『レストレス』(2022年)は、フランスのNetflixオリジナル映画で、2014年の韓国映画『最後まで行く』のリメイク。汚職警官が交通事故の隠蔽を図る中、謎の目撃者からの脅迫で追い詰められるクライムスリラー。監督はレジス・ブロンドゥ、主演はフランク・ガスタンビドゥ。
基本情報
- 邦題:レストレス
- 原題:Sans répit
- 英題:Restless
- 公開年:2022年
- 製作国:仏国
- 上映時間:95分
- ジャンル:アクション、クライム、スリラー
女優の活躍
『レストレス』(原題:Sans répit)は、主に男性キャラクターが中心のクライムスリラーですが、女性キャストも物語に重要な役割を果たしています。特に、トレイシー・ゴトアス(Tracy Gotoas)とジェマイマ・ウェスト(Jemima West)が際立つ活躍を見せています。
トレイシー・ゴトアス(ナオミ役)
主人公トマ・ブラン(フランク・ガスタンビドゥ)の同僚である警察官ナオミを演じています。ゴトアスは、フランスの新進気鋭の女優で、TV番組『ゲットダウン』や『ブラック・スポット』などで注目を集めました。本作では、ナオミとして冷静かつプロフェッショナルな警察官を演じ、物語の緊張感を高める重要な役割を担います。彼女の演技は、トマの汚職や隠蔽工作に対する微妙な疑念や、職務への真剣さを表現しており、物語にリアリティを加えています。特に、トマの行動に疑問を抱きつつも、状況の複雑さの中で葛藤する姿は、観客に彼女のキャラクターの深みを感じさせます。
ジェマイマ・ウェスト(アガト役)
トマの妻アガトを演じています。ウェストは、フランスとイギリスの両方で活躍する女優で、TV番組『メゾン・クローズ』や『ザ・ボーグ』での役で知られています。本作では、トマの家庭生活を支える妻として登場し、彼の精神的プレッシャーや秘密を間接的に浮き彫りにします。彼女の演技は、家族としての温かさと、夫の異常な行動に対する不安を繊細に表現しており、物語に感情的な重みを加えています。ウェストのシーンは比較的少ないものの、限られた出番の中で、トマの私生活の崩壊を象徴する重要な役割を果たしています。
両女優ともに、男性中心の物語の中で、限られた出番を最大限に活かし、キャラクターの背景や感情を丁寧に表現しています。特にゴトアスのアクションシーンやウェストの感情的なシーンは、物語のテンポと緊張感を補完する重要な要素です。
女優の衣装・化粧・髪型
トレイシー・ゴトアス(ナオミ役)
衣装は、警察官としての実用性を重視したものが中心です。彼女は主に警察の制服や、ダークトーンのジャケット、ズボンといった機能的な服装で登場します。制服は、ダークブルーのジャケットとパンツに、バッジや無線機といった警察官らしい装備が施され、プロフェッショナルな印象を与えます。化粧は控えめで、ナチュラルなベースメイクに薄いリップ、アイメイクはほとんど見られません。これは、ナオミの真面目で実直な性格を反映し、過度な装飾を避けた演出です。髪型は、シンプルなポニーテールやショートヘアで、動きやすさと職務への集中を強調。アクションシーンでは、髪が乱れないようしっかりとまとめられ、彼女の機敏な動きを際立たせています。
ジェマイマ・ウェスト(アガト役)
衣装は、家庭的な妻としての役割を反映した、カジュアルかつエレガントなスタイルです。彼女は、柔らかい色合いのニットやブラウス、タイトなジーンズやスカートを着用し、親しみやすい雰囲気を醸し出します。化粧は、ナチュラルでありながらも洗練された印象で、薄いファンデーションにピンク系のチークとリップで優しい表情を演出。髪型は、ゆるやかなウェーブのかかったミディアムヘアで、家庭的でありながらも女性らしい魅力を強調しています。彼女のスタイルは、トマの混乱した生活との対比として、安定感や穏やかさを視覚的に表現しています。
両女優の衣装やメイクは、キャラクターの役割や物語のトーンに合わせており、派手さよりもリアリティと機能性を重視したフランス映画らしい控えめな美しさが特徴です。
あらすじ
『レストレス』は、汚職警官トマ・ブラン(フランク・ガスタンビドゥ)を中心に展開するクライムスリラー。トマは、麻薬密輸を見逃す代わりに賄賂を受け取る汚職警官として、内部監査の標的となっています。ある日、母親の葬儀に向かう途中で、酔った状態で車を運転中にホームレスを轢き殺してしまいます。殺人罪を恐れたトマは、事故を隠蔽するため、遺体を車のトランクに隠し、母親の棺に遺体を隠す大胆な行動に出ます。しかし、遺体に残された携帯電話が鳴り、状況はさらに複雑に。やがて、事故を目撃したという謎の人物から脅迫電話がかかり、トマは追い詰められていきます。内部監査の圧力、警察内部の不信、そして目撃者の正体を突き止めるための奔走の中で、トマの人生は制御不能な混乱に陥ります。果たして、彼は隠蔽を成功させ、脅迫者から逃れられるのか?
解説
『レストレス』は、2014年の韓国映画『最後まで行く』のリメイクであり、オリジナルに忠実なプロットを持つ一方で、フランス映画らしいシリアスで洗練されたトーンが特徴です。物語は、汚職警官の倫理的葛藤と、予期せぬ事故が引き起こす連鎖反応を描き、ノワール的な雰囲気の中で緊張感とサスペンスを巧みに構築しています。監督のレジス・ブロンドゥは、『ファヒム パリが見た奇跡』の撮影監督としての経験を活かし、暗い色調と緊迫したカメラワークで、トマの追い詰められた心理を視覚的に表現しています。
本作の魅力は、予測不可能な展開と、主人公の絶え間ない焦燥感にあります。トマが次々と問題に直面し、解決策を模索する過程は、観客に「次はどうなるのか」という期待感を持続させます。しかし、オリジナルと比較して、キャラクターの背景や動機の掘り下げがやや不足しているとの批判もあり、物語の深みがオリジナルに及ばないとの声もあります。それでも、フランス映画らしいスタイリッシュな映像と、アクションとサスペンスのバランスは、気軽に楽しめるエンターテインメント作品として成功しています。
Netflixオリジナル映画として2022年2月25日に配信開始され、日本を含む世界各国でNetflix映画部門のランキング1位を獲得するなど、商業的な成功を収めました。低予算ながら、緊張感あふれるストーリー展開と、フランス映画特有のリアルな人間ドラマが融合し、幅広い観客にアピールしました。批評家の評価は賛否両論で、Rotten Tomatoesでは「まあまあ」の評価にとどまる一方、気軽に楽しめるアクションスリラーとして一定の支持を得ています。
キャスト
- トマ・ブラン:フランク・ガスタンビドゥ(汚職警官、物語の主人公)
- マルク:シモン・アブカリアン(トマの同僚、重要な脇役)
- ナオミ:トレイシー・ゴトアス(トマの同僚の警察官)
- アガト:ジェマイマ・ウェスト(トマの妻)
- ミカエル:ミカエル・アビブル(警察内部の関係者)
- セルジュ:セルジュ・アザナヴィシウス(脇役)
スタッフ
- 監督:レジス・ブロンドゥ(『ファヒム パリが見た奇跡』撮影監督)
- 脚本:レジス・ブロンドゥ、ジュリアン・コロンビエ
- 原作:キム・ソンフン(『最後まで行く』)
- 製作:ジュリアン・マダン、ヴァンサン・マラバル
- 撮影:ダニー・エルセン
- 編集:ステファン・ガリエンヌ
- 音楽:ダヴィッド・メナケ
- 配給:Netflix
結論
『レストレス』は、韓国映画『最後まで行く』のリメイクとして、フランス映画の洗練されたスタイルとノワール的な緊張感を融合させたクライムスリラーです。トレイシー・ゴトアスとジェマイマ・ウェストの女優陣は、限られた出番ながらも物語に深みを加え、衣装やメイクはキャラクターの役割を効果的に表現しています。オリジナルに比べキャラクターの掘り下げがやや浅いものの、アクションとサスペンスのテンポの良さで、気軽に楽しめる作品として成功しています。Netflixでの世界的なヒットは、そのエンターテインメント性の高さを証明しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い