1998年公開の米国のホラー映画『ルール』(原題:Urban Legend)は、都市伝説をモチーフに、ニューイングランドの大学で起こる連続殺人事件を描く。ナタリーが犯人を追う青春スリラー。99分。
基本情報
- 邦題:ルール
- 原題:URBAN LEGEND
- 公開年:1998年
- 製作国:米国
- 上映時間:99分
- ジャンル:ホラー
あらすじ
ニューイングランドのペンデルトン大学に通うナタリー(アリシア・ウィット)は、友人のミシェルがガソリンスタンドで斧を持った殺人鬼に殺される事件に遭遇します。この大学では、25年前に精神異常をきたした教授が寮の生徒を全員惨殺し、自らも心臓を刺して死んだという「スタンリー寮の殺人」という都市伝説が語り継がれていました。
ナタリーはこれを単なる噂と考えていましたが、彼女の周囲で都市伝説を模倣した猟奇的な殺人事件が次々と発生します。たとえば、車内に潜む殺人鬼や電子レンジに入れられたペットなど、アメリカで広く知られる都市伝説が現実の殺人として再現され、ナタリーの友人たちが次々に犠牲になります。
ナタリーはこれらの殺人が単なる偶然ではなく、都市伝説の「ルール」に従って行われていることに気づき、犯人探しに乗り出します。民俗学の教授ウェクスラー(ロバート・イングランド)を疑いながらも、真相に迫る中で、彼女自身も命を狙われる危険にさらされます。物語は、犯人の正体と動機が明らかになるクライマックスへと突き進み、ナタリーの決死の戦いが描かれます。
解説
『ルール』(原題:Urban Legend)は1998年に公開された米国のホラー映画で、都市伝説を題材にしたユニークな青春スリラー。監督はジェイミー・ブランクスで、彼のデビュー作として注目されました。本作は、1990年代後半のホラー映画ブームの中、『スクリーム』(1996年)や『ラストサマー』(1997年)に続くティーン向けホラー映画として製作されました。都市伝説という身近で不気味な題材を用い、観客に「次はどの都市伝説が再現されるのか」という期待と恐怖を与える構造が特徴です。物語は、典型的なスラッシャー映画の形式を踏襲しつつ、都市伝説のモチーフを巧みに取り入れることで独自性を出しています。たとえば、「車の後部座席に潜む殺人鬼」や「点滅するヘッドライトの警告」など、米国で広く知られた都市伝説が殺人シーンの基盤となっており、観客に馴染み深い恐怖を提供します。
本作の魅力は、単なるホラー映画を超えたミステリー要素にもあります。犯人の正体が最後まで明かされない展開や、登場人物それぞれが怪しく見える演出が、観客を物語に引き込みます。脚本には不整合な点(たとえば、単独犯による複雑な殺人計画の実行可能性)も指摘されていますが、都市伝説の再現という楽しさがそれを補っています。
また、ホラー映画ファンにはお馴染みのロバート・イングランド(『エルム街の悪夢』のフレディ役)やブラッド・ドゥーリフ(『チャイルド・プレイ』のチャッキーの声)が出演しており、彼らの存在が作品に深みを加えています。商業的にも成功し、1400万ドルの予算に対し全世界で7250万ドルの興行収入を記録し、続編『ルール2』(2000年)や『ルール3』(2005年)も製作されました。
女優の活躍
本作では、アリシア・ウィットが主人公ナタリー・サイモン役を演じ、物語の中心として強い存在感を示しました。ウィットは、知的好奇心と勇敢さを兼ね備えた女子大生を演じ、恐怖に立ち向かう姿で観客の共感を呼びます。彼女の演技は、感情的な揺れ動きや危機的状況での冷静さをバランスよく表現しており、1990年代のホラー映画における「ファイナルガール」(最後に生き残る女性主人公)の典型として評価されています。ウィットは、本作以前に『デューン/砂の惑星』(1984年)や『陽のあたる教室』(1995年)で注目を集めており、本作でさらに若手女優としての地位を確立しました。
レベッカ・ゲイハートは、ナタリーの友人ブレンダ役で出演し、物語の後半で重要な役割を果たします。ゲイハートの演技は、友好的で少し軽薄な大学生から一転する場面での迫力が特に印象的で、彼女のキャリアにおけるハイライトの一つとなっています。なお、彼女は『スクリーム2』にも出演しました。
タラ・リードは、派手好きなサーシャ役で登場し、短い出演時間ながらもエネルギッシュな演技で観客の記憶に残ります。リードは当時『アメリカン・パイ』(1999年)などでブレイク直前の時期で、若々しい魅力が本作でも発揮されています。
その他、ナターシャ・グレグソン・ワグナーはミシェル役で冒頭の殺人シーンを演じ、短い登場ながらも強烈な印象を残しました。また、ベテラン女優のロレッタ・デヴァインが警備員リース役で登場し、コミカルかつ頼もしい演技で物語にアクセントを加えています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の女優たちの衣装、化粧、髪型は、1990年代後半のアメリカの大学生のファッションを反映しており、カジュアルでトレンディなスタイルが特徴です。
アリシア・ウィットのナタリーは、知的で控えめな女子大生らしい装いが中心です。彼女の衣装は、ジーンズやカーゴパンツ、シンプルなTシャツやセーターといったカジュアルなものが多く、動きやすさを重視したスタイルが目立ちます。化粧はナチュラルで、薄いファンデーションと控えめなリップカラーが中心。髪型は、肩までの長さのストレートヘアで、普段はルーズに下ろしたり、ポニーテールでまとめたりするなど、典型的な大学生らしい自然体な印象です。このスタイルは、ナタリーの現実的で好奇心旺盛な性格を強調しています。
レベッカ・ゲイハートのブレンダは、より女性らしいファッションで、タイトなトップスやミニスカート、明るい色のニットなどを着用し、トレンドを意識したスタイルが特徴です。彼女の化粧は、ピンクや赤系の口紅とアイメイクがやや強調されており、華やかな印象を与えます。髪型は、ゆるいウェーブのかかったミディアムヘアで、女性らしさと活発さを両立させています。
タラ・リードのサーシャは、派手な性格を反映した大胆な衣装が特徴で、明るい色のトップスやアクセサリーを多用。化粧は、濃いアイライナーとグロッシーなリップで、1990年代のグラマラスなトレンドを体現しています。髪型はブロンドのロングヘアで、ふわっとしたスタイリングが目立ちます。
ロレッタ・デヴァインのリースは、警備員の制服が主で、化粧は控えめ、髪は短めのストレートで、実直なキャラクターを反映したシンプルなスタイルです。
これらの衣装や髪型は、1990年代の若者文化を色濃く反映し、キャラクターの個性を際立たせています。
キャスト
- アリシア・ウィット(ナタリー・サイモン役):主人公の女子大生。都市伝説の謎を追う。
- ジャレッド・レト(ポール・ガードナー役):新聞記者の学生で、ナタリーの友人。
- レベッカ・ゲイハート(ブレンダ・ベイツ役):ナタリーの親友で、物語の鍵を握る。
- タラ・リード(サーシャ・トーマス役):ラジオDJの学生で、派手な性格。
- マイケル・ローゼンバウム(パーカー・ライリー役):ナタリーの友人で、ユーモラスな性格。
- ロレッタ・デヴァイン(リース・ウィルソン役):大学の警備員で、頼れる存在。
- ジョシュア・ジャクソン(デイモン・ブルックス役):ナタリーの友人で、陽気な学生。
- ナターシャ・グレグソン・ワグナー(ミシェル・マンチーニ役):冒頭で殺される学生。
- ロバート・イングランド(ウェクスラー教授役):民俗学の教授で、怪しい雰囲気。
- ダニエル・ハリス(トッシュ・グアナリ役):ナタリーのルームメイト。
- ブラッド・ドゥーリフ(ガソリンスタンドの店員役):冒頭の不気味な店員。
- ジョン・ネヴィル(学長役):大学の責任者。
- ジュリアン・リッチングス(用務員役):謎めいた雰囲気を持つ。
スタッフ
- 監督:ジェイミー・ブランクス(デビュー作で、ホラーとサスペンスのバランスを演出)。
- 脚本:シルヴィオ・ホルタ(都市伝説を巧みに物語に組み込む)。
- 製作:ニール・H・モリッツ、ジーナ・マシューズ、マイケル・マクドネル(『ラストサマー』などホラー映画の成功作を手掛ける)。
- 撮影:ジェームズ・クレッサンティス(『裏切りのKISS』の経験を生かし、暗い雰囲気を演出)。
- 音楽:クリストファー・ヤング(『ワンダー・ボーイズ』などで知られ、不気味な音響効果で緊張感を高める)。
- 編集:ジェイ・キャシディ(ホラー映画のテンポ感を強化)。
- 美術:チャールズ・ブロー(大学のキャンパスや殺人現場の不気味な雰囲気を構築)。
- 衣装デザイン:メアリー・クレア・ハンナン(1990年代の若者文化を反映した衣装を提供)。
レビュー 作品の感想や女優への思い