スザンナ・フィールディング（Susannah Fielding）は、1985年6月10日生まれの英国の女優。舞台、映画、テレビで活躍し、2014年に『ヴェニスの商人』のポーシャ役でイアン・チャールソン賞を受賞。『This Time with Alan Partridge』や『The Great Indoors』で知られる。ポーツマス育ち、ギルドホール音楽演劇学校出身。
プロフィール
- 名前：スザンナ・フィールディング（Susannah Fielding）
- 本名：スザンナ・グランヴィル＝ハーソン（Susannah Glanville-Hearson）
- 生年月日：1985年6月10日（40歳）
- 出身地：イングランド、ドーセット州プール
- 出身校：ギルドホール音楽演劇学校
- 職業：女優
- 活動期間：2007年から現在
- 受賞歴：イアン・チャールソン賞（2014年）
生い立ち・教育
スザンナ・フィールディングは、1985年6月10日にイングランドのドーセット州プールで生まれました。彼女はハンプシャー州ハヴァントで、シングルマザーの家庭に育ちました。幼少期は比較的静かな環境で過ごし、ポーツマス近郊の小さな町で生活していました。彼女の家族に関する詳細な情報は少なく、両親や兄弟についての公表された記録はほとんどありませんが、母親の手で育てられたことが知られています。この環境が、彼女の感受性や創造性に影響を与えた可能性があります。フィールディングは当初、獣医師や動物看護師になることを夢見ており、動物愛好家として知られています。野良猫の保護や負傷したリスの世話など、動物への愛情をしばしば語っています。
フィールディングの演技への興味は、11歳から18歳まで参加したハヴァントのダイナモ・ユース・シアターで芽生えました。このユースシアターは、若者に演技の基礎を教える場であり、彼女の才能が開花するきっかけとなりました。その後、彼女はサセックス州にある慈善学校クリスツ・ホスピタルで2年間の寄宿生活を送り、Aレベルの試験を修了しました。この学校での経験が、彼女の演技への情熱をさらに強め、プロの女優を目指す決意を固める要因となりました。クリスツ・ホスピタルでは、演劇活動に積極的に参加し、舞台での表現力を磨きました。
高等教育では、名門ギルドホール音楽演劇学校（Guildhall School of Music and Drama）に入学しました。この学校は、英国を代表する演劇教育機関の一つであり、彼女はここで本格的な演技の訓練を受けました。在学中には、パッツィー・ローデンバーグ演出の『テンペスト』のトリンキュロー役や、クリスチャン・バージェス演出の『オヴィッド物語』のミラー役など、重要な舞台作品に出演しました。彼女の才能は早くから注目され、2006年に予定より早く卒業し、プロの演劇界へと足を踏み入れました。この早期卒業は、彼女がナショナル・シアターでの『The Rose Tattoo』の役を得たことによるもので、彼女のキャリアの飛躍的なスタートとなりました。
経歴
スザンナ・フィールディングのキャリアは、舞台から始まり、テレビ、映画、さらにはビデオゲームの声優としての活動にまで広がっています。彼女は多才な女優として、幅広いジャンルで評価されています。
舞台
フィールディングのキャリアは、2007年にナショナル・シアターでのデビューから始まりました。彼女の最初の4つのプロの舞台役は、いずれもナショナル・シアターでの公演で、テネシー・ウィリアムズの『The Rose Tattoo』（ゾーイ・ワナメイカーと共演）、『Philistines』、シェイクスピアの『Much Ado About Nothing』（ヒーロー役、サイモン・ラッセル・ビールと共演）、そして『The Hour We Knew Nothing of Each Other』でした。これらの作品は、彼女の演技力と舞台での存在感を広く認めさせるきっかけとなりました。
2010年には、シェフィールド・クルーシブル劇場でのイプセンの『民衆の敵』のピエトラ役でイアン・チャールソン賞の表彰を受け、さらなる注目を集めました。2011年には、ルパート・グールド演出の『ヴェニスの商人』でポーシャ役を演じ、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー（RSC）でパトリック・スチュワートと共演。2014年には同役をアルメイダ劇場で再演し、ラスベガスのカジノを舞台にしたこの斬新な演出で、彼女の「完璧なアメリカ訛りと演技の知性」が高く評価され、2014年のイアン・チャールソン賞を受賞しました。審査員のマイケル・グランデージは、彼女がポーシャ役を独自のものにし、観客に新鮮な印象を与えたと称賛しました。
その後も、2012年のザック・ブラフ脚本・主演の『All New People』ではキム役を演じ、マンチェスター、グラスゴー、ロンドンのデューク・オブ・ヨークス劇場で10週間の公演を成功させました。2013年には、アルメイダ劇場でのミュージカル『American Psycho』でエヴェリン・ウィリアムズ役を演じ、批評家から高い評価を受けました。2019年には、ニコラス・ハイトナー演出の『真夏の夜の夢』でタイターニア/ヒポリタ役を演じ、ブリッジ・シアターで5つ星の評価を得ました。彼女の舞台キャリアは、古典から現代劇まで幅広く、英国の演劇界で確固たる地位を築いています。
TV
フィールディングのテレビデビューは、2008年のBBCドラマ『Wallander』の第2話「Firewall」でした。この作品ではケネス・ブラナーと共演し、彼女のテレビキャリアの第一歩となりました。2009年には『The Bill』でロシェル・チャップマン役を演じ、2010年には『Doctor Who』の「Victory of the Daleks」や『Midsomer Murders』、さらには『Comedy Lab』に出演しました。同年、チャンネル4のシットコム『Pete versus Life』でクロエ役を演じ、レイフ・スポール演じる主人公の恋人として注目を集めました。
2014年にはミニシリーズ『The Great Fire』でキャッスルメイン夫人役を、2016年には『I Want My Wife Back』でエマ役を演じ、6エピソードにわたって出演しました。同年、Netflixの『Black Mirror』のエピソード「Nosedive」に出演し、ディストピア的な世界観での演技が話題となりました。2016年から2017年にかけては、CBSのシットコム『The Great Indoors』でブルック役を演じ、ジョエル・マクヘイル演じる主人公の元恋人で上司という複雑な役どころをコミカルに表現しました。
2019年から2021年にかけては、BBCの『This Time with Alan Partridge』でスティーヴ・クーガンと共演し、ジェニー・グレシャム役で広く知られるようになりました。この番組は、風刺的な時事番組のパロディとして高い評価を受け、彼女のコメディセンスとタイミングが称賛されました。その他、『Catastrophe』、『Lovesick』、『The Cleaner』、『Who Is Erin Carter?』、『Tom Jones』など、数多くの人気ドラマに出演し、英国と国際的な視聴者から愛されています。
映画
映画では、2010年の『4.3.2.1.』や『1st Night』（イタリア語のオペラを学ぶ必要があった役）でスクリーンデビューを果たしました。2012年にはロマンティックコメディ『The Knot』でジュリー役を演じ、2022年には『Death on the Nile』や『Tom Jones』に出演。2023年には『Deep Cover』で映画館公開され、彼女の映画キャリアも着実に成長しています。
その他の活動
フィールディングは声優としても活躍し、『The Witcher 3』、『Cyberpunk』、『Forza』、『Final Fantasy XVI』などのビデオゲームで声を担当。特に『Final Fantasy XVI』では主要な女性キャラクターの声を務め、ゲーマーからも高い評価を受けています。彼女はアメリカや中部大西洋アクセントを得意とし、その多才さが声優の仕事にも活かされています。
私生活
スザンナ・フィールディングは私生活を比較的プライベートに保つ傾向があり、公の場で個人的な詳細をあまり明かしません。彼女の最も注目された関係は、2008年から2011年まで交際していた俳優トム・ヒドルストンとのロマンスでした。二人は『Wallander』の撮影現場で出会い、2009年7月から2011年11月まで約2年間交際しました。この関係は当時、タブロイド紙で話題となり、破局の理由は時間のすれ違いと推測されていますが、双方とも詳細を公表していません。2025年現在、フィールディングは独身とされており、新たな交際に関する情報は公にされていません。
フィールディングは動物愛好家として知られ、野良猫の保護やリスの世話など、動物福祉に情熱を注いでいます。また、旅行が趣味で、異なる文化を探求することに喜びを感じ、ソーシャルメディアでその経験をファンと共有しています。彼女は芸術や教育を支援する慈善活動にも参加しており、舞台芸術の発展に貢献しています。フィールディングはユーモアのセンスがあり、ジュリエット・スティーヴンソン、ジュリー・ウォルターズ、ジェシカ・ハインズ、ジュリア・デイヴィスといった女優を尊敬しています。彼女は「ただの男性の恋人役ではなく、強く、面白く、リアルな女性」を演じることを目指しており、その姿勢が彼女の役選びにも反映されています。
出演作品
- 舞台: The Rose Tattoo（2007）、Philistines（2007）、Much Ado About Nothing（2007）、The Hour We Knew Nothing of Each Other（2008）、An Enemy of the People（2010）、The Merchant of Venice（2011、2014）、All New People（2012）、American Psycho（2013）、A Midsummer Night’s Dream（2019）
- テレビ: Wallander（2008）、The Bill（2009）、Doctor Who（2010）、Midsomer Murders（2010）、Pete versus Life（2010）、The Great Fire（2014）、Black Mirror（2016）、I Want My Wife Back（2016）、The Great Indoors（2016-2017）、This Time with Alan Partridge（2019-2021）、Catastrophe、Lovesick、The Cleaner、Who Is Erin Carter?、Tom Jones
- 映画: 4.3.2.1.（2010）、1st Night（2010）、The Knot（2012）、Death on the Nile（2022）、Deep Cover（2023）
- ビデオゲーム: The Witcher 3、Cyberpunk、Forza、Final Fantasy XVI
その他
スザンナ・フィールディングは、舞台とスクリーンを自在に行き来する多才な女優として、英国のエンターテインメント業界で確固たる地位を築いています。彼女の演技は、古典劇から現代のコメディまで幅広く、その柔軟性と知性が批評家や観客から高く評価されています。動物愛好家としての優しさ、旅行や慈善活動への情熱、そしてユーモアと知性を兼ね備えた彼女の人間性は、ファンに愛される理由の一つです。今後も彼女の新たなプロジェクトが期待されており、さらなる飛躍が注目されています。
レビュー 作品の感想や女優への思い