『婦人画報』は、1905年に創刊された日本最古の女性ライフスタイル誌。ハースト婦人画報社が発行し、ファッション、グルメ、旅、伝統文化など上質な情報を提供。富裕層女性向けに、雑誌やウェブで展開しています。
解説
『婦人画報』は、1905年7月に近事画報社(現ハースト婦人画報社)により創刊された、日本で最も歴史ある女性向けライフスタイル誌の一つです。初代編集長は詩人・小説家の国木田独歩で、創刊時の編集陣には吉江喬松や窪田空穂などの著名な作家・画家が名を連ねました。「知ること、学ぶこと、考えることを重ねて、人は豊かに美しくなる」を理念に、衣・食・住における上質な情報を提供し続け、2025年には創刊120周年を迎えました。対象読者は主に40~50代の知的な富裕層女性で、都市部在住の社会的に自立した女性が多いです。
掲載内容は、ファッション、ビューティ、グルメ、旅行、伝統文化、ウェルネスなど多岐にわたり、視覚に訴える美しい写真と確かな編集力で知られています。特に日本の伝統文化や工芸を重視し、2025年7月号では「みんなの『工芸』120」を特集し、120組の作り手を紹介するなど、文化の継承に力を入れています。また、茶道裏千家十六代家元・千宗室氏のインタビューや歌舞伎俳優・市川染五郎氏の特集など、文化的深みを追求した企画が特徴です。
デジタル展開にも積極的で、2019年にリニューアルした「婦人画報デジタル」は月間1,000万PVを突破し、SNSではLINEの友だち数が約70万人に達するなど、幅広いプラットフォームで支持を集めています。ECサイト「婦人画報のお取り寄せ」ではグルメや工芸品を扱い、雑誌のコンテンツを購買体験につなげています。さらに、イベントやタイアップ広告を通じて、カルティエや伊勢丹などのブランドと連携し、読者との接点を強化しています。
戦時中は一時『戦時女性』に統合され休刊しましたが、1946年に復刊。以来、伝統と革新を両立させ、雑誌不況下でも増収増益を達成するなど、メディアとしての進化を続けています。編集長・西原史氏は「新しい上質」をキーワードに、子どもをテーマにした特集や社会貢献活動への寄付など、時代に即した挑戦を重ねています。このように、『婦人画報』は120年にわたり、日本女性の美と知性を育む存在として、独自の地位を築いています。
特記事項
『婦人画報』は、創刊号で国木田独歩が掲げた「理想の女性像」を現代に継承し、2015年の110周年では創刊号の完全復刻版を付録に提供しました。2020年の115周年では坂本龍一氏の特別寄稿や「食養生」をテーマにした特集を展開。2025年の120周年記念号では、国木田独歩の玄孫・国木田彩良氏が特別版表紙に登場し、話題に。ハースト婦人画報社は、米国ハースト傘下で、『HARPER’S BAZAAR』など多様なメディアを展開。ISO14001取得や植物油インキ使用など、環境配慮も進める一方、デジタル事業で売上の約3割を占めるなど、伝統と革新を両立させています。
レビュー 作品の感想や女優への思い