『有楽町で逢いましょう』は、1958年に公開された日本映画です。戦後復興期の東京・有楽町を舞台に、喫茶店を営む未亡人と常連客の青年画家との淡い恋愛模様を描いたラブロマンスです。主演は京マチ子と菅原謙次、監督は島耕二です。フランク永井の同名ヒット歌謡を原作とし、都会的なムードと切ない恋心が魅力の作品です。上映時間は97分、配給は東宝。
基本情報
- 原題:有楽町で逢いましょう
- 公開年:1958年
- 製作国・地域:日本
- 上映時間:97分
女優の活躍
映画『有楽町で逢いましょう』では、女優たちが戦後女性の強さと繊細さを体現し、物語に深みを加えています。
京マチ子は主人公の喫茶店マダム・京子役を務めます。京子は夫を戦争で失った未亡人で、娘を育てながら店を切り盛りする自立した女性です。彼女の活躍は、常連の青年画家・相沢との出会いから始まる恋の揺らぎを、抑制された演技で表現する点にあります。京マチ子は妖艶さと気品を併せ持ち、京子の孤独と恋への憧れを丁寧に描き出します。特に、相沢とのデートシーンや別れの場面での微妙な表情変化が観客の心を捉えます。彼女は本作で東宝の看板女優として、戦後ラブロマンスの典型を確立しました。
野添ひとみは京子の妹・美沙役を演じます。美沙は明るく現代的なOLで、姉の恋を応援しつつ自身も恋愛を抱える役割です。彼女の活躍は、物語の軽やかな部分を担い、京子の重い過去との対比を鮮やかにします。野添ひとみの演技は、戦後生まれの若々しいエネルギーを体現し、コミカルなシーンで笑いを誘います。
北林谷栄は京子の義母役で、家族の絆を象徴する存在です。彼女の活躍は、京子の背中を押し、恋を後押しする温かな演技に表れます。北林谷栄はベテランらしい安定感で、家族劇の基盤を固めます。
叶順子は相沢の恋人・恵子役を務めます。恵子は裕福な家の娘で、相沢との関係が京子の恋の障害となります。彼女の活躍は、京子との対立を通じて、階級差や恋の複雑さを描く点にあります。叶順子の演技は、清純さと嫉妬心をバランスよく表現します。
その他の女優として、沢村貞子が喫茶店の常連客役で脇を固め、都会の雰囲気を添えます。三戸部スエが店員役、坪内美詠子が近所の人役で、日常的な女性像を演じます。
本作の女優たちは、1950年代の女性像を多角的に描き、京マチ子の主演作として彼女のキャリアの頂点を飾りました。京マチ子は本作で、従来の妖艶イメージから大人の恋愛を演じる幅を広げ、以降の作品に影響を与えました。野添ひとみはアイドル女優として人気を博し、北林谷栄は名脇役として存在感を発揮します。全体として、女優たちの活躍は、戦後日本の女性の自立と恋愛観を反映し、優しい人間ドラマを構築しています。彼女たちの自然な演技が、歌謡映画の枠を超えた感動を生み出しました。
女優の衣装・化粧・髪型
本作『有楽町で逢いましょう』の女優たちの衣装は、1950年代後半の東京の流行を反映したモダンで上品なものが特徴です。
京マチ子演じる京子は、喫茶店マダムらしいエレガントなワンピースやスカートスーツを着用します。デートシーンでは、淡い色のドレスにコートを羽織り、戦後未亡人の控えめな華やかさを表現します。化粧はナチュラルで、薄いファンデーションに赤リップをポイントとし、大人の色気を抑えたメイクです。髪型はショートボブや緩いウェーブのミディアムヘアが多く、清楚で実用的なスタイルが京子の自立したイメージを強調します。
野添ひとみ演じる美沙は、OLらしいブラウスとスカートの組み合わせや、モダンなツーピースを着用します。彼女の衣装は明るい色調で、若々しい活発さを表します。化粧は目元を強調したアイメイクとピンクのリップで、現代的な可愛らしさを演出します。髪型はポニーテールやボブカットが中心で、動きやすいスタイルです。
北林谷栄演じる義母は、和服や地味な洋服を着用し、家族の温かさを象徴します。化粧はほとんどなく、自然な老けメイクで、髪型は伝統的なアップスタイルです。
叶順子演じる恵子は、裕福な令嬢らしい上質なドレスやコートを纏い、京子との対比を明確にします。化粧は清純さを重視した薄メイクで、髪型はロングヘアを緩く巻いた優雅なものです。
その他の女優たちも、常連客や店員として、当時の街角ファッションを取り入れています。
全体的に、衣装は東宝映画らしい洗練されたデザインで、戦後復興の明るさを反映します。化粧は控えめながら女性らしさを失わず、髪型は実用的でモダンなものが主流です。これらの要素は、物語の都会的なムードを高め、女優たちの魅力を引き立てます。ファッションは1950年代のトレンドを忠実に再現し、現代から見てもクラシックでおしゃれです。
あらすじ
戦後の東京・有楽町で、喫茶店「京」を営む未亡人の京子は、娘の恵子と義母と共に慎ましく暮らしています。店には常連の青年画家・相沢が通い、京子の優しさに惹かれていきます。相沢は貧しいながら絵に情熱を注ぎ、京子に好意を抱きます。二人は次第に親しくなり、デートを重ね、淡い恋が芽生えます。
しかし、相沢には裕福な家の恋人・恵子がおり、京子は自分の立場を考えて身を引こうとします。妹の美沙は姉の恋を応援し、義母も京子の幸せを願います。一方、相沢は恵子との関係に悩み、京子への想いを強くします。
ある日、相沢の絵が賞を取り、将来が開けそうになりますが、京子は未亡人の過去と娘の存在を理由に、恋を諦めようとします。
クライマックスでは、有楽町の街角で二人は再会し、互いの想いを確かめますが、京子は現実を選び、静かに別れを告げます。物語は、切ない余韻を残して終わります。
このあらすじは、戦後日本の恋愛観を優しく描き、フランク永井の歌声が印象的に流れるムード満点のラブストーリーです。有楽町の賑わいが背景にあり、当時の東京の風俗を活き活きと映し出します。
解説
『有楽町で逢いましょう』は、1958年の東宝映画として、歌謡曲を原作としたラブロマンスの代表作です。フランク永井の同名ヒット曲が大流行し、映画化が実現しました。
監督の島耕二は、都会的なムードを重視し、脚本の笠原良三は人間ドラマを丁寧に構築しました。本作は戦後復興期の東京を舞台に、未亡人と青年の恋を通じ、階級差や過去の影を描きます。
当時の社会では、戦争未亡人の再婚がタブー視される風潮があり、京子の葛藤がリアルです。興行的に大ヒットし、京マチ子の人気をさらに高めました。
撮影は有楽町周辺でロケが行われ、実際の街並みが物語の魅力を増します。音楽は歌謡曲を中心に、ムード音楽が効果的に使われ、主題歌が繰り返し流れます。評価については、軽快なラブストーリーとして人気を博しつつ、切ない結末が観客の涙を誘いました。
批評家からは、東宝の娯楽映画の好例とされ、京マチ子の演技が絶賛されました。本作は1950年代の日本映画のトレンドである歌謡映画のひとつで、以降の類似作品に影響を与えました。
現代の視点から見ると、女性の自立と恋愛のジレンマがテーマ的に深く、フェミニズム的な解釈も可能です。全体として、優しい人間味あふれる作品で、現在でもクラシックとして愛されます。DVD化されており、戦後東京の風景を楽しむことができます。
キャスト
- 京子:京マチ子
- 相沢:菅原謙次
- 川口:川口浩
- 美沙:野添ひとみ
- 義母:北林谷栄
- 恵子:叶順子
- 山茶花究
- 沢村貞子
- 三戸部スエ
- 坪内美詠子
- フランク永井(歌声)
スタッフ
- 監督:島耕二
- 脚本:笠原良三
- 製作:藤本真澄
- 撮影:完倉泰一
- 美術:中古智
- 音楽:神津善行
- 録音:藤好昌生
- 照明:石井長四郎
- 編集:岩下広一




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