映画『暗室』は、1983年に公開された日本映画です。にっかつ創立70周年記念作品として製作され、原作は吉行淳之介の同名小説。監督は浦山桐郎、脚本は石堂淑朗。中年の作家が多彩な女性関係を続ける姿を描いたエロティックなドラマで、上映時間は122分。豪華なキャストが揃い、ロマンポルノの枠を超えた作品となっています。
基本情報
- 原題:暗室
- 公開年:1983年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:122分
女優の活躍
『暗室』では、多くの女優が主人公の中田と関わる女性たちを演じ、物語の中心を担っています。特に、三浦真弓は華道の師匠である多加子を演じ、中田との情熱的な関係を体現します。彼女の活躍は、中田の日常に華やかさを加え、結婚という転機を迎えるまでを描き、情感豊かな演技が光ります。
木村理恵は読者の夏枝役で登場し、中田との出会いから深い絆を築きます。彼女の活躍は、パトロンからの逃避と中田への献身が印象的で、クライマックスの別れのシーンでは涙を流す演技が心を打ちます。エロティックなシーンも多く、彼女の繊細な表現が物語の深みを増しています。
芦川よしみはバーで知り合ったレズビアンのマキを演じ、中田に接近する大胆な役どころです。妊娠と渡米というドラマチックな展開で活躍し、他の女性との関係も描かれ、複雑な人間性を表現します。彼女の演技は、自由奔放なキャラクターを活き活きと描き出しています。
風祭ゆきは中田の妻・圭子役で、過去の事故死という謎めいた存在として活躍します。フラッシュバックシーンで中田のトラウマを象徴し、物語の基盤を支えます。彼女の出演は短いながらも、インパクトを与えています。
夏木陽子は秋子役で、中田の女性関係の一端を担います。彼女の活躍は、夫婦の複雑な関係を描き、成熟した女性の魅力を発揮します。また、西尾三枝子は恭子役、志麻いづみは祐子役で、それぞれ中田の近所の人や他の女性として登場し、多様な女性像を体現します。これらの女優たちは、ヌードシーンを含む大胆な演技で、原作の官能性を視覚化しています。
麻生うさぎはタエ役で、マキのレズビアンパートナーとして活躍し、覗き見られるシーンでエロティックな緊張感を生み出します。田家幸子は由美子役で、補助的な役割ながら物語に彩りを加えています。全体として、女優たちの活躍は中田の内面的葛藤を強調し、作品のテーマを深めています。
女優の衣装・化粧・髪型
『暗室』の女優たちは、ロマンポルノらしいセクシーで露出度の高い衣装を着用しています。三浦真弓の多加子は、華道師匠らしい上品な着物やワンピースを基調とし、化粧はナチュラルで優雅さを強調します。髪型はアップスタイルが多く、伝統的な日本美を表しています。
木村理恵の夏枝は、日常的なブラウスやスカートが中心ですが、親密なシーンではランジェリーやヌードが登場します。化粧は控えめで、素朴な魅力を引き立て、髪型はロングヘアを自然に下ろしたスタイルが目立ち、純粋さを演出します。
芦川よしみのマキは、バーシーンでセクシーなドレスや革ジャケットを着用し、化粧はスモーキーアイで妖艶さを強調します。髪型はショートカットやウェーブがかかったミディアムで、自由奔放なイメージを強めています。
風祭ゆきの圭子は、回想シーンで清楚なワンピースやネグリジェを着用し、化粧は淡く、髪型はストレートロングで神秘的な雰囲気を醸し出します。夏木陽子の秋子は、エレガントなブラウスとスカートで、化粧はマチュアなリップが特徴、髪型はボブスタイルです。
西尾三枝子の恭子は、カジュアルな衣装が多く、化粧は日常的、髪型はミディアムウェーブです。志麻いづみの祐子は、セクシーなトップスで、化粧はボールド、髪型はアップヘアです。麻生うさぎのタエは、ヌード中心のシーンで衣装は最小限、化粧はダークトーン、髪型はショートです。これらの要素は、1980年代のファッションを反映し、各キャラクターの個性を視覚的に強調しています。
あらすじ
物語は、官能作家として成功した中田の日常から始まります。12年前、無名だった頃、中田は若手作家の山野井と妻・圭子の関係を疑い、圭子は事故で死亡します。この出来事が中田の心に影を落とし、以来彼は不能となり、妻との離婚を選びます。
現在の中田は、華道の師匠である多加子と情事を重ねています。多加子は中田に深い愛情を示しますが、結局結婚を選びます。一方、中田はバーで出会ったレズビアンのマキに接近します。マキはパートナーのタエと関係を持ち、中田はそれを覗き見るというエロティックな体験をします。
マキは中田の子を妊娠しますが、堕胎を拒否して渡米します。中田は読者の夏枝と出会い、彼女のパトロンである竹井から逃れるための新生活を約束します。しかし、夏枝のマンションで竹井に襲われ、中田は重傷を負います。
中田は夏枝の実家で回復します。夏枝は知的障害を持つ弟の世話を優先し、中田との別れを選びます。中田は一人で東京に戻り、女性関係の空虚さを痛感します。物語は、中田の内面的な葛藤と女性たちの生き様を描きながら、愛の不在を問いかけます。
フラッシュバックを交え、過去と現在の対比が効果的です。各女性とのエピソードは、官能的なシーンを交えつつ、人間ドラマとして展開します。最終的に、中田は自身の生き方を振り返り、暗室のような孤独を感じます。
解説
『暗室』は、吉行淳之介の原作を基に、日活ロマンポルノとして製作された作品です。にっかつ創立70周年を記念し、通常のロマンポルノを超えた豪華キャストとスタッフが集結しました。監督の浦山桐郎は、14年ぶりのにっかつ作品で、原作の文学性を尊重しつつ、視覚的なエロティシズムを加えています。
テーマは、中年男性の性と愛の葛藤です。中田の多彩な女性関係は、表面的な快楽を描きながら、内面的な空虚さを強調します。原作の心理描写を、ヌードシーンや情事の描写で表現し、ロマンポルノの特徴を活かしています。しかし、重厚なドラマ要素が加わり、単なるエロス映画を超えた深みがあります。
キャストの演技が秀逸で、清水紘治の中田は、成功した作家の孤独を繊細に演じます。女優陣のヌードシーンは、物語の必然性を持ち、時代を反映した大胆さがあります。音楽や撮影も、暗鬱な雰囲気を演出し、暗室のメタファーを視覚化します。
公開当時、にっかつの意欲作として注目されました。ロマンポルノの枠組みながら、文学原作の質の高さが評価され、谷崎潤一郎賞受賞作の映画化として意義深いです。1980年代の日本映画界の多様性を示す一作です。
全体として、性描写の多さから成人向けですが、人間関係の複雑さを描いた普遍的なテーマを持ちます。現代でも、愛と欲望のバランスを考える上で参考になる作品です。
キャスト
- 中田:清水紘治
- 多加子:三浦真弓
- 夏枝:木村理恵
- マキ:芦川よしみ
- 秋子:夏木陽子
- 秋子の夫:中尾彬
- 恭子:西尾三枝子
- 圭子:風祭ゆき
- 祐子:志麻いづみ
- 津野木(山野井):寺田農
- 竹井:江角英
- タエ:麻生うさぎ
- 由美子:田家幸子
- 編集者:井上高志
- ホームドラマの男:信実一徳
- ホームドラマの女:江崎和代
- 医師:殿山泰司
- バーテン:北見敏之
- 渡辺未亡人:金子勝美
- 黒服の男:浜村純
- 良子:岡本かおり
- 多加子の新郎:関川慎二
- 学生:阿部雅彦
- 夏枝の母:初井言栄
- 夏枝の弟:伊藤康臣
スタッフ
- 監督:浦山桐郎
- 脚本:石堂淑朗
- 原作:吉行淳之介
- 企画:成田尚哉
- プロデューサー:三浦朗
- 撮影:安藤庄平
- 美術:佐谷晃能
- 音楽:松村禎三
- 録音:神保小四郎
- 照明:加藤松作
- 編集:井上治
- 助監督:菅野隆
- 助監督:浅尾政行
- スチール:野上哲夫


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