『ハロウィン III』は1982年10月22日に公開された米国のSFホラー映画。ハロウィンシリーズの第3作ですが、マイケル・マイヤーズは登場せず、独立した物語です。アルコール依存の医師ダニエル・チャリスが、謎の殺人事件から始まるハロウィンマスクの陰謀を追います。アイルランド系実業家コナル・コクランが率いるシルバー・シャムロック社が、子供たちを標的にした古代ケルトの儀式を現代的に再現しようとする恐ろしい計画が明らかになります。科学フィクション要素とホラーが融合した作品です。
基本情報
- 邦題:ハロウィン III
- 原題:HALLOWEEN III: SEASON OF THE WITCH
- 公開年:1982年
- 製作国:米国
- 上映時間:91分
- ジャンル:ホラー
見どころ
『ハロウィン』シリーズをモチーフにした1作で、ブギーマンことマイケル・マイヤーズが出ない外伝的作品。『IT/イット』のトミー・リー・ウォーレスが監督・脚本を担当。
女優の活躍
『ハロウィン III』では、いくつかの女優が重要な役割を果たしています。まず、主役級の女優としてステイシー・ネルキンがエリー・グリムブリッジを演じています。彼女は父親の殺人事件を調査する強気で行動的な若い女性を熱演し、トム・アトキンス演じるダニエル・チャリスとのパートナーシップが物語の中心となります。ネルキンはオーディションでメイクアップアーティストから情報を得て役を獲得したそうで、監督のトミー・リー・ウォレスから高い評価を受けました。彼女の演技は自然で魅力的に、ホラーシーンでの緊張感を効果的に表現しています。また、ナンシー・キーズ(ナンシー・ルーミスとしても知られる)がリンダ・チャリス、つまりダニエルの元妻を演じています。彼女はシリーズ前作の『ハロウィン』と『ハロウィンII』でアニー・ブラケット役を務めたベテランで、本作では家庭的な母親として登場し、ダニエルの警告を無視するシーンでコミカルさと苛立ちを巧みに描いています。ガーン・スティーブンスはマージ・グットマンを演じ、ビジネスマンらしい苛立った性格の女性として印象的です。彼女の死のシーンはホラーのハイライトで、特殊メイクを活かしたグロテスクな描写が彼女の演技を際立たせています。他の女優として、ジェイディーン・バーバーがベティ・カップファーを、ウェンディ・ウェスバーグがテディを、メイディー・ノーマンが看護師アグネスを演じています。それぞれの役柄で物語の緊張を高め、短い出演ながらも記憶に残るパフォーマンスを発揮しています。これらの女優たちは、男性中心のプロットの中で女性の視点や感情を加え、作品の深みを増しています。ネルキンのような新鮮な顔ぶれとキーズのようなシリーズ常連の組み合わせが、作品のバランスを取っています。批評家からも、ネルキンの声の豊かさやスティーブンスのインパクトある死の演技が称賛されています。全体として、女優たちの活躍はホラー映画の伝統を継承しつつ、独自の魅力を発揮しています。
女優の衣装・化粧・髪型
『ハロウィン III』の女優たちの衣装、化粧、髪型は、1980年代初頭のアメリカを反映したリアルなスタイルとなっています。
ステイシー・ネルキン演じるエリー・グリムブリッジは、調査を進める行動的な女性として、カジュアルな服装が主です。ジーンズやブラウス、ジャケットを着用し、動きやすい実用的な衣装です。化粧はナチュラルで、日常的な軽いメイクアップが施され、唇や目元を控えめに強調しています。髪型は肩までのミディアムヘアで、軽くウェーブがかかった自然なスタイルが、彼女の若さと活発さを表しています。ナンシー・キーズのリン・ダチャリスは、家庭婦人らしい衣装で、シンプルなドレスやセーターを着ています。化粧は最小限で、ファンデーションと軽いリップが中心です。髪型はショートカットで、実用的で母親らしい落ち着いた印象を与えています。ガーン・スティーブンスのマージ・グットマンは、ビジネスウーマンとしてスーツやスカートを着用し、プロフェッショナルな雰囲気です。化粧はオフィス向きのしっかりしたメイクで、アイシャドウとリップが目立ちます。髪型は短めのボブスタイルで、厳格さを強調しています。ジェイディーン・バーバーのベティ・カップファーは、家族旅行中の母親としてカジュアルな服、例えばTシャツとパンツを着ています。化粧は日常的で、髪型はロングヘアをポニーテールにまとめたシンプルなもの。ウェンディ・ウェスバーグのテディは、科学者らしい白衣風の衣装で、化粧は薄く、髪型はアップスタイルです。メイディー・ノーマンの看護師アグネスは、看護師制服を着用し、化粧はプロフェッショナルに控えめで、髪型はショートです。これらのスタイルは、時代背景を忠実に再現し、各キャラクターの性格を視覚的に表現しています。特にホラーシーンでは、特殊メイクが加わり、顔の変形や虫の出現が恐怖を増幅します。
あらすじ
物語は1982年10月23日、北カリフォルニアから始まります。おもちゃ屋の店主ハリー・グリムブリッジが、ジャック・オ・ランタンのハロウィンマスクを抱えて謎の男たちに追われ、ガソリンスタンドに逃げ込みます。彼は病院に運ばれ、アルコール依存の医師ダニエル・チャリスが担当しますが、その夜、別のスーツ姿の男に殺害され、犯人は車で自爆します。ハリーの娘エリー・グリムブリッジが現れ、ダニエルと共に調査を開始します。二人はハリーが滞在したサンタミラのシルバー・シャムロック社を訪れます。この町は工場が支配する会社町で、監視カメラがいたるところにあります。モーテルで他の宿泊客、マージ・グットマンやカップファー一家と出会います。マージはマスクのメダルからマイクロチップを発見し、顔を焼かれるような死を遂げ、虫が現れます。工場見学でエリーは父親の車を見つけますが、誘拐されます。ダニエルは捕らえられ、コナル・コクランから計画を聞かされます。マスクのチップにはストーンヘンジの欠片が仕込まれ、テレビCMで活性化し、子供たちの頭を溶かし、虫や蛇を発生させるというもの。古代ケルトのサウィン祭を再現した犠牲の儀式です。カップファー一家がデモンストレーションで惨殺されます。ダニエルは脱出、エリーを救い、工場でCMを強制再生し、チップを散らしてアンドロイドたちを破壊、コクランを消滅させ、工場を爆破します。しかし、エリーはアンドロイドの替え玉で、ダニエルを襲います。彼はそれを破壊し、ガソリンスタンドからテレビ局に連絡、CMを止めるよう懇願しますが、最後のチャンネルで失敗し、物語は絶望的に終わります。このあらすじは、ホラーとSFの要素が絡み合い、緊張感あふれる展開となっています。
解説
『ハロウィン III』はハロウィンシリーズの異色作として知られています。シリーズ1作目と2作目のスラッシャーホラーから脱却し、科学フィクションと魔術を融合したアンソロジー形式を目指しました。ジョン・カーペンターの構想では、毎年異なるハロウィン物語を提供する予定でしたが、マイケル・マイヤーズの不在がファンから不評を買い、興行的に失敗しました。しかし、後にカルト的人気を得て、再評価されています。テーマは反消費主義、反資本主義、反テレビで、コクランの計画は企業が子供たちを操る象徴です。アイルランド系としての反アイルランド要素も指摘され、古代ケルトの儀式が現代社会批判に用いられます。脚本はナイジェル・ニールが初稿を執筆しましたが、暴力描写の追加でクレジットを外しました。監督のトミー・リー・ウォレスは、カーペンターの盟友で、雰囲気作りに成功しています。特殊効果はストップモーションや特殊メイクが秀逸で、マスクの変形シーンはグロテスクながら独創的です。批評ではプロットの穴、例えばタイムゾーンの問題やストーンヘンジの輸送が指摘されますが、ニヒリスティックな結末が魅力です。音楽はカーペンターとアラン・ハワースの電子サウンドで、不気味さを増幅します。本作はホラー映画の多様性を示し、シリーズの転換点となりました。現代では、消費文化批判として再解釈され、ファンイベントで人気です。
キャスト
- トム・アトキンス:ダニエル・チャリス
- ステイシー・ネルキン:エリー・グリムブリッジ
- ダン・オハーリー:コナル・コクラン
- マイケル・カリー:ラファティ
- ラルフ・ストレイト:バディ・カップファー
- ジェイディーン・バーバー:ベティ・カップファー
- ブラッド・シャクター:リトル・バディ・カップファー・ジュニア
- ガーン・スティーブンス:マージ・グットマン
- ナンシー・キーズ:リンダ・チャリス
- ジョナサン・テリー:スターカー
- アル・ベリー:ハリー・グリムブリッジ
- ウェンディ・ウェスバーグ:テディ
- エセックス・スミス:ウォルター・ジョーンズ
- メイディー・ノーマン:看護師アグネス
- P.J.ソールズ:ノーマ(声)
スタッフ
- 監督:トミー・リー・ウォレス
- 脚本:トミー・リー・ウォレス(ナイジェル・ニール非クレジット)
- 製作:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
- 製作総指揮:ムスタファ・アッカド、ジョセフ・ウルフ、アーウィン・ヤブランズ
- 撮影:ディーン・カンディ
- 編集:ミリー・ムーア
- 音楽:ジョン・カーペンター、アラン・ハワース
- 美術:ピーター・ジャミソン
- 衣装:ジェーン・ラム
- メイク:ロン・ウォルターズ
- 特殊効果:トム・バーマン、ジョン・G・ベリュー
- 製作会社:ディノ・デ・ラウレンティス・コーポレーション、デブラ・ヒル・プロダクションズ
- 配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
レビュー 作品の感想や女優への思い