ピッツバーグ(Pittsburgh)は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州南西部に位置する都市。人口は約30万7千人で、都市圏全体では240万人を超えています。この街は、アレゲーニー川とモノンガヘラ川が合流してオハイオ川となる地点にあり、橋の数が446本を超えることから「橋の街」と親しまれています。かつては鉄鋼産業の中心地として世界的に知られ、「鉄の街」と呼ばれていましたが、現在は医療、教育、技術分野が経済の柱となっています。
カーネギーメロン大学やピッツバーグ大学などの名門教育機関が集まり、若者や研究者が多く住む活気ある街です。丘陵地帯の独特な地形が織りなす景色は美しく、ダウンタウンの歴史的な建築物と現代的な高層ビルが調和しています。また、プロスポーツチームのピッツバーグ・スティーラーズやピッツバーグ・ペンギンズの本拠地でもあり、スポーツ文化が根付いています。住民は「ピッツバーガー」や「インザー」と呼ばれ、親しみやすいコミュニティを形成しています。
ピッツバーグは、環境再生に成功した都市としても評価されています。かつての汚染された工業地帯が、今では公園や文化施設に生まれ変わっています。こうした変貌ぶりは、持続可能な都市開発のモデルケースとなっています。訪れる人々は、豊かな歴史と未来志向のエネルギーを感じられるでしょう。
歴史
ピッツバーグの歴史は、1758年にさかのぼります。この年、イギリス軍がフランスのフォート・デュケインを奪取し、ウィリアム・ピットにちなんでピッツバーグと命名しました。フォート・ピットが建設され、西部開拓の拠点となりました。19世紀に入ると、鉄鋼産業が急速に発展し、街は急成長を遂げます。カーネギーやフリックなどの実業家が鋼鉄生産をリードし、ピッツバーグは「鉄の首都」と呼ばれるようになりました。
1900年代初頭には人口が50万人を超え、アメリカ合衆国有数の工業都市となりました。しかし、1970年代以降、鉄鋼業の衰退により深刻な経済危機を迎えます。工場閉鎖と失業が相次ぎ、「ラストベルト」の象徴となりました。この危機を乗り越えるため、1970年代から「ピッツバーグ・ルネサンス」と呼ばれる都市再生計画が進められました。環境浄化、技術産業の誘致、教育機関の強化が図られ、街は見事に復活しました。
現在、ピッツバーグは医療やロボット工学、ソフトウェア分野で世界をリードする都市です。2009年にはG20サミットが開催され、その変貌ぶりが国際的に注目されました。歴史的な遺産を守りつつ、未来に向けた革新を続けるピッツバーグは、アメリカの都市再生の成功例として語り継がれています。
おもな教育機関
高等教育
ピッツバーグには、世界的に評価の高い教育機関が数多くあります。これらの大学は、研究やイノベーションの中心として、街の経済を支えています。学生や研究者が集まることで、街全体に活気が生まれています。
ピッツバーグ大学は、1787年に設立された歴史ある公立大学です。医学部や法学部が特に優れており、研究成果が世界に発信されています。キャンパスはオークランド地区にあり、周辺に文化施設が集中しています。
カーネギーメロン大学は、1900年に設立された私立大学で、コンピュータサイエンス、ロボット工学、芸術分野で世界トップクラスです。多くの起業家や技術者を輩出しています。ドラマスクールも有名で、エンターテイメント業界に大きな影響を与えています。
その他、ポイントパーク大学、チャタム大学、ドゥケイン大学なども、専門的な教育を提供しています。これらの機関は、街の知的基盤を形成し、若い世代の定着を促進しています。
映画演劇学校
ピッツバーグの映画演劇教育は、特に充実しています。カーネギーメロン大学のドラマスクールは、アメリカ有数の演劇教育機関です。BFAやMFAのプログラムがあり、演技、演出、デザイン、脚本など幅広い分野をカバーしています。多くの卒業生がブロードウェイやハリウッドで活躍しています。
ポイントパーク大学には、演劇・映画・アニメーションの学校が設置されています。実践的なトレーニングを重視し、プロの現場を想定したカリキュラムが特徴です。学生は実際の制作に参加する機会が多く、即戦力として業界に飛び込みます。
ピッツバーグ大学にも、フィルム&メディアスタディーズプログラムがあります。批評と制作の両方を学び、ドキュメンタリーや実験映画の制作に力を入れています。これらの学校は、ピッツバーグを映画の街としても位置づけています。
登場する映画
ピッツバーグは、数多くの映画の舞台や撮影地として使われてきました。街の工業的な風景や美しい橋、丘陵地帯が、物語に独特の雰囲気を加えています。以下に、主な作品を紹介します。
- フラッシュダンス(1983年):ジェニファー・ビールズ主演。ピッツバーグの工場街やダンスシーンが印象的で、街のエネルギーを象徴しています。
- ディア・ハンター(1978年):ロバート・デ・ニーロ主演。ウェスタン・ペンシルベニアの鋼鉄町を舞台に、ベトナム戦争の影響を描いています。
- 羊たちの沈黙(1991年):一部がピッツバーグで撮影され、緊張感あふれる場面に街の建築が活用されました。
- ダークナイト ライジング(2012年):クリストファー・ノーラン監督。ゴッサム・シティとしてダウンタウンやスタジアムが登場し、壮大なアクションシーンを支えました。
- ワンダーボーイズ(2000年):マイケル・ダグラス主演。カーネギーメロン大学を舞台に、作家の葛藤を描いています。
- ジャック・リーチャー(2012年):トム・クルーズ主演。街のトンネルや川辺が、追跡シーンの舞台となりました。
- アドベンチャーランド(2009年):ジェシー・アイゼンバーグ主演。ケニーウッド遊園地を舞台にした青春コメディです。
- ミー・アンド・アール・アンド・ザ・ダイイング・ガール(2015年):ポイント・ブリーズの住宅街で撮影され、温かな友情物語が展開します。
- ザ・ネクスト・スリー・デイズ(2010年):ラッセル・クロウ主演。実際の刑務所や裁判所が使われ、緊迫した脱獄劇が描かれました。
- ドライブ・アウェイ・ドールズ(2024年):イーサン・コーエン監督。ピッツバーグの道路や街並みが、ロードムービーの背景となっています。
これらの映画は、ピッツバーグの多様な魅力を世界に発信しています。街を訪れる映画ファンは、撮影地を巡るのも楽しみのひとつです。
出身女優・モデル
ピッツバーグは、多くの才能ある女優やモデルを輩出しています。彼女たちは、演技力や表現力でエンターテイメント業界をリードしています。以下に、主な人物を紹介します。
- ジュリー・ベンツ:ピッツバーグ出身の女優。『バフィー 恋する十字架』(1997-2000年 ダーラ)で注目を集め、『デクスター』(2006-2010年 リタ・ベネット)でサターン賞を受賞。他に『ランボー』(2008年)、『ソウ5』(2008年)などに出演しています。
- ギリアン・ジェイコブス:コミカルな演技が魅力の女優。『コミュニティ』(2009-2015年 ブリタ・ペリー)でブレイクし、『ラブ』(2016-2018年 ミッキー・ドッブス)で主演を務めました。『フィアー・ストリート』三部作(2021年)にも登場しています。
- マディ・ジーグラー:ダンサーから女優・モデルへ転身した才能。『ミュージック』(2021年 ミュージック)で主演を務め、『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年 ヴェルマ)ではスティーブン・スピルバーグ監督作品に出演しました。モデルとしても活躍し、ファッション誌を飾っています。
これらの女性たちは、ピッツバーグの創造性を体現しています。彼女たちの成功は、後進の励みとなっています。
出身女性アスリート
ピッツバーグからは、国際的に活躍する女性アスリートが多く生まれています。彼女たちは、努力と才能でスポーツ界に貢献しています。以下に、主な人物を紹介します。
- メーガン・クリンゲンバーグ:サッカー選手です。アメリカ女子代表として2015年FIFA女子ワールドカップで優勝。NWSLではポートランド・ソーンズで2回の優勝を果たしました。守備の要として活躍しています。
- スージー・マコネル=セリオ:バスケットボール選手・コーチです。オリンピックで1988年金、1992年銅を獲得。WNBAではコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞し、ピッツバーグ大学女子バスケットボールチームを指導しています。
- ブリアン・マクラフリン:アイスホッケー選手です。アメリカ代表として2010年、2014年オリンピックで銀メダル。NCAA記録となるセーブ数を達成し、プロでも活躍しました。
- ローリン・ウィリアムズ:陸上・ボブスレー選手です。2004年オリンピック100m銀、2012年4×100mリレー金。2014年冬オリンピックボブスレー銀で、夏冬両方でメダルを獲得した初のアメリカ人女性となりました。
- リー・スミス:水泳選手です。2016年オリンピック400m自由形銅、4×200mリレー金。世界選手権でも複数メダルを獲得し、長距離自由形のトップスイマーです。
これらのアスリートは、ピッツバーグのスポーツ精神を象徴しています。彼女たちの活躍は、若い世代に夢を与え続けています。


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