「ハロウィン」(原題:Halloween、2007年)はロブ・ゾンビ監督によるホラー映画で、1978年の同名作品のリブート。マイケル・マイヤーズの殺人鬼としての起源と恐怖を描く。本作では、女性キャストが物語の中心的な役割を果たし、スカウト・テイラー=コンプトンとダニエル・ハリスが際立った活躍を見せます。
基本情報
- 邦題:ハロウィン
- 原題:HALLOWEEN
- 公開年:2007年
- 製作国:米国
- 上映時間:109分
- ジャンル:ホラー
見どころ
ジョン・カーペンター監督のオリジナルやシリーズでは描かれなかった、殺人鬼・マイケルの血塗られた幼少期が明らかに。辛く、悲しく、グロテスクな展開に目を奪われる。
女優の活躍
本作では、女性キャストが物語の中心的な役割を果たし、特にスカウト・テイラー=コンプトンとダニエル・ハリスが際立った活躍を見せています。
スカウト・テイラー=コンプトンは主人公ローリー・ストロードを演じ、恐怖に立ち向かう強い女性像を表現。彼女の演技は、感情の起伏と恐怖の中での成長を巧みに描き出し、観客に深い共感を呼び起こしました。特に、マイケルとの対峙シーンでは、絶望と勇気を同時に表現し、キャラクターに深みを与えています。
一方、ダニエル・ハリスはアニー・ブラケット役で登場し、活気あるティーンエイジャー像を自然体で演じました。彼女は1998年の「ハロウィンH20」でも別の役で出演しており、本作での再登場はファンにとって嬉しいサプライズでした。ハリスの演技は、日常的なシーンから恐怖に直面する場面まで幅広く、物語の緊張感を高める重要な役割を果たしています。
また、シェリ・ムーン・ゾンビ(監督の妻)はマイケルの母親デボラ・マイヤーズ役で、短い出演ながら強烈な印象を残しました。彼女の感情的な演技は、マイケルの歪んだ心理の背景を理解する手がかりとなり、物語に深みを加えています。
これらの女優たちは、ホラー映画の枠を超えて、キャラクターの人間性を掘り下げることで作品の質を高めました。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の女優たちの衣装、化粧、髪型は、キャラクターの個性や時代背景を反映し、ホラー映画の雰囲気を強調する要素として機能しています。
スカウト・テイラー=コンプトン演じるローリー・ストロードの衣装は、1970年代後半のアメリカのティーンエイジャーを意識したカジュアルなスタイルが特徴です。ジーンズ、Tシャツ、フランネルシャツといった日常的な服装は、彼女の普通の女子高生としての生活を象徴し、観客に親近感を与えます。化粧はナチュラルで、ほとんど施されていない素朴なメイクが採用され、恐怖に直面する際の無垢さを強調。髪型は、シンプルなロングヘアで、動きやすさと自然さを優先したデザインが施されています。
一方、ダニエル・ハリス演じるアニーは、より大胆で現代的なスタイルを採用。タイトなトップスやミニスカートなど、流行に敏感なティーンらしい衣装が目立ち、彼女の活発な性格を反映しています。化粧は軽いアイライナーとリップグロスで若々しさを強調し、髪型はルーズなウェーブがかかったミディアムヘアで、自由奔放な雰囲気を演出。
シェリ・ムーン・ゾンビのデボラは、労働階級の母親らしい地味なドレスやエプロンを着用し、化粧は控えめで、疲れた表情を際立たせるため薄いファンデーションと淡いリップが使用されています。髪型は無造作に束ねたスタイルで、彼女の困窮した生活を表現。
これらの衣装や化粧は、物語のリアリティとキャラクターの背景を視覚的に補強し、ホラー要素との対比を際立たせています。
あらすじ
イリノイ州ハドンフィールド。10歳のマイケル・マイヤーズ(ダエグ・フェアーク)は、問題を抱える家庭環境で育つ。ハロウィンの夜、マイケルは家族を残忍に殺害し、精神病院に収容される。15年後、マイケルは脱走し、故郷へ戻る。彼の標的は、養子に出されていた妹ローリー・ストロード(スカウト・テイラー=コンプトン)。精神科医サミュエル・ルーミス(マルコム・マクダウェル)は、マイケルの危険性を警告するが、町は再び恐怖に包まれる。ローリーと友人たちは、マイケルの執拗な追跡に直面。ルーミスはマイケルを止めようと奔走するが、血みどろの惨劇が展開。ローリーは必死に逃げ、マイケルとの壮絶な対決に挑む。過去と現在の恐怖が交錯し、生存をかけた戦いが繰り広げられる。
解説
「ハロウィン」(2007年)は、ジョン・カーペンター監督の1978年のオリジナル作品を基にしたリブート作品で、ロブ・ゾンビの独特なビジョンが色濃く反映されています。オリジナルがシンプルで緊張感のあるスラッシャー映画であったのに対し、本作はマイケル・マイヤーズの出自と心理に深く踏み込み、彼の殺人鬼としての形成過程を詳細に描きます。ゾンビ監督は、マイケルの家庭環境や精神的トラウマに焦点を当て、彼を単なる怪物ではなく、悲劇的な背景を持つ人間として描写。このアプローチは、ホラー映画における「悪」の概念を再考させ、観客に複雑な感情を呼び起こします。ゾンビの暴力描写は過激で、オリジナルよりも血生臭いシーンが多く、1970年代のスラッシャー映画の枠を超えた現代的な残虐さを追求。特に、マイケルの少年時代を丁寧に描く前半は、ホラー映画としては異例の心理ドラマ的要素を持ち、批評家の間でも賛否両論を呼びました。一部の批評家は、オリジナルの神秘性を損なったと批判する一方、マイケルの人間性を掘り下げた点を評価する声も。映像スタイルは、ゾンビの特徴である粗削りでダークなトーンが際立ち、音楽も彼のロックテイストが反映された選曲が恐怖感を増幅。興行収入は北米で約5800万ドルを記録し、商業的には成功。ホラー映画のリブートブームの中、ゾンビの個性が光る作品として、シリーズの新たな解釈を提供しました。
キャスト
- スカウト・テイラー=コンプトン:ローリー・ストロード
- マルコム・マクダウェル:サミュエル・ルーミス博士
- タイラー・メイン:マイケル・マイヤーズ(成人)
- ダエグ・フェアーク:マイケル・マイヤーズ(少年時代)
- ダニエル・ハリス:アニー・ブラケット
- シェリ・ムーン・ゾンビ:デボラ・マイヤーズ
- ブラッド・ドゥーリフ:リー・ブラケット保安官
- ウィリアム・フォーサイス:ロニー・ホワイト
- ディー・ウォレス:シンシア・ストロード
- クリント・ハワード:アイゼンハワー博士
スタッフ
- 監督・脚本:ロブ・ゾンビ
- 製作:マレク・アッカド、アンディ・グールド、ロブ・ゾンビ
- 原案:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
- 撮影:フィル・パーメット
- 編集:グレン・ガーランド
- 音楽:タイラー・ベイツ
- 製作会社:ディメンション・フィルムズ、ナイトフォール・プロダクションズ
- 配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ワインスタイン・カンパニー
レビュー 作品の感想や女優への思い