『ファイナル・デスティネーション』シリーズの最新作『Final Destination: Bloodlines』は、2025年5月16日に全米で公開され、14年ぶりの新作として大きな注目を集めています。この映画は、シリーズ史上最高のオープニング興行収入を記録し、国内外で好調なスタートを切ったことが複数のメディアやXの投稿で報じられています。本稿では、映画のボックスオフィス成績、その背景、シリーズとの比較、批評家の評価、そして今後の見通しについて詳しく解説します。
ボックスオフィス成績
『Final Destination: Bloodlines』は、2025年5月16日から18日の公開初週末に全米で約5,100万ドルの興行収入を記録しました。これは、シリーズ最高だった2009年の『ファイナル・デッドサーキット』の2,740万ドルを大幅に上回る成績であり、シリーズ史上最も成功したオープニングとなりました。全世界での興行収入は公開初週で1億200万ドルに達し、製作費5,000万ドルに対してすでに倍以上の収益を上げています。この数字は、事前の予測である3,500万~4,000万ドルを大きく超えるもので、ホラー映画市場での強い需要を示しています。
国際市場でも好調で、5月14日から公開された地域では、初週末に約5,100万ドルを追加で稼ぎ出しました。特に、IMAX上映が功を奏し、視覚的なインパクトを求める観客を引きつけました。IMAXフォーマットでの公開は、シリーズの特徴である複雑で派手な「死の連鎖」場面を最大限に活かし、観客の没入感を高めたと評価されています。
シリーズとの比較
「ファイナル・デスティネーション」シリーズは、2000年の第1作以来、「死の運命」をテーマにしたユニークなホラー映画として人気を博してきました。これまでの5作品のオープニング興行収入は以下の通りです。
- 『ファイナル・デスティネーション』(2000年):1,000万ドル
- 『ファイナル・デッドコースター』(2003年):1,600万ドル
- 『ファイナル・デッドサーキット』(2009年):2,740万ドル
- 『ファイナル・デッドブリッジ』(2011年):1,800万ドル
『Bloodlines』の5,100万ドルは、これらを大きく上回り、シリーズの人気の再燃を示しています。とくに、前作『ファイナル・デッドブリッジ』の約3倍のオープニング成績は、14年間のブランクを経てもファンの期待が衰えていないことを証明しました。シリーズ全体の全世界興行収入は約6億6,700万ドルでしたが、『Bloodlines』はすでにその15%以上を初週で稼ぎ、シリーズの新たなピークとなる可能性があります。
成功の要因
『Bloodlines』の成功にはいくつかの要因が挙げられます。
予告編のバイラル効果
2025年3月25日に公開された予告編は、公開後24時間で1億7,870万回の再生を記録し、ホラー映画史上2位(1位は『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』の約2億回)を達成しました。このバイラルな話題性が、公開前の期待感を大きく高めました。予告編では、シリーズおなじみの「ピタゴラスイッチ」と呼ばれる複雑な死の連鎖が強調され、ファンのノスタルジーを刺激しました。
IMAX上映と視覚的魅力
本作はIMAXでの上映を前提に制作され、視覚的な迫力が観客を引きつけました。特に、展望タワーの崩壊やバーベキューでの事故など、シリーズ特有の派手な死亡シーンが大画面で映えるよう設計されており、ホラー映画ファンの期待に応えました。IMAXのプレミアムチケット価格も興行収入の押し上げに貢献したとみられます。
トニー・トッドの遺作としての注目
シリーズの名キャラクター、ウィリアム・ブラッドワース役で知られるトニー・トッドが2024年11月に逝去し、本作が彼の遺作の一つとなりました。この事実が感情的な訴求力となり、ファン層の劇場来場を後押しした可能性があります。
批評家の高評価
Rotten Tomatoesでの批評家支持率は93%と、シリーズ最高を記録しました。批評家からは、「シリーズの原点に立ち返りつつ、新たな視点で死の運命を描いた」との声が多く、脚本の完成度や新しいキャストの魅力も評価されています。シネマスコアも「B+」とホラー映画としては高く、観客の満足度も高いことが伺えます。
ホラー映画市場の好調
2025年のホラー映画市場は、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2020年)などの成功例から、5月公開のホラー作品が好成績を収める傾向にあります。『Bloodlines』は競合の大作が少ない公開週を選び、ホラーファンの需要を独占しました。
ストーリーとキャスト
本作の主人公は、大学生のステファニー・レイエス(ケイトリン・サンタ・フアナ)。彼女は、1968年に祖母アイリスが展望タワーの崩壊を予知し、複数の命を救ったことで「死の運命」を回避した過去を知ります。しかし、その影響でステファニーの家族が次々と死に狙われることになり、彼女は死の連鎖を断ち切る方法を模索します。共演にはテオ・ブリオネス、リチャード・ハーモン、ブレック・ベイシンガー、そしてトニー・トッドがウィリアム・ブラッドワース役で登場。監督はザック・リポフスキーとアダム・B・スタインが務め、脚本はガイ・ブシックとロリ・エヴァンス・テイラーが担当しました。
物語は、シリーズの特徴である「予知夢」と「死の連鎖」を継承しつつ、家族の血縁(Bloodlines)をテーマに新たな展開を見せます。過去のシリーズでは個々の生存者が死を回避する物語が中心でしたが、本作では家族全体が死の標的となり、集団でのサバイバルが描かれます。この新鮮なアプローチが、既存ファンだけでなく新規観客にも訴求したとみられます。
批評と観客の反応
批評家は、本作を「シリーズの再発明」と称賛しています。特に、ステファニーの家族が直面する心理的な恐怖と、死の連鎖のクリエイティブな演出が評価されています。一方で、一部の批評家は「シリーズの定型を踏襲しすぎ」と指摘するものの、全体的には好意的なレビューが支配的です。観客の反応も上々で、Xでは「シリーズ最高のスタート」「ピタゴラスイッチが健在!」といった声が飛び交っています。シンガポールでの上映では、観客の反応が日本と異なり、細かいセリフにも積極的に反応する様子が報告されており、国際的な人気も伺えます。
今後の見通し
『Bloodlines』の好調なスタートは、シリーズのさらなる続編の可能性を示唆しています。製作陣はすでに「第一応答者(ファーストレスポンダー)」をテーマにした続編のアイデアを検討中と報じられており、ホラー映画市場の需要が続く限り、シリーズは拡大する可能性があります。次の週末には『リロ&スティッチ』や『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』といった大作が公開予定ですが、ホラー映画の観客層は異なるため、2週目も堅調な成績が期待されます。
日本での公開は現時点で未定ですが、シリーズの人気と今回の世界的成功を考慮すると、近いうちにアナウンスがある可能性が高いです。ファンとしては、続報を待ちつつ、IMAXでの迫力ある体験を期待したいところです。
結論
『Final Destination: Bloodlines』は、14年ぶりの新作としてシリーズ史上最高のオープニング興行収入を記録し、ホラー映画市場での強い存在感を示しました。予告編のバイラル効果、IMAX上映、トニー・トッドの遺作としての注目、批評家の高評価、そしてシリーズの伝統を活かした新鮮なストーリーが成功の鍵となりました。全世界で1億200万ドルを突破したこの映画は、シリーズの新たな黄金期を予感させます。ホラーファンにとっても、シリーズの「ピタゴラスイッチ」な死の連鎖を楽しむ絶好の機会となるでしょう。
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