『ストーリー・オブ・ラブ』(原題:The Story of Us)は1999年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画。ロブ・ライナー監督による本作は、結婚15年目の夫婦が倦怠期に直面し、別居を通じて関係を見つめ直す姿をユーモラスかつ感動的に描写。ブルース・ウィリスとミシェル・ファイファーが主演を務め、夫婦のリアルな葛藤を表現。上映時間は96分で、ワーナー・ブラザース映画が配給。
基本情報
- 邦題:ストーリー・オブ・ラブ
- 原題:THE STORY OF US
- 公開年:1999年
- 製作国:アメリカ合衆国
- 上映時間:96分
- ジャンル:ドラマ
- 配給:ワーナー・ブラザース映画
見どころ
いがみ合ってばかりの夫婦が、出会いから現在までの思い出を振り返るという、心を揺れ動かす描写が切なくも愛おしい。誰にでもありそうな過去エピソードに共感してしまう。
女優の活躍
本作でヒロインのケイティ・ジョーダンを演じたミシェル・ファイファーは、その繊細かつ力強い演技で作品の中心を担っています。彼女は、結婚生活の疲弊と再生を体現するクロスワードパズル作家のケイティを、感情豊かに演じました。ファイファーは、夫ベンとの口論や回想シーンでの恋愛初期の甘美な瞬間を通じて、キャラクターの複雑な心情を巧みに表現。
特に、終盤の感情的な訴えのシーンでは、彼女の表情と声のトーンが観客の心を強く打ち、批評家からも高い評価を受けました。レビューでは「ミシェル・ファイファーが最後に全てを持っていく」と称賛され、彼女の演技が映画の感動を大きく引き立てています。
また、リタ・ウィルソンやジュリー・ハガティなど、脇を固める女優たちも印象的な活躍を見せています。リタ・ウィルソンはケイティの親友レイチェル役で、夫婦の葛藤を温かく見守る存在として物語に深みを加えました。彼女の自然体な演技は、物語の現実感を高めています。ジュリー・ハガティもまた、コミカルなシーンで軽妙な演技を披露し、作品のユーモラスなトーンを支えました。
これらの女優たちの存在が、ケイティの物語をより多角的に描き出しています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装デザインは、シェイ・カンリフが担当しました。ミシェル・ファイファー演じるケイティの衣装は、彼女のキャラクターの職業や生活スタイルを反映しつつ、1990年代後半のアメリカの日常的なファッションを体現しています。ケイティの衣装は、カジュアルでありながらも洗練されたスタイルが特徴で、例えば、ゆったりとしたブラウスやシンプルなカーディガン、落ち着いた色合いのパンツなどが多く登場します。これらの衣装は、彼女が家庭と仕事を両立する現代女性であることを表現し、観客に親しみやすさを感じさせます。回想シーンでは、若い頃のケイティを演じる際により明るい色合いや軽やかなドレスが用いられ、恋愛初期の活気と情熱を視覚的に強調しています。
化粧に関しては、ミシェル・ファイファーのメイクはナチュラルで、ケイティの現実的なキャラクターを際立たせています。日常シーンでは、薄いファンデーションと控えめなリップカラーが中心で、疲れた表情や感情的なシーンでの赤みを帯びた目元が、彼女の内面的な葛藤をさりげなく表現。回想シーンでは、若々しさを強調するため、明るいチークや軽やかなアイメイクが施され、過去の幸福な時間を視覚的に際立たせています。
髪型については、ミシェル・ファイファーのケイティは肩より少し長いボブカットが基本で、シンプルかつ手入れの行き届いたスタイルが採用されています。この髪型は、彼女の忙しい生活とプロフェッショナルな一面を反映しつつ、女性らしさを保っています。回想シーンでは、若いケイティとしてより柔らかくウェーブのかかった髪型が登場し、恋愛初期の軽やかな雰囲気を演出。リタ・ウィルソンや他の女優たちも、1990年代のトレンドを反映した自然なヘアスタイルで、物語の時代背景を補強しています。
あらすじ
結婚15年目を迎えたベン・ジョーダン(ブルース・ウィリス)とケイティ・ジョーダン(ミシェル・ファイファー)は、子供たちの前では仲の良い夫婦を装っていますが、実際には倦怠期に突入し、些細なことで口論が絶えない関係になっています。子供たち、ジョシュ(ジェイク・サンドヴィグ)とエリン(コリーン・レニソン)がサマーキャンプで留守にする夏、2人は試験的な別居を決意します。別居中、ベンは作家として祖父母の57年にわたる結婚をモデルにしたラブストーリーを執筆しようと試みますが、理想と現実のギャップに直面。ケイティは、離婚したばかりのエリンの同級生の父親マーティ(ティム・マシスン)からのデートに誘われ、心が揺れます。
別々に過ごす中で、2人は出会いから結婚、子育てに至る15年間の思い出を振り返ります。愛し合った幸せな日々と思い出がよみがえる一方で、すれ違いや不満も浮き彫りに。最終的に、子供たちのサマーキャンプの父母参観日で再会した2人は、互いの気持ちを率直にぶつけ合い、結婚生活を続けるかどうかの結論を出すことになります。この物語は、夫婦の葛藤と愛の再生を、コミカルかつ心温まる形で描き出します。
解説
『ストーリー・オブ・ラブ』は、結婚生活の現実と理想のギャップをテーマにしたロマンティック・コメディです。ロブ・ライナー監督は、『恋人たちの予感』(1989年)の精神的な続編ともいえる本作で、恋愛の初期の情熱が時間とともにどう変化するかを丁寧に探ります。映画は、夫婦の日常的な口論や小さな不満が積み重なる様子をリアルに描写し、観客に共感を呼び起こします。特に、ベンとケイティが別居中に過去を振り返るフラッシュバックシーンは、愛の始まりと現在の対比を効果的に示し、夫婦関係の複雑さを浮き彫りにします。
本作の強みは、ブルース・ウィリスとミシェル・ファイファーの演技力にあります。ウィリスはアクション映画のイメージを抑え、ユーモアと脆さを併せ持つ作家ベンを自然体で演じ、ファイファーは感情の揺れ動きを繊細に表現。特に、ファイファーの終盤のシーンは、夫婦の絆を再確認する瞬間として多くの観客に感動を与えました。ただし、批評家の間では賛否が分かれ、Rotten Tomatoesでは26%の支持率、Metacriticでは37/100点と厳しい評価も。批評家は、ウィリスとファイファーのケミストリーの欠如や、物語の予測可能性を指摘する一方、感情的な共感やリアルな夫婦描写は高く評価されています。
音楽はエリック・クラプトンとマーク・シャイマンが担当し、クラプトンの主題歌「I Get Lost」が物語の情感を高めています。撮影はマイケル・チャップマンが手掛け、日常の温かさと切なさを捉えた映像が特徴です。衣装や美術も1990年代のアメリカの生活感を反映し、観客に身近な物語として響きます。本作は、離婚率の高まる現代において、夫婦関係を見直すきっかけを提供する作品として、特に一人で鑑賞することで深い気づきを得られると評価されています。
キャスト
- ベン・ジョーダン: ブルース・ウィリス(作家、ケイティの夫)
- ケイティ・ジョーダン: ミシェル・ファイファー(クロスワードパズル作家、ベンの妻)
- エリン・ジョーダン: コリーン・レニソン(ジョーダン夫妻の娘、10歳)
- ジョシュ・ジョーダン: ジェイク・サンドヴィグ(ジョーダン夫妻の息子、12歳)
- マーティ: ティム・マシスン(エリンの同級生の父親、離婚したばかり)
- スタン: ロブ・ライナー(ジョーダン夫妻の親友)
- レイチェル: リタ・ウィルソン(ジョーダン夫妻の親友、スタンの妻)
- デイブ: ポール・ライザー(ベンの友人)
- ドット: ジェイン・ミードーズ(ケイティの母親)
- ハリー: トム・ポストン(ケイティの父親)
- リリアン・ジョーダン: ベティ・ホワイト(ベンの母親)
- アーニー・ジョーダン: レッド・バトンズ(ベンの父親)
スタッフ
- 監督: ロブ・ライナー
- 脚本: アラン・ズウェイベル、ジェシー・ネルソン
- 製作: ロブ・ライナー、アラン・ズウェイベル、ジェシー・ネルソン
- 製作総指揮: ジェフリー・ストット、フランク・キャプラ三世
- 撮影: マイケル・チャップマン
- 美術: リリー・キルヴァート
- 音楽: エリック・クラプトン、マーク・シャイマン
- 主題歌: エリック・クラプトン「I Get Lost」
- 編集: アラン・エドワード・ベル、ロバート・レイトン
- 衣装デザイン: シェイ・カンリフ
- 字幕: 古田由紀子
レビュー 作品の感想や女優への思い