『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(原題:The Fantastic Four: First Steps)は、2025年7月25日に全米公開されたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作で、大きな話題を呼んでいます。この映画は、ディズニーとマーベル・スタジオのもとで製作された初めてのファンタスティック・フォー作品であり、ケヴィン・ファイギが率いるマーベル・スタジオにとって重要な一歩となりました。以下に、興行成績や映画の特徴について丁寧に説明します。
興行成績
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は、公開初週末(7月25日~27日)に全米4,125の劇場で1億1800万ドルの興行収入を記録し、2025年の全米オープニング興行収入ランキングで4位に輝きました。これは、『A Minecraft Movie』、『Lilo & Stitch』、『Superman』に続く成績であり、マーベル作品としては『Deadpool & Wolverine』(2億1100万ドル)以来最大のオープニングとなりました。また、国際市場では52の地域で1億ドルの興行収入を獲得し、全世界での初週末興行収入は2億1800万ドルに達しました。この数字は、事前の予想(全米で1億~1億1000万ドル、国際で9000万~1億ドル)を上回る好調なスタートを切ったことを示しています。
特に、プレビュー上映(木曜夜)では2440万ドルを記録し、2025年最大のプレビュー興行収入を達成。これは、直近で公開された『Superman』の2250万ドルを上回る結果です。初日の興行収入は5700万ドルで、2025年の初日興行収入としては『A Minecraft Movie』(5710万ドル)に次ぐ2位となりました。 ただし、金曜から土曜にかけての興行収入の落ち込みが大きく、家族層の動員が予想より少なかった(子供13歳以下の観客割合が8%、通常のPG-13スーパーヒーロー映画の21%に対し17%)ことが指摘されています。それでも、IMAXやプレミアム大型スクリーンでの上映が全体の40%を占め、特にIMAXは1600万ドル(週末興行収入の14%)を貢献するなど、プレミアムフォーマットでの人気が高いことが伺えます。
国際市場では、メキシコ(410万ドル)、イギリス(280万ドル)、フランス(270万ドル)、イタリア(170万ドル)、ブラジル(170万ドル)がトップ5の市場となり、特にフランスとイタリアでは2025年の3番目に高い初日興行収入を記録しました。 ただし、中国や日本など一部のアジア市場では現地作品との競争やスーパーヒーロー映画への関心の低下が影響し、興行収入は控えめなスタートとなりました。
映画の特徴
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は、1960年代を舞台にしたレトロフューチャリスティックな世界観が特徴で、従来のマーベル作品とは一線を画す独自のスタイルが評価されています。監督はマット・シャクマン(『WandaVision』)が務め、ペドロ・パスカル(リード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック)、ヴァネッサ・カービー(スー・ストーム/インビジブル・ウーマン)、ジョセフ・クイン(ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ)、エボン・モス=バクラック(ベン・グリム/ザ・シング)が主演を務めています。このキャストのケミストリーは特に高く評価されており、批評家からは「マーベルの初のファミリーにふさわしいキャスティング」と称賛されています。
物語は、宇宙ミッション中に宇宙線を浴びて超能力を得たファンタスティック・フォーが、地球を食らう宇宙神ガラクタスとその使者シルバー・サーファーに立ち向かう姿を描きます。スー・ストームが妊娠しているという設定は、映画のタイトル「First Steps」に新たな意味を与え、リードとスーの子であるフランクリンやヴァレリアの登場を示唆しています。 ヴィランのガラクタスとシルバー・サーファーの描写については「やや物足りない」との声もありますが、全体的にストーリーは家族の絆を中心に据えた親しみやすい内容で、MCUの他の作品との繋がりが少ないため、予備知識がなくても楽しめる作品として好評です。
批評と観客の反応
Rotten Tomatoesでは、313人の批評家のうち87%が肯定的なレビューを寄せ、シリーズ最高の「Certified Fresh」を獲得。批評家の総意は「キャストの確かなケミストリーと魅力的な1960年代のレトロデザインが、マーベルの初のファミリーに正義をもたらした」と評されています。Metacriticでは54人の批評家から平均64/100の「概ね好評」の評価を受けています。 観客の反応も良好で、CinemaScoreでは「A-」を獲得。特に35~44歳(80%)、45~54歳(72%)、55歳以上(78%)の観客から高い支持を得ており、比較的若い層(18~24歳、25~34歳)の69%を上回る結果となりました。
マーベル・スタジオにとっての意義
マーベル・スタジオは、近年の『Captain America: Brave New World』(全世界4億1500万ドル)や『サンダーボルツ』(同3億8200万ドル)といった作品の興行不振を受け、商業的な安定性を回復する必要に迫られていました。『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は、2025年で初めて1億ドルを超える国内オープニングを記録し、『Deadpool & Wolverine』以来の成功作となりました。 さらに、ディズニーが2025年に全世界興行収入30億ドルを突破した初のハリウッドスタジオとなる一助ともなっています。
過去のファンタスティック・フォー映画(2005年、2007年、2015年)は20世紀フォックス製作で、批評面では成功を収められませんでしたが、今回のリブートはマーベル・スタジオの手により新たなスタートを切りました。特に、2005年の『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』(全世界3億3050万ドル)、2007年の『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』(同3億100万ドル)、2015年のリブート(同1億6700万ドル)と比較しても、初週末の成績は過去最高を記録し、シリーズの再活性化に成功したと言えるでしょう。
## 今後の展望
制作費が2億ドル以上、マーケティング費用が1億ドル以上とされる本作は、劇場での収益性を確保するためには長期的な興行収入の持続が不可欠です。 スーパーヒーロー映画への「疲れ」が指摘される中、批評家や観客からの好意的な反応と、家族層以外の幅広い年齢層からの支持が、今後の興行成績を後押しする可能性があります。ポール・ダーガラベディアン(Comscoreシニアメディアアナリスト)は、「スーパーヒーロー疲れではなく、質の低い映画への疲れが問題」と述べ、本作と『Superman』の成功がこの議論を払拭する一助となると語っています。
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は、MCUのフェーズ6の幕開けとして、今後のマーベル作品に新たな勢いをもたらすことが期待されています。引き続き、劇場での上映が続き、8月以降も興行収入を伸ばすことが予想されます。興味をお持ちの方は、ぜひ劇場でこのレトロフューチャリスティックな冒険をお楽しみください。
レビュー 作品の感想や女優への思い