『セカンド・ラブ』は1983年に公開された日本の映画。都会の中で生きがいと愛を求めて必死に生きる若い再婚女性の姿を描きます。32歳のグリーンコーディネーターが、年下の夫とのすれ違いや妊娠、謎の事件を通じて夫婦の絆を問い直すドラマです。東陽一監督が大原麗子を主演に迎え、現代女性の内面を繊細に表現しています。
基本情報
- 原題:セカンド・ラブ
- 公開年:1983年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:103分
- ジャンル:ドラマ
- 配給:東映
女優の活躍
本作『セカンド・ラブ』の主演を務める大原麗子は、日向一実役を熱演しています。彼女は1960年代に東映のプログラムピクチャーでデビューし、1970年代にはテレビドラマで人気を博しました。
特にハスキーな声と魅力的な容姿で「好感度ナンバーワン女優」と呼ばれました。この映画では32歳の再婚女性を演じ、仕事と家庭の両立に悩む現代女性の複雑な心理を体現しています。レビューでは、彼女の演技が夫婦関係に説得力を持たせていると評価されています。
共演の小林薫とのベッドシーンでは、過激な濡れ場を披露し、生涯で最も大胆なパフォーマンスとして話題になりました。当初ヌードを拒否していましたが、タイトル変更により出演を決意しました。このシーンでは、喘ぎ声が印象的で、彼女の表現力が光ります。東陽一監督のディレクションのもと、辛抱強い演技で観客を引き込みます。
また、中村れい子演じる展子との対比で、大原麗子の成熟した魅力が際立っています。彼女の活躍は、映画のクオリティを高め、女性映画としての深みを加えています。批評家からは、美しさと演技の上手さが称賛され、エロカワセクシーなイメージを確立しました。
本作は大原麗子の映画代表作の一つとなり、彼女のキャリアに重要な位置を占めます。共演者との化学反応も良く、特に小林薫との夫婦像がリアルです。
全体として、大原麗子の献身的な演技が物語の核心を支え、観る者に強い印象を残します。彼女は本作を通じて、再婚女性の強さと脆さを自然に描き分け、感情のレイヤーを豊かに表現しています。レビューでは「大原麗子のおかげで最後まで見られた」という意見が多く、彼女の才能が映画の成功に大きく寄与しています。この役は、彼女の声の魅力を活かしたもので、音響の悪い邦画でも輝きます。彼女の活躍は、1980年代の日本映画界で女性像を更新するものとなりました。
女優の衣装・化粧・髪型
大原麗子が演じる日向一実の衣装は、1980年代の都会的な女性を反映したものが中心です。グリーンコーディネーターという職業柄、ナチュラルで洗練されたスタイルが多く、ブラウスにスカートやパンツを組み合わせたカジュアルエレガントな服装が見られます。個展シーンでは、シックなドレスを着用し、プロフェッショナルな印象を与えます。ベッドシーンではシンプルな下着姿となり、素朴さを強調しています。
化粧は自然体で、薄いファンデーションに軽いリップとアイメイクが施され、32歳の成熟した美しさを引き立てます。疲労や悩みを表現する場面では、苍白さを加えたメイクで心理状態を視覚化しています。
髪型はミディアムヘアをストレートに下ろしたものが基本で、仕事中はまとめ髪にし、プライベートでは軽くウェーブを加えて柔らかさを演出します。レビューでは、80年代ジャニーズアイドル風のねじりはちまきが登場し、時代感を表しています。
これらの要素は、物語の現実味を高め、大原麗子の自然な魅力を活かしたデザインとなっています。
共演の中村れい子の衣装はより積極的なスタイルで、対比を際立たせます。荒木道子演じる母親の衣装は家庭的なワンピースが多く、化粧は控えめです。
全体的に、衣装・化粧・髪型は夫婦のすれ違いを象徴し、映画の緊張感を支えています。個展パーティーでは、エレガントなアクセサリーを加え、華やかさを演出します。これにより、一実の内面的な強さが視覚的に表現されています。
あらすじ
日向一実は32歳のグリーンコーディネーターで、植物をインテリアにコーディネートする仕事で活躍しています。彼女は20歳近く年上の男性と初婚し、二年前に離婚後、年下の建築家・秀夫と再婚しました。
夫婦は自立した関係を築いていますが、秀夫は一実にかかってくる正体不明の電話を前夫からのものだと疑います。一実は妊娠の兆候を感じますが、秀夫に打ち明けられません。喫茶店マスターの友春が一実に微妙な視線を向け、一実は個展の準備に励みます。
個展当日、母の志保と姉の茅子が訪れ、女性誌ライターの展子が取材に来ます。秀夫が現れ、展子は彼に執拗に近づきます。個展を祝う中、一実は自宅に戻り、台所で見知らぬ男の死体を発見します。
秀夫は前夫の影を口走り、事件が夫婦のモヤモヤを噴出させます。展子の存在が火に油を注ぎ、秀夫は故郷の和歌山に帰省しますが、そこに展子が待ち構えています。
一実は友春に唇を奪われ、産婦人科で妊娠を確信します。パーティーで電話が鳴り、秀夫が一実の仕事を虚業と非難します。一実は反論し、妊娠を告白します。
その後、事故で一実は怪我をし、秀夫も転倒します。頭に包帯を巻いた一実が母子手帳を握り、足を引きずる秀夫が近づき、二人は和解します。
あらすじは、再婚夫婦のすれ違いと絆の再生を描き、謎の事件を交えサスペンス要素を加えています。この展開は、観客に夫婦のリアルな葛藤を感じさせます。
解説
本作は1983年に公開された日本映画で、東映配給のドラマ。監督の東陽一は「人形嫌い」「ザ・レイプ」などで知られる女性映画の名手で、本作でも現代女性の内面を繊細に描いています。
主演の大原麗子はテレビでの人気を活かし、映画での大胆な演技で注目を集めました。脚本は田中晶子と東陽一が共同で執筆し、再婚女性の生きがいと愛をテーマにしています。製作は幻燈社と東映で、低予算ながら京都と東京都内のロケを活用しました。音楽の田中未知が情感豊かなスコアを提供し、撮影の川上皓市が都会の風景を美しく捉えています。
テーマは夫婦の信頼と自立で、電話や死体の謎がサスペンスを加え、単なるラブロマンスを超えています。公開当時、大原麗子の濡れ場が話題になり、東映の「脱がせろ」方針で議論を呼びました。レビューでは夫婦関係の説得力が評価される一方、内容に乗れないとの意見もあります。
R15指定の必要がないほど穏やかですが、心理的な深みが魅力です。共演の小林薫は浮気性夫を好演し、中村れい子がライバル役で緊張を高めます。
本作は1980年代の日本社会を反映し、女性の社会進出と家庭のバランスを問います。編集の市原啓子がテンポ良くまとめ、照明の磯崎英範が陰影を活かしています。全体として、エンターテイメントと社会性を兼ね備え、ホロ苦い余韻を残します。この映画は、ホラー要素はなく純粋なドラマですが、人生の複雑さを警告します。視聴者は夫婦のリアルに共感します。
キャスト
- 大原麗子:日向一実
- 小林薫:日向秀夫
- 中村れい子:展子
- アイ・ジョージ:友春
- 長谷川初範:山野
- 西岡徳馬:磯村
- 河原崎建三:秀夫の兄
- カルナ:洋子
- 荒木道子:一実の母志保
- 赤座美代子:一実の姉茅子
- きたむらあきこ:美樹
- 中村龍史:津田
- 吉田美鈴:JAZZ喫茶の少女
- 川道信介:花村
- 伊藤幸子:高橋芙美子
- 斉藤吏絵子:高橋倫子
- 加茂さくら:冴子
- 千葉裕子:尚子
- 松橋登:上条
- 望月太郎:伏見
- 花上晃:岡田
- 鶴田忍:佐々木
- 河合絃司:桑原
- 飯島大介:刑事A
- 椎谷建治:刑事B
- 志賀圭二郎:刑事C
- 井上博一:刑事D
- 村上正次:鑑識課員A
- 友金敏雄:鑑識課員B
- 松本けい子:CFタレント
- 政宗一成:産婦人科医
- 奥村公延:秀夫の父辰巳
- 伊佐みつえ:秀夫の兄嫁幹子
- 山口奈美:友春の妻聖子
- 柏熊美樹:友春の娘未来
- 若林哲行:高橋一郎
- 酒井郷博:ジョギングの男
- 飯野けいと:雑誌モデルの娘
- J・ピッカーズ・バンド:バンドグループ
- 三須志雄:一実の甥真
スタッフ
- 監督:東陽一
- 脚本:田中晶子、東陽一
- 企画:吉田達、前田勝弘
- 製作:吉田達、前田勝弘
- 撮影:川上皓市
- 美術:綾部郁郎
- 音楽:田中未知
- 録音:久保田幸雄
- 照明:磯崎英範
- 編集:市原啓子
- 助監督:栗原剛志
- スチール:遠藤正
- 製作協力:渡辺企画
- グリーン・コーディネーター:池上信夫



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