ブリック | なむ語る

ドイツ発のNetflixオリジナル映画「ブリック」（2025年）は、突如黒いレンガの壁に閉じ込められたアパートの住人たちが脱出を試みるSFスリラー。心理的な緊張と謎解きが交錯する99分の密室劇。監督はフィリップ・コッホ、主演はマティアス・シュヴァイクホファーとルビー・O・フィー。

基本情報
あらすじ
解説
女優の活躍
女優の衣装・化粧・髪型
1. ルビー・O・フィー（オリヴィア役）
2. ルナ・ウェドラー（ケイティ役）
キャスト
スタッフ
総括

基本情報

邦題：ブリック
原題：Brick
公開年：2025年
製作国：ドイツ
上映時間：99分
ジャンル：SF、ミステリー、スリラー

BRICK Trailer (2025) Ruby O. Fee, Matthias Schweighöfer

あらすじ

ドイツの都市部ハンブルクに住むプログラマーのティム（マティアス・シュヴァイクホファー）と建築家のオリヴィア（ルビー・O・フィー）は、2年前の流産をきっかけに夫婦関係が冷え切っている。ある朝、ティムとオリヴィアが目を覚ますと、彼らが暮らすレンガ造りの5階建てアパート全体が、謎の黒いレンガ状の壁に完全に覆われていることに気づく。窓も玄関も全て塞がれ、Wi-Fiや電話も繋がらない完全な孤立状態。壁は異様な強度を持ち、電動ドリルやハンマーでも破壊できない。絶望の中、オリヴィアは建築家としての知識を活かし、壁を壊して隣人の部屋へアクセスすることを思いつく。隣人には血気盛んなカップル、マーヴィン（フレデリック・ラウ）とその恋人ケイティ（ルナ・ウェドラー）、そして謎めいた老人ユーリ（ムラタン・ムスル）が住んでいる。彼らは協力して地下の防空壕を目指すが、壁の正体や封鎖の理由を巡る謎が深まり、内部の緊張と不信感が高まる。果たして彼らはこの異常な状況から脱出できるのか、それとも壁の裏には想像を超える真実が隠されているのか？

ブリック | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

ティムとオリヴィアが住むアパートの建物が、一夜にして謎めいた黒い壁で覆われてしまう。建物に閉じ込められたふたりは、警戒心の強い隣人たちと力を合わせ、脱出する方法を模索し始める。

解説

「ブリック」は、閉鎖空間でのサバイバルを描く「ソリッド・シチュエーション・スリラー」の一種で、映画「CUBE」（1997年）を彷彿とさせる設定が特徴です。ドイツ映画らしい重厚でスタイリッシュな映像美と、心理的な閉塞感を強調するカメラワークが評価されています。物語は、夫婦の関係性の修復と、極限状態での人間の本性を探るテーマを軸に展開。流産による喪失感や夫婦間の溝が、閉じ込められた状況下でどのように変化するかが丁寧に描かれます。しかし、一部のレビューでは「壮大な設定に対して結末が平凡」「謎の解明が曖昧」との批判もあり、賛否両論を呼んでいます。壁の正体や封鎖の理由についてはSF的な要素が絡み、観客に解釈の余地を残す作りが特徴的です。社会的なメタファーとして、資本主義や孤立感、EUの閉塞感を象徴しているとの解釈も見られ、深い考察を誘う作品です。

女優の活躍

本作の主要な女性キャラクター、オリヴィアを演じるルビー・O・フィー（Ruby O. Fee）は、ドイツとフィリピンのハーフで、若手実力派女優として知られています。彼女は「ブリック」で、知性と行動力を兼ね備えた建築家オリヴィアを熱演。物語の中心となる脱出劇において、オリヴィアは建築の専門知識を活かし、壁を破るアイデアや防空壕へのルートを提案するなど、リーダーシップを発揮します。特に、感情的に不安定なティムや他の住人たちをまとめ、冷静な判断で状況を打開しようとする姿は、物語の推進力となっています。ルビー・O・フィーは、流産のトラウマを抱えながらも、極限状態で強さを発揮するオリヴィアの複雑な感情を見事に表現。彼女の演技は、絶望と希望の間で揺れ動くキャラクターの内面を繊細に描き出し、観客に共感を呼びます。
また、ケイティ役のルナ・ウェドラー（Luna Wedler）も注目すべき若手女優です。ケイティはマーヴィンの恋人で、ドラッグとパーティーに溺れるやや不安定なキャラクター。ルナ・ウェドラーは、ケイティの感情的な爆発や脆さをリアルに演じ、物語に緊張感を加えています。彼女の演技は、閉鎖空間での人間関係の軋轢を強調する重要な要素となっています。

女優の衣装・化粧・髪型

ルビー・O・フィー（オリヴィア役）

オリヴィアの衣装は、建築家という職業を反映した実用性重視のスタイル。カジュアルなジーンズにシンプルなTシャツや薄手のジャケットを着用し、動きやすさを優先したデザインが目立ちます。物語が進むにつれ、埃や汗で衣装が汚れることで、過酷な状況が視覚的に表現されます。化粧はほぼナチュラルで、薄いファンデーションと控えめなリップのみ。流産のトラウマを抱える彼女の疲れた表情を強調するため、目の下に軽いクマが施されている場面も。髪型は、普段はシンプルなポニーテールだが、脱出劇の混乱の中で髪が乱れ、彼女の精神的な動揺を象徴しています。この自然体なルックは、オリヴィアの現実的でタフな性格を際立たせ、観客に親近感を与えます。

ルナ・ウェドラー（ケイティ役）

ケイティの衣装は、若さと奔放さを反映した派手めなスタイル。タイトなタンクトップやダメージジーンズ、カラフルなアクセサリーが特徴で、パーティー好きの性格を表現。化粧は濃いアイラインと鮮やかなリップで、彼女の攻撃的な性格を強調しています。髪型はルーズなウェーブのかかったミディアムヘアで、物語の後半では乱れた髪が彼女の不安定な精神状態を映し出します。ケイティのルックは、オリヴィアの落ち着いたスタイルと対比され、住人たちの多様な背景を視覚的に示しています。

キャスト

マティアス・シュヴァイクホファー（ティム役）：ドイツを代表する俳優兼プロデューサー。「アーミー・オブ・シーブズ」などアクションやスリラーでの活躍が知られる。本作では、妻との関係修復に葛藤するプログラマーを繊細に演じる。
ルビー・O・フィー（オリヴィア役）：若手実力派女優。知性と行動力を兼ね備えた建築家を演じ、物語の中心として活躍。
フレデリック・ラウ（マーヴィン役）：「ヴィクトリア」などに出演。血気盛んな隣人役で、グループ内の緊張感を高める。
ルナ・ウェドラー（ケイティ役）：スイス出身の若手女優。感情的なキャラクターを演じ、物語にドラマ性を加える。
ムラタン・ムスル（ユーリ役）：謎めいた老人役で、物語の鍵を握る重要なキャラクター。

スタッフ

監督・脚本：フィリップ・コッホ。「60ミニッツ」の脚本家として知られ、本作では監督と脚本を兼任。閉鎖空間の緊張感を巧みに演出し、ドイツ映画特有の重厚な雰囲気を生み出した。
音楽：アンナ・ドルビッチ、マルティナ・アイゼンライヒ、ミヒャエル・カーデルバッハ。不穏な電子音とオーケストラを融合させたサウンドトラックで、閉塞感とスリルを強調。
製作：W-Film、W-Pictures、W&B Television。ドイツの製作会社が共同で手掛け、Netflixのグローバル配信を支えた。
配給：Netflix。2025年7月10日より全世界独占配信。

総括

「ブリック」は、閉鎖空間での脱出劇を通じて人間関係や社会的なメタファーを描く意欲作です。ルビー・O・フィーやルナ・ウェドラーの女優陣の活躍は、物語に感情的な深みを加え、衣装や髪型もキャラクターの個性を際立たせます。しかし、結末の曖昧さが賛否を呼び、観客に解釈を委ねる作りが特徴的。ドイツ映画の独特な雰囲気とスリリングな展開を楽しみたい方にオススメの作品です。