『ピースブレーカー』（2017年）は、韓国映画『最後まで行く』の中国リメイク作品。監督リエン・イーチー、主演アーロン・クォック。ひき逃げを隠蔽した刑事が脅迫者に追い詰められるクライムサスペンス。113分、中国・マレーシア合作、舞台はクアラルンプール。
基本情報
- 邦題：ピースブレーカー
- 原題：破・局
- 英題：Peace Breaker
- 公開年：2017年
- 製作国：中国
- 上映時間：113分
- ジャンル：サスペンス、ミステリー
女優の活躍
『ピースブレーカー』における主要な女優は、リウ・タオ（劉涛）が演じるリン・シャオイエ。リウ・タオは1978年7月12日生まれ、中国江西省南昌出身の女優で、2000年のドラマ『外来媳婦本地郎』でデビュー以来、テレビドラマを中心に活躍。『琅琊榜〜麒麟の才子、風雲起こす〜』（2015年）や『歓楽頌』（2016年）で広く知られ、落ち着いた美貌と安定した演技力で人気を集めています。本作では、主人公ガオ・ジエンシャン（アーロン・クォック）の妻リン・シャオイエを演じ、家庭を守る穏やかで献身的な女性を繊細に表現。物語の中心はガオと脅迫者チェン・チャンミン（ワン・チエンユエン）の対決ですが、リン・シャオイエはガオの精神的な支えとして重要な役割を果たします。リウ・タオは、夫の動揺や秘密に気付きながらも、家族を守ろうとする複雑な心情を、控えめながらも深い感情表現で演じ、作品に温かみを加えています。彼女の登場シーンは限られていますが、短い時間の中で存在感を発揮し、物語の緊張感とのバランスを取っています。
また、脇役としてフォン・ジャーイー（馮嘉怡）がガオの同僚刑事役で出演。女性刑事としての冷静さと行動力を発揮し、物語のサスペンスを補強しています。リウ・タオとフォン・ジャーイーの演技は、男性中心のクライムサスペンスに女性の視点と感情を織り交ぜ、物語に奥行きを与えています。
女優の衣装・化粧・髪型
リウ・タオ演じるリン・シャオイエの衣装は、彼女の家庭的で穏やかなキャラクター性を反映しています。主にシンプルで落ち着いた色合いのカジュアルな服装が特徴で、ベージュや白のブラウス、ゆったりとしたパンツやスカートを着用。母親の通夜という厳粛な場面では、黒を基調とした控えめなドレスやコートを着て、悲しみと気品を表現しています。化粧はナチュラルメイクで、薄いファンデーションと淡いピンクリップ、軽いアイメイクが中心。過度な華やかさを避け、妻や母親としての自然体な美しさを強調しています。髪型は、肩よりやや長いストレートヘアを下ろすか、シンプルなポニーテールにまとめるスタイルで、清潔感と実用性を兼ね備えています。この控えめな外見は、ガオの激しいアクションやチェンとの対立といった激しい展開と対比され、家庭の平穏を象徴する存在として機能しています。
フォン・ジャーイー演じる女性刑事の衣装は、より実務的で、ダークカラーのジャケットやパンツスーツが中心。化粧はほとんど目立たず、髪は短めで動きやすいスタイルにまとめ、プロフェッショナルな雰囲気を醸し出しています。これらの衣装やメイクは、彼女の職務に対する真剣さと物語の緊張感を視覚的に補強しています。
あらすじ
マレーシアの首都クアラルンプール。刑事ガオ・ジエンシャン（アーロン・クォック）は、母親の通夜に向かう途中、誤って男をひき逃げしてしまいます。動揺した彼は死体を隠し、刑事としての立場を利用して事故の隠蔽を図ります。妻リン・シャオイエ（リウ・タオ）と娘との平穏な生活を取り戻そうとするガオですが、事故を目撃した謎の脅迫者チェン・チャンミン（ワン・チエンユエン）が現れ、事態は急変。チェンはガオを執拗に追い詰め、巧妙な策略で彼の秘密を暴こうとします。ガオは証拠隠滅のために奔走し、嘘を重ねる中でさらに深い闇に堕ちていきます。狡猾で残忍なチェンとの息詰まる対決の中、ガオは自らの罪と向き合い、家族を守るために最後の戦いに挑みます。果たしてガオは秘密を守り抜けるのか、それともチェンの罠に墜ちるのか――。
## 解説
『ピースブレーカー』は、2014年の韓国映画『最後まで行く』（原題：A Hard Day、監督キム・ソンフン）の中国版リメイク作品。オリジナル作品の緊迫感とブラックユーモアを継承しつつ、中国・マレーシア合作として舞台をクアラルンプールに移し、アジアの多文化的背景を活かした独自の雰囲気を醸し出しています。監督のリエン・イーチー（連奕琦）は、台湾出身の新鋭監督で、緻密な演出とテンポの良い展開で知られ、本作でも予測不可能なスリルを観客に提供。物語は、ガオのひき逃げという一つの過ちが引き起こす連鎖反応を描き、倫理的な葛藤や人間の弱さを掘り下げます。
本作の魅力は、ガオとチェンの心理戦とアクションにあります。アーロン・クォックの慌てふためく演技は、オリジナル版のイ・ソンギュンのコミカルな要素を踏襲しつつ、香港映画らしいダイナミックなアクションを加味。ワン・チエンユエンの不気味で陽気な脅迫者像は、観客に恐怖と奇妙な魅力を同時に与えます。クアラルンプールのチャイナタウンや雑多な街並みを背景に、追跡劇や格闘シーンが展開され、香港映画の迫力あるアクションの伝統を感じさせます。
テーマとしては、罪の隠蔽と贖罪、正義と悪の曖昧さが浮き彫りにされます。ガオは刑事でありながら犯罪者となり、家族を守るために道徳を捨てる姿は、観客に「自分ならどうする？」と問いかけます。また、オリジナル版と比較すると、家族の描写が強調され、リン・シャオイエの存在がガオの動機をより感情的に補強しています。製作費は非公開ですが、低予算ながら緻密な脚本と俳優陣の演技で高評価を受け、日本では劇場未公開ながらDVDや配信でカルト的な人気を博しています。
キャスト
- ガオ・ジエンシャン：アーロン・クォック（ひき逃げを隠蔽する刑事）
- チェン・チャンミン：ワン・チエンユエン（ガオを追い詰める脅迫者）
- リン・シャオイエ：リウ・タオ（ガオの妻、家族の支え）
- 刑事同僚：フォン・ジャーイー（ガオの捜査を補佐）
- その他：ユー・アイレイ、カイ・チェン（脇役）
スタッフ
- 監督：リエン・イーチー（連奕琦）
- 製作：ロイ・フー
- オリジナル脚本：キム・ソンフン（『最後まで行く』）
- 脚本：デビッド・リン、ジョニー・ユー
- 撮影：スティーブ・ロウズ
- 編集：非公開
- 音楽：非公開
結論
『ピースブレーカー』は、韓国映画『最後まで行く』のリメイクながら、クアラルンプールのエキゾチックな舞台と香港映画のアクション要素を融合させた独自のクライム・サスペンス。リウ・タオの繊細な演技と控えめな衣装が、物語の感情的な核を支え、アーロン・クォックとワン・チエンユエンの対決がスリリングな展開を生み出します。罪と正義、家族への愛をテーマに、観客に深い余韻を残す作品です。オリジナル版との比較も楽しみながら、緊張感とユーモアのバランスをぜひ堪能してください。
レビュー 作品の感想や女優への思い