マリア・デ・メデイロス(Maria de Medeiros)はポルトガル・リスボン出身の女優、映画監督。英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語を流暢に話し、15歳で映画デビュー。『パルプ・フィクション』や『ヘンリー&ジューン』で知られ、監督作『Capitães de Abril』も高評価。
プロフィール
- マリア・デ・メデイロス(Maria de Medeiros)
- 本名:Maria Esteves de Medeiros Victorino de Almeida
- 生年月日:1965年8月19日(59歳)
- 出生地:ポルトガル、リスボン
- 国籍:ポルトガル
- 活動期間:1980年~
- 配偶者:Agustí Camps
- SNSサイト:Instagram・Youtube・X・Facebook
生い立ち・教育
マリア・デ・メデイロス(Maria Esteves de Medeiros Victorino de Almeida)は、1965年8月19日にポルトガルのリスボンで生まれました。彼女の父親は音楽家で作曲家のアントニオ・ビクトリーノ・デ・アルメイダであり、芸術に囲まれた環境で育ちました。妹のイネス・デ・メデイロスも女優として活動しており、姉妹ともにポルトガルの芸能界で名を馳せています。マリアは幼少期から多言語に親しみ、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語を流暢に話すことができる才能を培いました。この言語能力は、後に彼女の国際的なキャリアにおいて大きな強みとなりました。
18歳のとき、さらなる演技の研鑽を積むためフランスへ移住しました。パリにある名門の国立高等演劇学校(Conservatoire national supérieur d’art dramatique、CNSAD)に入学し、1988年に卒業しました。この期間に、彼女は演劇の基礎を徹底的に学び、ヨーロッパの演劇文化に深く触れる機会を得ました。フランスでの教育は、彼女の表現力と演技に対するアプローチを磨き、国際的な舞台での活躍の基盤を築きました。
経歴
マリア・デ・メデイロスのキャリアは、15歳のときにポルトガルで映画デビューを果たしたことから始まりました。1980年代初頭のこのデビューは、彼女の若々しい才能と情熱を示すものでした。フランスでの演劇教育を終えた後、1990年にフィリップ・カウフマン監督の『ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女』でアナイス・ニン役を演じ、国際的な注目を集めました。この作品では、彼女の文学的で繊細な演技が批評家から高く評価され、彼女の名を世界に知らしめました。アナイス・ニンに似た外見も、彼女がこの役に選ばれた理由の一つでした。
1994年には、クエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』でブルース・ウィリス演じるブッチの恋人ファビアン役を演じ、さらなる知名度を獲得しました。この作品はカルト的な人気を博し、彼女の多才な演技が広く認知されました。同年、ポルトガル映画『Três irmãos』での演技が評価され、ヴェネツィア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞しました。この受賞は、彼女のキャリアにおける重要な節目となりました。
女優としての活動に加え、マリアは映画監督としても才能を発揮しています。2000年に監督・出演した『Capitães de Abril』(邦題:4月のキャプテン)は、1974年のポルトガルのカーネーション革命を題材とした作品で、第53回カンヌ国際映画祭で上映されました。この作品は、歴史的な出来事を描きつつ、彼女の監督としての鋭い視点と感性を示すもので、批評家から高い評価を受けました。また、彼女は歌手としても活動し、ブラジルのトロピカリズモの名曲をカバーしたアルバム『A Little More Blue』をリリースするなど、多才なアーティストとして活躍しています。
マリアはヨーロッパ映画、特にフランス映画への出演が多く、国際的な映画祭での存在感も顕著です。彼女はポルトガル人として初めてユネスコの平和のアーティストに任命され、文化的・社会的な影響力も持っています。
私生活
マリア・デ・メデイロスの私生活については、彼女自身が公に多くを語らないため、詳細は限られています。しかし、彼女はポルトガルとフランスを中心に生活しており、国際的なキャリアを支えるために複数の国を行き来していることが知られています。彼女の多言語能力は、異なる文化圏での仕事や生活を円滑に進める上で大きな役割を果たしています。
家族に関しては、妹のイネス・デ・メデイロスが女優として活動しているほか、父親の影響で音楽や芸術に深い造詣を持っています。マリアは私生活においても芸術への情熱を維持し、自身の作品やプロジェクトを通じて社会的なメッセージを伝えることを重視しているようです。彼女のユネスコ平和のアーティストとしての役割は、平和や文化の促進に対する彼女の個人的なコミットメントを反映しています。
出演作品
マリア・デ・メデイロスの出演作品は、ヨーロッパとアメリカの映画界にまたがる多様なフィルモグラフィーを誇ります。以下は代表的な作品の一部です。
- ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女(1990年)…アナイス・ニン役で出演。作家ヘンリー・ミラーとその妻ジューンとの関係を描いたこの作品で、彼女の繊細で知的な演技が光りました。
- パルプ・フィクション(1994年)…クエンティン・タランティーノ監督の名作で、ブルース・ウィリス演じるブッチの恋人ファビアン役を演じました。この役で彼女は愛らしいがどこかミステリアスなキャラクターを表現し、映画のカルト的地位に貢献しました。
- Três irmãos(1994年)…ポルトガル映画で、ヴェネツィア国際映画祭最優秀女優賞を受賞。家族の絆と葛藤を描いたこの作品で、彼女の情感豊かな演技が高く評価されました。
- Capitães de Abril(2000年)…監督・出演を兼任した作品で、ポルトガルのカーネーション革命を描いた歴史ドラマ。カンヌ国際映画祭での上映により、彼女の監督としての才能が国際的に認められました。
- チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢(2012年)…ファランギース役で出演。マルジャン・サトラピ監督によるこの作品は、音楽と愛をテーマにした幻想的な物語で、彼女の独特な存在感が際立ちました。
- 死ぬまでにしたい10のこと(2003年)…人生の終焉を見つめる女性の物語で、深い感情表現が求められる役を演じました。
- 荒野の殺し屋(2017年)…アクション要素の強い作品で、彼女の多様な役柄への適応力を見せつけました。
その他にも、『神曲』(1991年)、『読書する女』(1988年)、『私家版』(1997年)など、ヨーロッパ映画を中心に多数の作品に出演しています。彼女のフィルモグラフィーは、商業映画からアートハウス映画まで幅広く、国際的な映画祭での評価も高いです。また、音楽活動ではアルバム『A Little More Blue』でブラジルの名曲をカバーし、ジャズやサンバの要素を取り入れた独自のスタイルを披露しています。
まとめ
マリア・デ・メデイロスは、女優、映画監督、歌手として多才な才能を発揮し、国際的な映画界で独自の地位を築いてきました。ポルトガル出身でありながら、フランスやアメリカの映画にも積極的に参加し、多言語を操る彼女の能力は、異なる文化をつなぐ架け橋となっています。『パルプ・フィクション』や『ヘンリー&ジューン』での印象的な演技、監督作『Capitães de Abril』での歴史的テーマへの取り組み、そして音楽活動における情熱的な表現は、彼女が単なる俳優を超えたアーティストであることを証明しています。ユネスコ平和のアーティストとしての役割も含め、彼女の活動は芸術と社会の両方に深い影響を与え続けています。
レビュー 作品の感想や女優への思い