1988年に公開された日本映画『ラスト・キャバレー』は、都市再開発により閉店を迫られる個人経営のキャバレー「ローズ」を舞台に、経営者の父親と高校生の娘の親子関係を描きます。父親の苦悩と娘の自立、周囲の人々の人間模様がエロティックに展開され、日活ロマンポルノの終焉を象徴する作品。監督は金子修介で、上映時間は78分。
基本情報
- 原題:ラスト・キャバレー
- 公開年:1988年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:78分
- 公式ページ:nikkatsu.com
女優の活躍
『ラスト・キャバレー』の主演女優である、かとうみゆきは、柊逢維子役として映画デビューを果たしました。彼女は高校生の娘として、父親からの自立を象徴するシーンで活躍します。特に、マンションでの一人暮らしの準備や、店長室での履歴書を燃やす場面では、感情の揺らぎを繊細に表現しています。また、恋人との抱擁シーンでは、自然な演技で成長した女性像を体現し、第4回にっかつロマン大賞新人女優賞を受賞するほどの評価を得ました。
橋本杏子は、ホステスの森本未也子役で登場し、キャバレーの活気を支える重要な活躍を見せます。彼女のフィンガー・サービスシーンは、過激ながらも店の雰囲気を高揚させるもので、男子学生たちを魅了する描写が印象的です。最終的に田舎へ帰るシーンでは、ひっそりとした去り際が観客の心を揺さぶり、アッパーなキャラクターから静かな情感への移行を巧みに演じ分けています。
高樹陽子は、キャバレーで働く女性としてエロティックなシーンを中心に活躍します。彼女の存在は、店のピンサロ的な側面を強調し、お客との絡みがコミカルに描かれています。また、風祭ゆきや岡本麗、橘雪子、江崎和代などのベテラン女優たちは、ホステスや周辺人物として競演し、ロマンポルノの歴史を支えた女優陣の集大成のような活躍を披露します。それぞれのシーンで、成熟した魅力と演技力が光っています。
これらの女優たちは、日活ロマンポルノの終わりを象徴する本作で、性描写を交えつつ人間ドラマを深めています。かとうみゆきの新鮮さとベテランたちの経験が融合し、作品全体のバランスを整えています。彼女たちの活躍は、1980年代後半の時代背景を反映し、キャバレーの衰退と人々の別れを情感豊かに描き出しています。
女優の衣装・化粧・髪型
かとうみゆき演じる逢維子は、高校生らしいシンプルな衣装が中心です。日常シーンでは、セーターやスカートなどの控えめな服装が多く、化粧はナチュラルでほとんど目立たせていません。髪型はストレートのロングヘアで、若々しさと純粋さを強調しています。特に雨の抱擁シーンでは、濡れた髪が感情の激しさを増幅させ、自然な美しさを引き立てます。
橋本杏子演じる未也子は、ホステスらしい華やかな衣装を着用します。露出度の高いドレスやミニスカートが目立ち、赤や金などの派手な色合いが妖艶さを演出しています。化粧は濃いアイシャドウとリップでセクシーさを強調し、髪型は巻き髪でボリュームを出しています。サービスシーンでは、このスタイルが店の活気を象徴し、観客を引き込む役割を果たします。
高樹陽子、風祭ゆき、岡本麗などの女優たちは、キャバレーシーンでエレガントなドレスを着用します。彼女たちの衣装は、シースルー素材やフリル付きのものが多く、化粧はグラマラスに仕上げられています。髪型はアップスタイルやウェーブヘアで、成熟した魅力を発揮します。これらの要素は、1980年代のキャバレー文化を視覚的に再現し、作品の雰囲気を高めています。
全体として、女優たちの衣装・化粧・髪型は、役柄の性格を反映しています。若い逢維子のシンプルさと、ホステスたちの派手さが対比され、物語のテーマである自立と別れを強調します。日活ロマンポルノらしいエロティシズムを保ちつつ、時代感を表現したスタイリングが特徴です。
あらすじ
個人経営のキャバレー「ローズ」を営む柊信太郎は、高校生の娘・逢維子と二人暮らしをしています。しかし、景気の悪化と都市再開発の影響で、店は閉店を余儀なくされます。信太郎は最後の日を「さよならパーティー」として企画し、店を満員にしようと奔走します。一方、逢維子は父親からの自立を考え、一人暮らしの準備を始めます。
店では、ホステスの森本未也子がフィンガー・サービスを行い、男子学生たちを魅了します。これにより、女子大生のアルバイトが増え、店は一時的に活気を取り戻します。逢維子は、テニス部の土橋龍矢と出会い、付き合い始めます。信太郎は元ホステスを訪ね、娘との別れを惜しみながら話し込みます。
パーティーの当日、店は賑わいますが、終わりを迎えます。信太郎は店を去り、未也子は田舎へ帰ります。逢維子は店長室で履歴書を燃やし、自立の決意を示します。するとスプリンクラーが作動し、雨が降り注ぎます。雨の中で龍矢と抱き合う逢維子。店内は雨に打たれ、誰もいなくなります。この結末は、別れと新たな始まりを象徴しています。
物語は、キャバレーの閉店を通じて、親子の絆と人々の想いを描きます。エロティックなシーンを交えつつ、情感豊かなドラマが展開されます。都市開発の波に飲まれる人々の姿が、1980年代の日本を反映しています。
解説
『ラスト・キャバレー』は、日活ロマンポルノの最後から二番目の作品として、シリーズの終焉を象徴的に描いています。監督の金子修介は、キャバレーの閉店をロマンポルノの終わりになぞらえ、コミカルでエロティックな要素を織り交ぜています。脚本はじんのひろあきによるもので、親子の自立と別れを軸に、人間模様を丁寧に描きます。
時代背景として、1980年代後半のバブル経済と都市再開発が反映されています。キャバレーは、安サラリーマンの憩いの場として描かれ、その衰退が社会の変化を表します。スプリンクラーの雨の演出は、浄化と再生の象徴として効果的です。性描写は明るく、嫌悪感なく描かれ、当時のロマンポルノの特徴を示します。
女優陣の競演は、ロマンポルノの歴史を振り返るオマージュです。新人のかとうみゆきとベテランの橋本杏子らが、店の活気と別れの淋しさを体現します。金子監督の職人技が光り、後年の「平成ガメラ」シリーズにつながる演出の妙味が見られます。
本作は、単なるエロ映画ではなく、人間ドラマとして評価されます。キャバレーの人々の繋がりと失うものを描き、観客にノスタルジーを呼び起こします。ロマンポルノのファンには必見の作品です。
キャスト
- 柊逢維子: かとうみゆき
- 柊信太郎: 大地康雄
- 土橋龍矢: 渡辺航
- 森本未也子: 橋本杏子
- 椎名真理子:風祭ゆき
- 青木令子:岡本麗
- つかさ:江崎和代
- 景子:富田三千代
- 美穂:宮本麻代
- 律子:橘雪子
- 高樹陽子
- 橘雪子
- 清水舞
- 三宅郷美
- 小林孝一
- 加藤光男
- 草薙良一
- 青木令子
- 舟田走
スタッフ
- 監督: 金子修介
- 脚本: じんのひろあき
- 撮影: 高間賢治
- 美術: 丸尾知行
- 製作: 日活



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