『サスペリア』(2018年)は、1977年のダリオ・アルジェント監督のホラー映画をルカ・グァダニーノがリメイクしたアメリカ・イタリア合作のホラー映画。1977年のベルリンを舞台に、舞踊団に潜む魔女の秘密と恐怖を描く。152分、R15+。
基本情報
- 邦題:サスペリア
- 原題:Suspiria
- 公開年:2018年
- 製作国:アメリカ、イタリア
- 上映時間:152分
- ジャンル:ホラー
- 配給:ギャガ
- レンタル:Amazon
女優の活躍
ダコタ・ジョンソン(スージー・バニヨン役)
主人公スージーを演じ、未経験ながら情熱的なダンスで舞踊団の中心に立つ。力強いパフォーマンスと感情の変化を表現し、物語の核心を担う。彼女のダンスシーンは身体表現を通じた神秘的な雰囲気を強調し、観客を引き込む。
ティルダ・スウィントン(マダム・ブラン、ヘレナ・マルコス、ジョセフ・クレンペラー役)
一人三役をこなし、圧倒的な存在感を発揮。マダム・ブランではカリスマ性と威厳、ヘレナ・マルコスでは不気味さ、クレンペラーでは老いた心理療法士の繊細さを特殊メイクで演じ分け、作品の多層性を深める。
ミア・ゴス(サラ役)
スージーの親友サラとして、舞踊団の闇を探る好奇心旺盛なダンサー役を熱演。感情豊かな演技で恐怖と友情を表現し、物語に緊張感を加える。
クロエ・グレース・モレッツ(パトリシア・ヒングル役)
序盤で失踪するダンサー役。短い出演ながら、恐怖に怯える姿で物語の不穏な雰囲気を確立。彼女の登場シーンは作品全体のトーンを決定づける。
ジェシカ・ハーパー(アンケ役)
1977年版の主演女優がクレンペラーの亡妻役で登場。短い出演だが、過去と現在をつなぐ象徴的な役割を果たし、情感豊かな演技で観客に深い印象を与える。
女優の衣装・化粧・髪型
ダコタ・ジョンソン
スージーの衣装は、稽古中のシンプルなレオタードから、終盤の公演「ヴォーク」での赤いロープを編んだ大胆な衣装まで変化。赤いロープは血と情熱を象徴し、魔術的な雰囲気を強調。化粧は控えめでナチュラルだが、終盤の儀式では顔に不気味な模様が施され、神秘性を増す。髪型は緩やかなウェーブのロングヘアで、動きに合わせて流れる様がダンスの美しさを引き立てる。
ティルダ・スウィントン(マダム・ブラン)
マダム・ブランはエレガントな黒やグレーのドレスを着用し、威厳ある振付師を表現。化粧は薄く、鋭い目元を強調し、知性と支配力を示す。髪はタイトにまとめられ、厳格な印象を与える。(ヘレナ・マルコス)では異形の姿に合わせた特殊メイクで、肌は病的なまでに青白く、髪は乱雑。(クレンペラー)では老人の特殊メイクと白髪のかつらで男性像を完全に再現。
ミア・ゴス
サラの衣装は稽古着のシンプルなトップスとレギンスが中心だが、公演ではスージー同様の赤いロープ衣装を着用。化粧は自然体で、恐怖に直面する際の汗や血の表現がリアル。髪型はショートカットで、活発で好奇心旺盛な性格を反映。
クロエ・グレース・モレッツ
パトリシアの衣装は登場が短いためカジュアルなコートやセーターが中心。化粧は憔悴した表情を強調する薄いベースメイクと目の下のクマ。髪は乱れたロングヘアで、追い詰められた心理状態を表現。
ジェシカ・ハーパー
アンケは回想シーンでクラシックなワンピースを着用し、1970年代のドイツの雰囲気を再現。化粧は控えめで、優しげな印象。髪型はショートで柔らかなカールが施され、懐かしさを感じさせる。
あらすじ
1977年、冷戦下のベルリン。アメリカから来たスージー・バニヨン(ダコタ・ジョンソン)は、世界的に有名なマルコス・ダンス・カンパニーのオーディションを受け、才能を見込まれ入団。カリスマ振付師マダム・ブラン(ティルダ・スウィントン)の指導のもと、主要演目「ヴォーク」のリードダンサーに抜擢される。しかし、舞踊団では不可解な事件が続発。ダンサーのパトリシア(クロエ・グレース・モレッツ)が失踪し、別のダンサー、オルガ(エレナ・フォキナ)も姿を消す。一方、心理療法士のジョセフ・クレンペラー(ルッツ・エバースドルフ)は、パトリシアが残した「舞踊団は魔女の結社」という言葉に疑問を抱き、調査を始める。スージーの親友サラ(ミア・ゴス)も舞踊団の秘密を探り、隠し部屋で不気味な光景を目撃。公演当日、壮絶なダンスの裏で魔女たちの儀式が始まり、スージーの真の力が明らかに。舞踊団の闇と彼女の運命が交錯し、衝撃の結末へ向かう。
解説
『サスペリア』(2018年)は、ダリオ・アルジェントの1977年の傑作ホラーを、ルカ・グァダニーノ監督が独自の視点で再構築した作品です。オリジナルが鮮烈な色彩とゴブリンの音楽で視覚・聴覚を刺激したのに対し、本作は色彩を抑え、1977年のベルリンの政治的混沌や「ドイツの秋」を背景に、魔女の結社と母性をテーマに深みのある物語を展開します。モダンダンスを軸にした身体表現は、ダミアン・ジャレの振付により、儀式的な恐怖と芸術性を融合。トム・ヨークの音楽は、静謐で不穏な雰囲気を醸し出し、オリジナルとは異なる心理的ホラーを構築します。
ティルダ・スウィントンの一人三役は、物語の内と外の視点を巧みに表現し、女性の力と権力の暗部を探求。特にスージーの成長と「母性」のテーマは、戦争や罪の意識と結びつき、複雑な人間ドラマを描きます。賛否両論を呼んだ終盤の儀式シーンは、視覚的な衝撃と哲学的考察を融合させ、観客に強烈な印象を残します。オリジナルへのリスペクトを保ちつつ、新たな解釈を加えた本作は、ホラー映画の枠を超えた芸術作品として評価されています。
キャスト
- スージー・バニヨン: ダコタ・ジョンソン(嶋村侑)
- マダム・ブラン / ヘレナ・マルコス / ジョセフ・クレンペラー: ティルダ・スウィントン(山像かおり / 佐々木睦)
- サラ: ミア・ゴス(下山田綾華)
- パトリシア・ヒングル: クロエ・グレース・モレッツ(若山詩音)
- アンケ: ジェシカ・ハーパー
- ミス・タナー: アンゲラ・ヴィンクラー(岡本茉利)
- オルガ: エレナ・フォキナ(熊谷海麗)
- ミス・ヴィンデガスト: イングリット・カーフェン
- ミス・グリフィス: シルヴィー・テステュー
- ミス・フーラー: レネ・ソーテンダイク
- パブラ: ファブリツィア・サッキ
- ミス・ミリアス: アレック・ウェック
スタッフ
- 監督: ルカ・グァダニーノ
- 脚本: デヴィッド・カイガニック
- 原作: ダリオ・アルジェント、ダリア・ニコロディ
- 製作: マルコ・モラビート、ブラッドリー・J・フィッシャー、ルカ・グァダニーノほか
- 撮影: サヨムプー・ムックディプローム
- 編集: ヴァルテル・ファサーノ
- 音楽: トム・ヨーク
- 衣装デザイン: ジュリア・ピエルサンティ
- 振付: ダミアン・ジャレ
- 美術: インバル・ワインバーグ
レビュー 作品の感想や女優への思い