映画『マッド・ナース』の冒頭に映る米国事情では、過去30年のFBIの記録によると、殺人を起こす職業は医療従事者間が最多。また、有名な連続殺人犯も医療従事者が最も多いそうです。
医療従事者のうちナース(看護師)だけでも、近年の連続殺人を挙げると、いくつか有名な事件やナースが出てきます。
このページではナースの連続殺人の実話例を挙げ、次いで、実話ベースの映画やドラマをご紹介していきます。
ナースの連続殺人
アメリカ合衆国のクリステン・ヘザー・ギルバートは4件の殺人と2件の殺人未遂で有罪判決を受けた元ナースの連続殺人犯。1990年代にマサチューセッツ州ノーサンプトンの退役軍人医療センター(VAMC)に入院していた患者に対し、追跡不可能な心臓刺激薬であるエピネフリン(一般にアドレナリンとして知られる)を静脈内治療バッグに致死量注入することによって患者の心停止を誘発しました。
イギリスの新生児看護師ルーシー・レトビーは、2016年頃に赤ん坊7人を殺害し、他の6人を殺害しようとした罪で終身刑に服しています。
米国ペンシルバニア州の元看護師ヘザー・プレスディーは、20数人の患者に意図的に過剰量のインスリンを注射し、そのうち3人を死亡させたことを認め、2024年5月に終身刑を言い渡されました。
このようなナースによる連続殺人を実話ベースに、病院医療や在宅医療における恐怖として映画やドラマがいくつも作られています。
実話ベースの映画やドラマ
ザ・ナース
ある病院の新人ナースは、同僚の注目願望が患者の連続死に結びついているのではないかと疑いはじめます。『ザ・ナース』2012年と2015年にデンマークの夜間看護師クリスティーナ・アイストラップ・ハンセンが犯した犯罪を実話ベースにしています。
マッド・ナース
『マッド・ナース』は、男たちを悩殺し餌食にするマッドで魅力的なエロコワ・ナースの衝撃と戦慄のセクシー・バイオレンス。じつは、女性たちも食い物に…。
ニューヨークの病院を舞台にした本作でパズ・デ・ラ・ウェルタ演じるナースアビゲイルは、昼は献身的な「白衣の天使」を務め、夜は不倫男を誘惑し残虐に殺害する連続殺人鬼に。
彼女の裏の顔は、女好きの男を「成敗」する狂気と快楽に駆られています。
アビゲイルはバイセクシャルで、新人ナースダニーに異常な執着を見せるが、人事部長がその正体に気付き、対決が展開。監督ダグラス・アーニオコスキーは、過激な殺人シーンと官能的な描写を織り交ぜ、B級ホラーの雰囲気を全開に。レディー・ガガのツアー・デザイナー、ザルディ・ゴコによる派手な衣装も目を引きます。
アビゲイルの二面性は、ナースの信頼性を皮肉ったもので、ストーリーは荒唐無稽だが、カルト的な魅力があります。論理より視覚的インパクトを重視した作品で、グロテスクなシーンとユーモラスな誇張が好きな観客向け。
パラサイト・ナース 美人ナースの罠
『パラサイト・ナース 美人ナースの罠』は連続殺人ではありませんが、在宅医療における殺人を描いたもの。美人ナースが幸せな夫婦の生活を脅かしていきます。
この手の在宅医療系の作品は、ハウスキーパーやナニーなどの家庭ものとも相まって、被害者と加害者の密接な距離を特徴にしています。
悪魔と化した女たち:第3話:殺人にはまったナース
『悪魔と化した女たち』は実話ベースのドキュメンタリー。犯罪を犯した女性に焦点を当てたアメリカ合衆国の犯罪ドキュメンタリーTV番組。LMNOエンターテインメント・グループが製作。
このうち「第3話:殺人にはまったナース」では、ブロンド髪の美人看護師ダナ・スー・グレイがアドレナリン中毒になり、派手な買い物と殺人にはまっていく様子をたどっています。
グッド・ナース
『グッド・ナース』は、実際に米国で起きた看護師チャールズ・カレン連続殺人事件を基にしたNetflixのサスペンス映画。
エディ・レッドメイン演じるチャーリーは、親切で有能看護師として病院に赴任したところ、患者の不審死が相次ぎます。ジェシカ・チャステイン演じる同僚看護師エイミーは、チャーリーの裏の顔に疑念を抱き、真相を追います。
映画は、チャーリーがインスリンや薬物を患者に過剰投与し、推定数百人を殺害した実話を静かな恐怖で描写。監督トビアス・リンホルムは派手な演出を避け、淡々とした日常の中で忍び寄る狂気を強調。チャーリーの優しげな表情と冷酷な行動の対比が不気味で、エイミーの勇気と葛藤が物語に深みを与えます。
実話の重さと、医療現場の信頼が揺らぐ恐怖が交錯し、観客に倫理的な問いを投げかける。ナースの「ケアする者」というイメージを逆手に取った心理サスペンスの傑作です。
ミザリー
スティーヴン・キング原作の『ミザリー』は、ナースアニー・ウィルクスが引き起こす恐怖を描いた心理スリラー。
キャシー・ベイツ演じるアニーは、事故で重傷を負った作家ポール・シェルダンを救いますが、実は彼の小説の熱狂的ファン。ポールが最新作でヒロインを殺したことに激怒し、彼を自宅に監禁します。
アニーは看護師としての知識を活かし、ポールを「生かす」一方で、精神的な拷問と肉体的な暴力を加えます。監督ロブ・ライナーは、アニーの狂気と優しさの境界を巧みに描き、ベイツの迫真の演技が恐怖を増幅。彼女は薬物投与やハンマーを使った残酷な行為でポールを支配し、ナースの「癒す」役割を歪んだ形で体現するのです。
アニーの愛情と憎悪の混在は、ナースという職業の信頼を逆手に取った強烈なキャラクター造形。閉鎖空間での緊張感と、予測不能な展開が観客を引き込む。ベイツはこの役でアカデミー賞主演女優賞を受賞。
The Nurse
『The Nurse』は、ナースが復讐のために殺人を犯すTV映画。
リサ・ゼイン演じる看護師ローラは、かつて医療ミスで父を失い、病院と医師に深い恨みを抱いています。彼女は裕福な患者の自宅看護師として潜り込み、家族を操りながら復讐を遂行。ローラは薬物の知識を駆使し、巧妙に殺人を重ね、表面上は完璧なナースを演じます。
監督はロバート・マリノウスキーで、低予算ながらサスペンスフルな展開が特徴。ローラの冷徹な計算と、ナースとしての信頼を悪用する手口が不気味。物語は、彼女の過去のトラウマと現在の狂気を交互に描き、復讐の動機に一定の同情を誘います。
ただし、テレビ映画ゆえに演出はやや抑えめで、劇場映画ほどの迫力はありません。ナースの職業倫理と個人的な憎悪の対立をテーマに、道徳的な葛藤を提示。B級サスペンスのファン向けの隠れた作品。
ヘルブレイン 血塗られた頭脳
『ヘルブレイン 血塗られた頭脳』は、ホラー映画でナースが殺人に関与する異色作。
ビル・モーズリー演じる殺人鬼リッキーは、クリスマスにトラウマを抱え、昏睡状態から覚醒。看護師ローラ(サマンサ・スカリー)は、超能力者の少女とリッキーの精神的な繋がりを研究するものの、実験が失敗し、リッキーの殺人衝動を刺激。
ローラは看護師として患者を「管理」する立場ですが、倫理を無視した実験が悲劇を招きます。
監督モンテ・ヘルマンは、低予算ホラーの枠内で、血なまぐさい殺戮と心理的緊張を融合。ローラの冷淡な態度は、ナースの「ケア」のイメージを裏切り、殺人鬼の暴走を間接的に助長。
本作はシリーズのカルト的な人気を背景に、ナースの職業倫理の欠如をホラー要素で誇張。クリスマスの不気味な雰囲気と、スラッシャー映画の過激さが特徴。B級ホラー愛好家向けの作品で、ナースの暗い側面が際立ちます。
おわりに
映画『マッド・ナース』の冒頭では、過去30年のFBIの記録が引用され、殺人を起こす職業は医療従事者間が最多とのこと。有名な連続殺人犯も医療従事者が最も多いそうです。
ナースだけをとりあげても、近年の連続殺人を挙げると有名な事件を引き起こしています。近年では介護の分野でも似た事件が多発しているのは、米国に限っただけでなく、日本でも日常茶飯事ですね…。










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