『ボーン・スプレマシー』（2004年）は、マット・デイモン主演のサスペンス・アクション映画。記憶喪失の元CIA工作員ジェイソン・ボーンが、恋人マリーの死をきっかけにCIAの陰謀に立ち向かう。ポール・グリーングラス監督のリアルな演出と迫力のカーチェイスが魅力。108分、米国製作。以下では、女優の活躍、女優の衣装・化粧・髪型、あらすじ、解説、キャスト、スタッフについてまとめています。
基本情報
- 邦題：ボーン・スプレマシー
- 原題：The Bourne Supremacy
- 公開年：2004年
- 製作国：米国
- 上映時間：108分
- ジャンル：アクション
- 配給：UIP
見どころ
ボーンが失われた記憶の謎を解き明かすため、国境を越えて再び戦うサスペンスアクション。主演のマット・デイモンが緻密な頭脳戦とスピーディーなアクションに挑む。
あらすじ
前作『ボーン・アイデンティティー』から2年。元CIA工作員ジェイソン・ボーン（マット・デイモン）は、記憶喪失のまま恋人マリー（フランカ・ポテンテ）とインドのゴアで静かな生活を送っていた。しかし、突然現れた暗殺者キリル（カール・アーバン）に襲われ、マリーが犠牲となる。ボーンは自分を狙うCIAの陰謀と向き合うため、単身ヨーロッパへ向かう。一方、ベルリンでCIAのエージェントが殺害され、現場にボーンの指紋が残されていた。CIA副局長パメラ・ランディ（ジョアン・アレン）はボーンを容疑者とみなし、追跡を開始。ボーンはCIAの追手やキリルをかわしながら、自身の過去と組織の裏取引の真相に迫る。モスクワでの壮絶なカーチェイスや、過去の任務で殺害した人物の娘との対面を通じて、ボーンは自身の「アイデンティティー」と向き合い、真実を追求する旅を続ける。物語は、ボーンの復讐と記憶の探求が交錯し、CIA内部の腐敗を暴く展開へと進む。
解説
『ボーン・スプレマシー』は、ロバート・ラドラムの小説『殺戮のオデッセイ』を原作とする『ボーン・シリーズ』の2作目だが、ストーリーは映画オリジナルである。監督のポール・グリーングラスは、前作のダグ・リーマンからバトンを受け継ぎ、独自の手持ちカメラと素早いカット編集を駆使したリアルな映像スタイルで、アクション映画の新たなスタンダードを築いた。この手法は、緊迫感と臨場感を強調し、特にモスクワでのカーチェイスシーンは映画史に残る名場面として評価されている。物語は、ボーンの内面的な葛藤と外部の敵との戦いを巧みに描き、単なるアクション映画を超えた心理ドラマとしての深みを加えている。ボーンが過去の罪と向き合うシーン、特に殺害した人物の娘に真実を告げる場面は、感情的なクライマックスとして観客に強い印象を与える。
本作のテーマは「アイデンティティーの追求」と「喪失からの再生」である。前作で「無」から始まったボーンは、愛と真実を手に入れたが、本作ではそれらを再び失い、新たな闘争の中で自己を再定義する。このプロセスは、観客に「記憶とは何か」「人は過去の行いから逃れられるのか」といった哲学的な問いを投げかける。また、CIAの内部腐敗や権力の濫用を描くことで、スパイ映画に社会派の要素を織り交ぜている。グリーングラスのリアリズム追求は、派手な爆発やガジェットを排除し、日常の道具を使った戦闘（例：丸めた雑誌で包丁に対抗）や現実的な逃走劇で、ボーンの知恵と身体能力を際立たせる。
興行的にも成功を収め、北米で1億7000万ドル以上の興行収入を記録し、2004年公開作品で8位にランクイン。日本でも2005年2月11日の公開初週で興行成績3位を記録した。批評家からは、アクションの革新性とストーリーの緊張感が高く評価され、シリーズの人気を確固たるものにした。
女優の活躍
『ボーン・スプレマシー』には、主要な女性キャラクターとしてフランカ・ポテンテ（マリー役）、ジョーン・アレン（パメラ・ランディ役）、ジュリア・スタイルズ（ニッキー・パーソンズ役）が出演し、それぞれが物語に重要な影響を与えている。
フランカ・ポテンテ（マリー）
フランカ・ポテンテは、前作『ボーン・アイデンティティー』でボーンの恋人マリーを演じ、その自然体で芯の強い演技が好評だった。本作では出番こそ短いが、物語冒頭のインドでの穏やかな生活シーンで、ボーンの心の支えとしての存在感を発揮。襲撃シーンでの彼女の死は、ボーンの復讐心を駆り立てる重要な転換点となる。ポテンテの演技は、短い時間の中でマリーの優しさと強さを表現し、物語の感情的な重みを増している。彼女の犠牲は、ボーンの孤独な闘いを強調し、観客に強いインパクトを与える。
ジョーン・アレン（パメラ・ランディ）
ジョーン・アレンはCIA副局長パメラ・ランディ役で本作から登場。彼女は、ボーンを容疑者として追う一方、CIA内部の不正に気付き、公正さを求める複雑なキャラクターを演じる。アレンの落ち着いた威厳と知的な演技は、パメラの権力者としての存在感を際立たせる。彼女の登場により、物語に新たな緊張感が生まれ、ボーンとCIAの対立構造がより鮮明になる。特に、ボーンと直接対峙するシーンでは、彼女の毅然とした態度が印象的で、シリーズ後続作での重要な役割を予感させる。
ジュリア・スタイルズ（ニッキー・パーソンズ）
ジュリア・スタイルズは、前作に続きCIAの後方支援担当ニッキー役で出演。彼女の役は脇役ながら、ボーンの過去を知る人物として物語に深みを加える。アムステルダムでの尋問シーンでは、ボーンの記憶喪失やトレッドストーン計画の詳細を語る重要な役割を果たす。スタイルズの演技は、事務的でありながらもボーンへの微妙な共感を滲ませ、キャラクターに人間味を与えている。彼女の冷静な対応は、ボーンの激しいアクションと対比を成し、物語のバランスを取る。
女優の衣装・化粧・髪型
『ボーン・スプレマシー』の衣装デザインはディネット・コーンが担当し、リアリズムを重視した実用的なスタイルが特徴。女優たちの衣装、化粧、髪型は、キャラクターの役割と物語のトーンに合わせて控えめで自然体にデザインされている。
フランカ・ポテンテ（マリー）
マリーの衣装は、インドのゴアでの隠遁生活を反映し、カジュアルで動きやすいもの。薄手のコットンのブラウスやスカート、淡い色調の服が中心で、ボーンとの穏やかな生活を象徴する。化粧はほぼナチュラルで、汗や埃で少し汚れたような肌の質感が、過酷な環境を強調。髪型は、前作同様のショートカットで、シンプルなポニーテールやルーズなスタイルが採用され、自由奔放なマリーのキャラクターを表現。襲撃シーンでは、彼女の衣装が水をかぶり乱れることで、危機的状況の緊迫感を視覚的に伝える。
ジョーン・アレン（パメラ・ランディ）
パメラの衣装は、CIA副局長としての権威を反映したフォーマルなスタイル。ダークカラーのテーラードスーツやコートが主で、シャープでプロフェッショナルな印象を与える。化粧は控えめだが、整った眉とリップで知的な雰囲気を強調。髪型は、短めのボブカットで、きっちりとまとめられ、彼女の冷静沈着な性格を表現。作中の移動シーン（ベルリンやモスクワ）では、コートやマフラーを着用し、寒冷な環境での活動を視覚化している。
ジュリア・スタイルズ（ニッキー・パーソンズ）
ニッキーの衣装は、CIAの後方支援担当としての実務的な役割を反映し、シンプルなブラウスやジャケット、ダークトーンのパンツが中心。カジュアルだが機能的なスタイルで、彼女の若さと実務能力を表現。化粧はほとんど施さず、ナチュラルな肌と薄いリップで、事務員としての控えめな印象を保つ。髪型は、肩までのブロンドヘアをゆるくまとめたスタイルで、緊張感ある尋問シーンでも乱れず、彼女の冷静さを強調している。
キャスト
- ジェイソン・ボーン：マット・デイモン（日本語吹替：平田広明）…記憶喪失の元CIA工作員。復讐と真実を求めて奔走する主人公。
- マリー：フランカ・ポテンテ（日本語吹替：湯屋敦子）…ボーンの恋人。物語冒頭で悲劇的な運命をたどる。
- パメラ・ランディ：ジョーン・アレン（日本語吹替：小山茉美）…CIA副局長。ボーンを追う一方、組織の不正に気付く。
- ニッキー・パーソンズ：ジュリア・スタイルズ（日本語吹替：沢海陽子）…CIAの後方支援担当。ボーンの過去を知る人物。
- キリル：カール・アーバン（日本語吹替：根本泰彦）…ボーンを追う暗殺者。モスクワでのカーチェイスで対決。
- ワード・アボット：ブライアン・コックス（日本語吹替：糸博）…CIAの上級幹部。トレッドストーン計画の裏に暗躍。
その他：ガブリエル・マン、マートン・ソーカス、ミシェル・モナハン、クリス・クーパーなど。
スタッフ
- 監督：ポール・グリーングラス…『ブラディ・サンデー』で知られる監督。手持ちカメラと速いカット編集でアクションに革新をもたらした。
- 脚本：トニー・ギルロイ……シリーズ全体のストーリー基盤を構築。緊張感ある台詞と展開を担当。
- 原作：ロバート・ラドラム（『殺戮のオデッセイ』）…ただし、映画は原作と異なるオリジナルストーリー。
- 製作：フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ポール・L・サンドバーグ
- 製作総指揮：ダグ・リーマン、ジェフリー・M・ウェイナー
- 撮影：オリヴァー・ウッド…手持ちカメラによる臨場感ある映像を構築。
- 音楽：ジョン・パウエル…緊迫感あるスコアでアクションを盛り上げる。
- 編集：クリストファー・ラウズ、リチャード・ピアソン…素早いカットでスピード感を演出。
- 衣装デザイン：ディネット・コーン…リアリズムを重視した機能的な衣装を提供。
総括
『ボーン・スプレマシー』は、アクションとサスペンスの融合、心理的深み、リアリスティックな演出で、現代スパイ映画の金字塔となった作品です。女優陣の活躍は物語に感情とリアリティを加え、衣装や髪型はキャラクターの個性を引き立てます。ポール・グリーングラスの革新的な監督手法とマット・デイモンを中心としたキャストの迫真の演技が、観客を引き込む108分のスリリングな体験を提供します。シリーズのファンだけでなく、アクション映画愛好者にも必見の作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い