韓国ドラマ『ミリオネア邸宅殺人事件』は、郊外の豪邸を舞台に有名画家ユ・イノの謎の死をめぐるミステリー。
誕生日パーティーに集まった8人の男女が容疑者となり、数百億の遺産を巡る欲望と秘密が交錯します。全8話で、同時間帯視聴率1位を記録した本格謎解き作品です。ドンデン返しと心理戦が連続し、ブラックユーモアも交えたノンストップのエンターテイメントをお楽しみいただけます。
基本情報
- 邦題：ミリオネア邸宅殺人事件
- 原題：십시일반
- 中題：十匙一食
- 公開年：2020年
- 製作国・地域：韓国
- 再生時間：90分
- ジャンル：ミステリー
女優の活躍
このドラマでは、複数の女優さんが魅力的な役柄を演じ分け、物語の緊張感を高めています。特に、主演級の活躍を見せたのがキム・ヘジュンさんです。彼女はユ・ビンナ役を務め、婚外子として複雑な家族関係に巻き込まれながらも、父の死の真相を鋭く追求するしっかり者の大学生を体現します。キム・ヘジュンさんは、冷静沈着な表情から感情が爆発するシーンまで、幅広い演技で視聴者を引き込みます。本作での存在感が評価され、2020年のMBC演技大賞新人女優賞を受賞しました。『キングダム』シリーズでの王妃役で国際的に注目された彼女ですが、このドラマではミステリー要素を活かした推理力の強いキャラクターを鮮やかに描き、物語の中心を支えています。ビンナの成長と葛藤が、視聴者の共感を呼び、キム・ヘジュンさんの演技力が光るポイントです。
次に、オ・ナラさんです。彼女はキム・ジヘ役で、画家ユ・イノとの不倫の末に娘を産んだ女性を演じます。善悪の境界が曖昧なミステリアスな人物として、視聴者を翻弄する演技が秀逸です。『SKYキャッスル～上流階級の妻たち～』や『マイ・ディア・ミスター～私のおじさん～』で知られる実力派女優らしく、微妙な表情の変化で内面的な葛藤を表現します。ジヘの過去の秘密が明らかになる過程で、オ・ナラさんの深みのある演技がドラマのサスペンスを増幅させます。彼女の存在は、単なる容疑者以上の重層性を与え、物語に深みを加えています。
また、キム・ジョンヨンさんはチ・ソリョン役、イノの元妻で演劇演出家を演じます。『七日の王妃』や『ザ・ゲーム～午前0時：愛の鎮魂歌～』での経験を活かし、冷徹で計算高い女性像を構築します。ソリュンの嫉妬と野心が遺産争いを複雑にし、キム・ジョンヨンさんのシャープな台詞回しが心理戦の緊張を高めます。彼女の活躍は、家族の闇を象徴する重要な役割を果たします。
キム・シウンさんはトッコ・ソン役、浪人生の娘として登場します。『チェックメイト！～正義の番人～』で注目された彼女は、家族の詐欺師の父との関係で苦悩する役を繊細に演じます。若々しい混乱と成長の過程が、ミステリーの合間に人間ドラマを織り交ぜ、視聴者に息抜きを与えます。これらの女優さんたちの活躍により、ドラマは単なる推理劇ではなく、人間模様の豊かな作品となっています。彼女たちの演技は、互いに引き立て合い、全体のクオリティを向上させています。
女優の衣装・化粧・髪型
ドラマの舞台が豪邸という上流階級の設定のため、女優さんたちの衣装はエレガントで洗練されたものが中心です。キム・ヘジュンさんが演じるユ・ビンナの衣装は、大学生らしいカジュアルさとミステリーの緊張感を反映したスタイルです。パーティーシーンでは、膝丈のシフォンドレスを着用し、淡いブルーやグレーなどのクールカラーが基調となります。日常シーンでは、シンプルなブラウスにスキニーパンツを合わせ、動きやすさを重視した実用的なファッションです。化粧はナチュラルメイクが主流で、薄いファンデーションにピンクのチークを軽く入れ、目元に細いアイラインを引いて知的な印象を強調します。髪型はストレートのロングヘアを自然に下ろすことが多く、推理シーンではポニーテールにまとめ、集中力を視覚的に表現しています。このスタイルは、ビンナの聡明さと若々しさを引き立て、視聴者に親しみやすさを感じさせます。
オ・ナラさんのキム・ジヘ役の衣装は、セクシーさとミステリアスさを兼ね備えたものです。黒やワインレッドのタイトなワンピースが登場し、深いVネックのデザインで大人の魅力を放ちます。アクセサリーは大ぶりのネックレスをアクセントに、全体をラグジュアリーに仕上げています。化粧はスモーキーアイが特徴で、濃いめのアイシャドウと赤いリップが、過去の秘密を抱える女性の妖艶さを際立たせます。髪型はウェーブのかかったミディアムヘアをサイドに流し、視線を誘導するようなアレンジが施されます。パーティー後の緊張シーンでは、髪をアップにまとめ、首筋のラインを露わにすることで、脆弱さと強さを同時に表現しています。オ・ナラさんの衣装は、ドラマのダークな雰囲気にマッチし、視覚的なインパクトを与えています。
キム・ジョンヨンさんのチ・ソリョン役は、演劇演出家らしいアーティスティックなファッションです。ロングコートにワイドパンツのセットアップが目立ち、モノトーンカラーが冷徹なキャラクターを強調します。化粧はマットなベージュトーンのファンデーションに、シャープな眉とヌードリップでプロフェッショナルな印象です。髪型はボブカットに軽くカールさせ、知的で近寄りがたいオーラを醸し出します。一方、キム・シウンさんのトッコ・ソン役は、浪人生らしいラフなスタイルで、Tシャツにデニムスカートを合わせ、若者の日常感を演出します。化粧は最小限で、ピュアなスキンケアメイクが中心。髪型はボサボサのポニーテールが多く、家族の混乱を反映しています。これらの衣装・化粧・髪型は、キャラクターの心理を視覚的に補完し、ドラマの没入感を高めています。全体として、豪邸の華やかさとミステリーの影のコントラストが、美しいファッションを通じて表現されています。
あらすじ
物語は、著名な画家ユ・イノの誕生日パーティーから始まります。郊外に建つ瀟洒な豪邸に、親族や仕事仲間、家政婦ら8人の男女が集まります。彼らは、イノが不治の病で余命わずかであることを知っており、莫大な財産に関する遺言書の公開を密かに期待しています。その中には、イノとの不倫で娘を生んだ元愛人キム・ジヘと、その娘で大学生のユ・ビンナもいます。パーティーは表面上は祝福の場ですが、イノの疑心暗鬼な態度から気まずい空気が流れ、早々に解散となります。
しかし、翌朝、衝撃的な出来事が起こります。イノが自室のベッドで遺体となって発見されるのです。死因は睡眠薬の過剰摂取によるものですが、外部からの侵入者の形跡はなく、邸宅に滞在していた全員が容疑者として浮上します。消えた遺言書を巡り、誰もが互いを疑い、秘密を隠そうとする者と真相を暴こうとする者が入り乱れます。ビンナは父の死に疑問を抱き、独自に調査を始めます。彼女は家族の複雑な関係を解きほぐしながら、怨恨や嫉妬が絡む過去の出来事を掘り起こします。
容疑者たちにはそれぞれの動機があります。イノの元妻チ・ソリョンは離婚時の恨みを抱え、異父弟トッコ・チョルは詐欺師として金に執着します。甥のユ・ヘジュンはロースクール生として法的な視点から介入し、家政婦のパク・ジンスクは長年の忠誠心を武器に情報を握ります。マネージャーのムン・ジョンウクは仕事上の秘密を、トッコ・ソンは父の影響で混乱します。刑事のホン・ジェギュとカン刑事が捜査を進めますが、邸宅内の心理戦は激化します。
ビンナの調査が進むにつれ、睡眠薬の投与が複数人によるものだったことが明らかになります。一粒では死に至らない量ですが、連続投与で致死量を超えたのです。犯人は単独ではなく、黒幕が複数人を操っていた可能性が浮上します。遺言書の行方、家族の血縁の真実、隠された不倫の詳細が次々と暴かれ、視聴者を驚かせるドンデン返しが連続します。最終的に、欲望に駆られた人間たちの本性が露わになり、真相がパズルのように組み上がります。遺産の行方は意外な形で決着し、ビンナは家族の絆を再確認します。このあらすじは、ノンストップのサスペンスを予感させ、ミステリーファンを魅了します。全8話を通じて、豪邸の閉鎖空間が緊張を高め、息もつかせぬ展開が続きます。
解説
『ミリオネア邸宅殺人事件』は、韓国ドラマの伝統的な家族劇にミステリー要素を融合させた革新的な作品です。原題「十匙一飯」は、食事の分け前を意味する諺から来ており、遺産争いの比喩として使われます。物語の核心は、睡眠薬の「一匙」ずつが積み重なるように、個々の欲望が事件を招く点にあります。この構造は、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』のような密室ミステリーを思わせ、韓流ドラマ初の豪邸殺人ものとして新鮮味があります。同時間帯視聴率1位を記録した理由は、視聴者の好奇心を刺激するドンデン返しと、ブラックユーモアのバランスです。容疑者たちの胡散臭いやり取りがコミカルに描かれ、重いテーマを軽やかに進める工夫が見事です。
テーマ的には、人間の欲望と嘘の心理描写が深掘りされます。遺産を狙う親族たちの告白がパズルのピースとなり、家族の絆の脆さを浮き彫りにします。ビンナの視点から進む推理は、若者の成長譚としても機能し、単なるサスペンスを超えた人間ドラマを提供します。脚本のチェ・ギョンさんは公募新人ですが、緻密なプロット構築で評価され、心理戦の台詞が鋭いです。演出のチン・チャンギュさんは、『逆賊』での経験を活かし、豪邸のセットを効果的に使い、閉塞感を視覚化します。照明の暗さと影の演出が、秘密の多層性を象徴します。
社会的な側面では、上流階級の腐敗を描き、韓国社会の格差問題を風刺します。視聴率3%台ながら、口コミと検索ワードで話題沸騰し、ミステリーファン層を獲得しました。ネタバレ厳禁の宣伝が功を奏し、再視聴価値が高いです。女優さんたちの演技が光る中、全体のテンポの良さが魅力で、短い8話構成が集中力を保ちます。結末の意外性は、欲望の連鎖がもたらす悲劇を問いかけ、視聴者に余韻を残します。このドラマは、韓国ミステリーの新たなスタンダードを確立したと言えるでしょう。推理好きの方には特におすすめです。
キャスト
- キム・ヘジュン：ユ・ビンナ（婚外子の大学生、真相究明の中心人物）
- オ・ナラ：キム・ジヘ（イノの元愛人、ビンナの母）
- ナム・ムンチョル：ユ・イノ（有名画家、事件の被害者）
- キム・ジョンヨン：チ・ソリョン（イノの元妻、演劇演出家）
- ムン・ジョンウク：イ・ユニ（イノの友人、マネージャー）
- パク・ジンスク：ナム・ミジョン（イノの家政婦）
- ハン・スヒョン：トッコ・チョル（イノの異父弟、詐欺師）
- チェ・ギュジン：ユ・ヘジュン（イノの甥、ロースクール生）
- キム・シウン：トッコ・ソン（トッコ・チョルの娘、浪人生）
- クォン・ドンホ：ホン・ジェギュ（担当刑事）
- チャン・チョルスン：カン刑事（ホン・ジェギュのパートナー）
- キム・ミョンソン：チン・ヨニ（イノの遺言書作成弁護士）
- イ・スンヒョン：イノの主治医
- パク・チャンヒョン：報道番組のMC
- ユン・インジョ：ギャラリー館長
- ユ・イングク：イノの実弟
スタッフ
- 演出：チン・チャンギュ（『バッドパパ』、『トゥー・カップス～ただいま恋が憑依中！？～』、『逆賊-民の英雄 ホン・ギルドン-』）
- 脚本：チェ・ギョン（脚本賞公募選出の新鋭作家）
- 制作：MBC（2020年7月22日～8月13日放送、全8話）
レビュー 作品の感想や女優への思い