット装飾:クリスティーナ・デル・ゾット
- 衣装デザイン:カティア・ドットーリ
- メイクアップ:ルカ・マッツォッコリ
- ヘアスタイリング:アレッシオ・ポンペイ
- 製作会社:ライ・チネマ
- 配給:01ディストリビューション


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