『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』は、1969年に公開された日本映画。青江三奈のヒット曲「長崎ブルース」を基調に、東京と長崎の夜の盛り場を舞台に、ホストやホステスの恋愛模様と愛欲の生態を描いた人間ドラマ。主演は松方弘樹と宮園純子で、監督は鷹森立一。上映時間は88分、ジャンルはドラマ、配給は東映。
基本情報
- 原題:夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース
- 公開年:1969年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:88分
- ジャンル:ドラマ
女優の活躍
『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』では、数多くの女優が夜の盛り場を彩る女性たちを演じ、物語の情感を豊かにしています。
宮園純子は水野直美役を務めます。直美は長崎のホステスで、弟の清志を説得するために上京しますが、ホストの浜崎史郎に襲われながらも、愛の板挟みに悩む複雑な心境を表現します。彼女の活躍は、物語の中心軸を担い、自殺未遂のシーンでドラマチックな演技を披露します。宮園純子の繊細な感情表現が、観客の共感を呼びます。
大原麗子は荻京子役で、遊び好きの金持ち令嬢として登場します。彼女は清志を金で買うようなドライな現代女性を体現し、ホスト業界の華やかな面と冷徹さを描きます。大原麗子の活躍は、谷隼人演じる清志との関係で特に目立ち、令嬢らしい傲慢さと内面的な孤独を巧みに演じ分けます。
青江三奈は銀子役のクラブ歌手として出演し、セクシーボイスを活かした歌唱シーンで物語にムードを添えます。彼女の活躍は、ヒット曲「長崎ブルース」を歌う場面で頂点に達し、夜の哀愁を象徴します。青江三奈の本業である歌手としての魅力が、映画の歌謡要素を強化します。
曽我町子は芳村夕起子役で、経験豊富な女性として脇を固めます。彼女の活躍は、夜の業界の裏側を語るシーンで光り、物語に深みを加えます。
白木万理は秋山シズ江役、西岡慶子は横山美佐役、若水ヤエ子は米倉とみ役を演じ、それぞれのホステスや客として、群像劇的な要素を支えます。
これらの女優たちは、1960年代後半の東映歌謡映画らしい、情感豊かな女性像を構築します。宮園純子は、愛の葛藤を体当たりで演じ、当時の女性観を反映した役柄で評価されます。大原麗子は、現代的なドライさを強調し、シリーズの多様な女性像を広げます。青江三奈の歌唱は、映画の売りとして機能し、観客を魅了します。
全体として、女優たちの活躍は、男中心のホスト世界に女性の視点を持ち込み、恋愛ドラマのバランスを取っています。彼女たちの演技は、暴力や愛欲のテーマを柔らかく包み込み、娯楽性を高めます。レビューでは、大原麗子の令嬢らしいお嬢っぷりが好評で、宮園純子の献身的な役柄が物語の感動を呼びます。これらの活躍により、『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』は夜の歌謡シリーズの代表作として位置づけられます。
女優の衣装・化粧・髪型
『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』の女優たちの衣装は、1960年代後半の夜の盛り場を反映した華やかなものが多く、ドレスやミニスカートが主流です。
宮園純子演じる直美は、長崎のホステスとしてエレガントなワンピースや着物を着用し、上京シーンではシンプルなブラウスとスカートで清純さを強調します。彼女の衣装は、物語の進行とともに乱れ、ドラマチックな変化を見せます。化粧はナチュラルで、目元を優しく強調したメイクが施され、髪型はロングヘアをストレートに下ろしたスタイルが多く、風に揺れる様子が哀愁を表します。
大原麗子演じる京子は、金持ち令嬢らしく高級感のあるドレスや毛皮のコートを着用します。彼女の衣装は、ホストを買うシーンで特に派手で、宝石やアクセサリーが輝きます。化粧はグラマラスで、赤いリップと濃いアイシャドウが用いられ、髪型はアップスタイルやウェーブヘアが採用され、洗練された印象を与えます。
青江三奈演じる銀子は、歌手としてステージドレスを纏い、セクシーさを前面に出します。彼女の衣装は、ボディラインを強調したもので、化粧は妖艶なスモーキーアイとグロッシーリップ、髪型はボリュームのあるカールヘアが特徴です。
曽我町子演じる夕起子は、熟女らしいシックなドレスを着用し、化粧は落ち着いたトーンで、髪型はショートヘアが用いられます。
その他の女優たちも、ホステス役としてミニドレスやイブニングガウンを着用します。
全体的に、衣装はネオンライトの下で映える派手な色使いが共通し、当時のファッショントレンドを体現します。化粧は夜のシーンに適した濃いめで、髪型はロングやアップのバリエーションが豊富です。これらの要素は、物語のムードを視覚的に高め、女性たちの魅力を引き立てます。レビューでは、大原麗子の衣装が令嬢らしさを強調し、宮園純子のシンプルさが役柄の純粋さを表すと評されます。ファッションは、ホスト業界の華やかさと対比し、女性の内面を表現するツールとして機能します。
あらすじ
新宿のクラブエリートのトップホスト、浜崎史郎は、街で水野清志を拾い、ホストとしてデビューさせます。清志は純情タイプで、年上女性に高値で売られ、徐々に技を磨きます。
その頃、清志の姉直美が上京し、弟を長崎に連れ帰ろうと説得しますが、清志は高収入の仕事に執着し、拒否します。直美は史郎に頼み込みますが、史郎のプライドを傷つけ、激怒した史郎は直美を襲います。しかし、直美の気品に触れ、後悔します。
清志から直美の結婚を知った史郎は長崎へ向かい、婚約者の布施に過去の関係を告白します。布施から軽蔑され、直美は絶望し自殺を図ります。史郎は直美を死から救いますが、布施の報復で雇われたチンピラに重傷を負います。
物語は、夜の盛り場を背景に、愛と裏切り、暴力の渦を描きます。青江三奈の歌が、哀愁を添えます。このあらすじは、当時の社会風俗を反映し、ホスト業界の初期描写として興味深いです。直美の献身と史郎の変貌が、ドラマの核心です。
解説
『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』は、東映の歌謡映画シリーズ第5作として位置づけられます。1968年に発売された青江三奈のヒット曲「長崎ブルース」を基調に、東京と長崎の夜の盛り場を結び、男と女の恋愛と愛欲を描きます。
脚本は舟橋和郎が担当し、性犯罪法入門の影響を受けた人間ドラマを展開します。監督の鷹森立一は、シリーズの連続性を保ちつつ、夜の風俗を哀愁のメロドラマとして描きます。撮影は星島一郎が手掛け、1960年代の街並みを活き活きと捉えます。『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』は、ホスト業界の初期描写として注目され、当時の娯楽映画の典型です。
しかし、強姦シーンや暴力描写が現代では問題視されます。レビューでは、松方弘樹のクズ役が甘いマスクで許せるとの声が多く、谷隼人の美青年ぶりがアラン・ドロンに比されます。大原麗子の令嬢役は、ドライな現代女性像として評価されます。
シリーズは青江三奈、森進一、八代亜紀の曲を基に複数作られ、本作はムード歌謡の人気を反映します。公開当時は、テレビでは描けないエロと暴力で差別化を図りました。音楽は伊部晴美が担当し、青江三奈の歌唱が物語を盛り上げます。全体として、本作は1960年代の夜の文化を象徴し、フェミニズムの観点から再評価可能です。現在では、カルト的人気を博しています。
キャスト
- 浜崎史郎:松方弘樹
- 水野直美:宮園純子
- 水野清志:谷隼人
- 荻京子:大原麗子
- 古垣:藤村有弘
- 芳村夕起子:曽我町子
- 秋山シズ江:白木万理
- 横山美佐:西岡慶子
- 米倉とみ:若水ヤエ子
- 銀子:青江三奈
- 布施:梅宮辰夫
- ホスト:長沢純
- お客:人見きよし
- 船員A:曽根晴美
- 船員B:高宮敬二
- ボーイ:大泉滉
スタッフ
- 監督:鷹森立一
- 脚本:舟橋和郎
- 企画:園田実彦、吉峰甲子夫
- 撮影:星島一郎
- 美術:北川弘
- 音楽:伊部晴美
- 録音:内田陽造
- 照明:銀屋謙蔵
- 編集:田中修
- スチル:加藤光雄



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