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セクスプロイテーション

セクスプロイテーション(sexploitation)映画は、1960年代から1970年代初頭にかけて主にアメリカ合衆国で流行した低予算の独立製作映画のサブジャンル。エクスプロイテーション映画(観客の低俗な嗜好を狙ったセンセーショナルな作品群)の一種で、非明示的な性的状況、過剰なヌード、性的欲求不満や暴力を描くことで観客を惹きつけます。

特徴

セクスプロイテーション映画の最大の特徴は、低予算(数万ドル規模)と独立製作で、プロットが薄く、性的シーンやヌードが中心になる点。タイトルやポスターは挑発的で、「ファスター・プシィキャット!キル!キル!」のようなセンセーショナルなものが典型的です。初期は白黒撮影が多く、後期にカラー化。グラインドハウス劇場(安価な連続上映館)やドライブインシアターで上映され、主に男性観客をターゲットにしていましたが、性的革命期にはカップル層も取り込みました。

性的描写はソフトコア(挿入など明示的でないシミュレート)にとどまり、ハードコアポルノとは区別されます。ヌードは「教育的」または「自然主義」の口実で正当化されることが多く、覗き見的(voyeuristic)なカメラワークや女性の性的対象化が目立ちます。一方で、強い女性キャラクター(バイカー、ダンサー、復讐者)が登場し、フェミニズム的解釈(女性のエンパワーメント vs. オブジェクト化の議論)もされます。

ユーモアや風刺(特にラス・メイヤー作品)、暴力(roughiesサブジャンル)、サブジャンルとしてヌードキャンプ(nudist camp)、刑務所女性(刑務官・女囚)、ナチスプロイテーション、チアリーダーものが派生しました。

プロダクションは短期間(数日〜2週間)で、即興脚本や最小クルーが一般的。宗教団体やMPAA(映画協会)の反対を受け、検閲や広告禁止に遭うケースも多かったです。

歴史

セクスプロイテーションの起源はサイレント時代や1950年代のヌード短編(nudie reels)に遡りますが、本格化は1950年代後半〜1960年代初頭の検閲緩和(ヘイズコードの崩壊、1957年の「ロス対合衆国事件」に対する連邦最高裁判決)により可能。ラス・メイヤーの『インモラル・ミスター・ティーズ』(1959年)が商業的成功を収め、「nudie cuties」(軽いコメディ+ヌード)のブームを起こしました。

1963-64年頃から「roughies」(男性による女性への暴力・レイプ・誘拐を描く暗い作品)が登場し、Joe Sarno、Doris Wishman、Herschell Gordon Lewisらが活躍。1960年代中盤〜後半はピークで、シミュレートセックスや「white coaters」(医師が教育的に解説する形式)が流行。アルゼンチンなどラテンアメリカでもIsabel Sarli主演作が人気を博しましたが、検閲の影響を受けました。

1970年代初頭、『ディープ・スロート』(1972年)などのハードコアポルノ合法化とホームビデオの普及で衰退。グラインドハウス閉鎖や観客のハードコア移行により、ジャンルは崩壊しました。以降、カルト映画として再評価され、ジョン・ウォーターズ、クエンティン・タランティーノらに影響を与えています。女性監督ドリス・ウィッシュマンの存在も、ジャンルの多様性を示しています。

代表作

以下にセクスプロイテーション映画の代表作を6本挙げ、それぞれ約400字で解説します。主にラス・メイヤー監督作品を中心に選び、ジャンルの多様性を示します。

インモラル・ミスター・ティーズ(1959年、監督:ラス・メイヤー)

ラス・メイヤーの出世作で、セクスプロイテーションの嚆矢とされるnudie cutieの代表。歯科器具のセールスマン、Mr. Teasは歯科治療後の麻酔でX線視力を得て、街中の女性を裸で見えるようになる。川辺で泳ぐ看護婦やウェイトレス、精神分析医などを覗き見し、最初は喜ぶが次第に困惑する。ナレーションと単調な音楽のみで台詞なし、シュールでコミカルな展開が特徴。

製作はわずか4日、予算2万4000ドル。メイヤーが撮影・編集も担当し、歯科医のオフィスを週末に借りて撮影。女性ヌードを「naturismの口実」なしに初めて商業的に成功させた作品で、1年以内に100本以上の模倣作を生んだ。フィラデルフィア裁判で猥褻でないと判定されたが「下品で無意味」と批判も。興行収入150万ドル超の大ヒットとなり、グラインドハウスやドライブインで男性観客を熱狂させた。メイヤーの「巨乳」趣味や風刺的ユーモアの原型が見られ、ジャンルの基盤を築いた。cult映画として今も再評価され、ヌード描写のタブー突破の象徴。

肉体の罠(1964年、監督:ラス・メイヤー)

肉体の罠』はメイヤーの「roughies」第1作で、nudie cutiesからの転換点。性的不満を抱える若妻ローナは、夫ジム(塩鉱山労働者で会計士志望)が忘れた結婚記念日に川で裸泳ぎをし、逃亡犯にレイプされる。これが彼女の抑圧された性を目覚めさせ、犯人を家に招き入れ不倫に溺れる。夫の同僚のからかいや早帰りで発覚し、悲劇的な結末へ。

予算3万7000ドル、10日間で35mm白黒撮影。ロケーションはカリフォルニアのLockeの小さな町。主演Lorna Maitland(妊娠中)は「女性版Tom Jones」と称賛され、3作連続出演。メイヤーは「暴力と欲望の背景で権力・自由・正義を考察」と語り、ドラマチックなストーリーを重視。メリーランド州など複数州で猥褻起訴されたが、ドライブインやアートハウスで大成功、興収ほぼ100万ドル。セクスプロイテーションの暗い側面(性的目覚めと暴力の結びつき)を象徴し、メイヤーの「rural gothic」スタイルの始まり。女性の性的欲求を肯定的に描きつつ、道徳的罰を加える二面性がジャンルらしい。

ファスター・プシィキャット!キル!キル!(1965年、監督:ラス・メイヤー)

セクスプロイテーションの最高傑作の一つで、3人のゴーゴーダンサー(Varla, Rosie, Billie)がカリフォルニア砂漠で暴走するアクション満載の作品。クラブ公演後、車レースで若いカップルを襲い、トミーを殺害・リンダを誘拐。金持ちの車椅子老人の隠し財産を狙い牧場に侵入、誘惑・裏切り・殺戮の連鎖。Varlaの支配的カリスマが光る。

予算4万5000ドル、白黒で短期間撮影。メイヤー自ら製作・脚本・編集。トゥラ・サターナ主演の戦闘シーンは彼女が振付。初期失敗だったがカルト化、Rotten Tomatoes 74%、Sight & Sound投票入り。John Waters「史上最高の映画」、TarantinoがDeath Proofでオマージュ。女性の攻撃性・支配を強調し、性的対象化を超えたエンパワーメント論争を呼ぶ。B級のキャンプさとアナキーなエネルギーがジャンルの極致。

Bad Girls Go to Hell (1965年、監督:ドリス・ウィッシュマン)

女性監督Doris Wishmanのroughie代表作。ボストンの主婦Megは管理人にレイプされ殺害、NYへ逃げ名前を変え漂泊。酔っ払いに鞭打たれ、レズビアンDellaと同棲、ホテル主人に襲われ、老女の住み込みヘルパーになるが息子が刑事で過去が露呈。夢オチで終わる。49

65分、白黒、低予算grindhouse向け。Wishman(Dawn Whitman名義)は30作以上のsexploitationを撮り「女性エクスプロイテーションの女王」。オフセンター構図やミニマリズムがLynch的前衛的と評価。Joe Bob Briggs「史上最もsleazyな映画の一つ」、女性の性的不安・逃避・男性恐怖をシュールに描き、時代的文脈を超えたメランコリー。Wishmanのクィアな視線や低予算の詩的味わいが再評価され、ジャンルの女性視点の重要性を示す。(約390字)

女豹ビクセン(1968年、監督:ラス・メイヤー)

メイヤーの大ヒット作で、初のXレイティング(明示的描写のため)。カナダの荒野ロッジで夫と暮らすビクセンはハイパーセクシャルで、山警備員や客夫婦、弟と次々関係。黒人脱走兵ナイルズを人種差別的に侮辱。IRAシンパの客がハイジャックを企て、混乱の末和解。ビクセンは次なる獲物を狙う。

予算7万3000ドル、カナダ・カリフォルニアロケ。エリカ・ギャビン主演の「動物的な」魅力が絶賛。興収800万ドル、女性観客も多くヒット。Ebert「ジャンルの風刺的傑作」、人種差別・共産主義をセックスで風刺。Incestシーンなど挑発的だがユーモア満載で、性的革命期の象徴。メイヤーのピークを示す。

スーパー・ヴィクセン(1975年、監督:ラス・メイヤー)

メイヤーの後期代表、カラーで復活。スーパー巨乳女性軍団(SuperAngelなど)と主人公のドタバタ・暴力・セックスコメディ。嫉妬・復讐・爆発的アクションが連発、誇張されたキャラクターとメイヤー流風刺が炸裂。1970年代ハードコア競争下でのソフトコアの意地。興行成功しカルト定番。ジャンルの終焉期を象徴し、過剰なバスト描写とユーモアの極致。

これらの作品は、セクスプロイテーションのエッセンスを凝縮し、今日もカルト・ファンに愛されています。

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