『ブラインド・フィアー』(原題:Penthouse North)は2013年公開の米国のサスペンススリラー映画。盲目となった元報道カメラマンのサラが、ニューヨークのペントハウスで強盗に立ち向かう緊迫の物語。ジョセフ・ルーベン監督。主人公サラ・フロストを演じるミシェル・モナハンは卓越した演技力で映画の中心を担う。
基本情報
- 邦題:ブラインド・フィアー
- 原題:PENTHOUSE NORTH
- 公開年:2012年
- 製作国:米国
- 上映時間:85分
- ジャンル:サスペンス
あらすじ
アフガニスタンで報道カメラマンとして活躍していたサラ・フロストは、取材中に自爆テロに巻き込まれ、視力を完全に失ってしまう。命は取り留めたものの、彼女は戦場での危険な生活を離れ、恋人ライアンと共にニューヨークの豪華なペントハウスで静かに暮らすことを選ぶ。セキュリティが万全なこの住居で、彼女は不自由ながらも穏やかな日々を送っていた。
しかし、ある大晦日の夜、突然の悲劇が訪れる。サラが外出から戻ると、ライアンが何者かに殺害されており、ペントハウスには教養あるが冷酷な男ホランダーと、拷問を得意とするチャドという二人の犯罪者が侵入していた。彼らはライアンが隠したとされる20億ドル相当の財宝を求めてサラを脅迫する。全く身に覚えのないサラは、盲目というハンディキャップを抱えながらも、鋭い感覚と機転を駆使して二人の男に立ち向かう。暗闇の中で繰り広げられる命がけの攻防戦の中、サラは自らの勇気と知恵で活路を見出そうとするが、ホランダーの狡猾さと執念が彼女を追い詰める。果たしてサラは、この絶望的な状況から脱出し、真相にたどり着けるのか?
解説
『ブラインド・フィアー』は、視覚障害を持つ女性が極限状態で生き延びるために戦う姿を描いたサスペンススリラーです。監督のジョセフ・ルーベンは、『フォーガットン』や『ヒッチャー』など、緊張感あふれるサスペンス作品で知られており、本作でもその手腕を発揮しています。映画の最大の特徴は、主人公サラの視覚障害を活かしたストーリー展開にあります。彼女の盲目という要素は、単なるハンディキャップではなく、物語の緊張感や独自性を高める重要な要素として機能しています。暗闇の中での音や触覚を頼りにしたサラの行動は、観客に新鮮なスリルを提供し、通常のサスペンス映画とは一線を画す体験を生み出しています。
また、ミシェル・モナハンとマイケル・キートンの対決は、両者の演技力によって一層引き立てられており、特にキートンの冷酷かつ知的な悪役像は、物語に深みを与えています。舞台となるニューヨークのペントハウスは、豪華でありながら閉鎖的な空間として、閉塞感と緊張感を高める効果的な設定となっています。一方で、ストーリーの展開や一部のプロットの単純さに対しては、批評家から賛否両論の声が上がっており、Filmarksでの平均スコアは2.9点(412件のレビュー)と、やや評価が分かれています。それでも、限られた空間での心理戦とサラの逆転劇は、サスペンスファンにとって見応えのある作品と言えるでしょう。本作は、障害を乗り越える人間の強さと、極限状態での生存本能をテーマに、緊迫感と人間ドラマを融合させた作品として評価されています。
女優の活躍
本作の主人公サラ・フロストを演じるミシェル・モナハンは、その卓越した演技力で映画の中心を担っています。彼女は『ミッション:インポッシブルIII』や『ミッション:8ミニッツ』でのアクションやドラマチックな役柄で知られていますが、本作では視覚障害者の繊細な心理と身体性を表現する難しい役どころに挑戦しています。モナハンは、盲目であるサラの恐怖や混乱、そして次第に芽生える抵抗の精神を、表情や仕草、声のトーンで見事に表現。
特に、視覚に頼れない状況での緊迫したシーンでは、彼女の細やかな演技が光ります。例えば、ホランダーとの対峙シーンでは、恐怖に震えながらも冷静さを取り戻そうとするサラの内面の葛藤を、微妙な表情の変化で伝えます。また、アクションシーンでは、盲目ながらも鋭い聴覚や触覚を駆使して戦う姿を体現し、観客に強い印象を与えます。モナハンの演技は、単なる被害者ではなく、自らの運命を切り開く強い女性像を確立しており、物語の説得力を高めています。
彼女の存在感は、マイケル・キートン演じるホランダーとの対比によってさらに際立ち、映画全体の緊張感を牽引しています。モナハンのこの役への取り組みは、批評家からも高い評価を受けており、盲目という特殊な状況下でのリアリティある演技が本作の成功の鍵となっています。
女優の衣装・化粧・髪型
ミシェル・モナハン演じるサラの衣装は、彼女のキャラクター設定である元報道カメラマンであり、現在は隠居生活を送る女性という背景を反映した、シンプルかつ実用的なものが中心です。映画の舞台がニューヨークの冬であるため、彼女は暖かみのあるニットセーターやカジュアルなパンツ、厚手のコートなどを着用しています。これらの衣装は、派手さはないものの、サラの控えめで現実的な生活スタイルを表現しており、視覚障害者としての日常的な動きやすさを考慮したデザインになっています。色合いも、グレーやベージュ、ダークブルーといった落ち着いたトーンが主で、彼女の内面的な強さと穏やかな性格を象徴しています。特に、ペントハウスでのシーンでは、ゆったりとしたカジュアルな服装が、彼女の自宅でのリラックスした状態を強調しつつ、突然の侵入者による緊迫感とのコントラストを生み出しています。
化粧に関しては、モナハンはナチュラルなメイクで登場し、視覚障害者としてのリアリティを追求。薄いファンデーションと控えめなリップカラーで、戦場カメラマンとしての過去のタフさと現在の脆弱さを両立させています。
髪型は、肩までの長さのストレートヘアで、普段はシンプルに下ろしているか、軽く束ねたスタイルが中心。これにより、彼女の動きやすさと実用性が強調され、アクションシーンでの激しい動きにも対応しています。
サラの外見は、華美さを排除した自然体なスタイルが、彼女のキャラクターの強さと弱さをバランスよく表現しており、物語のリアリティを高める要素となっています。
キャスト
- サラ・フロスト:ミシェル・モナハン(日本語吹替:藤本喜久子) – 盲目となった元報道カメラマン。勇敢で機転が利く主人公。
- ホランダー:マイケル・キートン – 教養あるが冷酷な犯罪者。サラを追い詰める知的な悪役。
- チャド:バリー・スローン – ホランダーの相棒で、拷問を得意とする粗暴な男。
- ライアン:アンドリュー・W・ウォーカー – サラの恋人で、物語冒頭で殺害される。
スタッフ
- 監督:ジョセフ・ルーベン – 『フォーガットン』『ヒッチャー』などで知られるサスペンスの名手。
- 脚本:デヴィッド・ローヒェリー – 緊張感あるストーリー展開を構築。
- 製作:マイケル・ベイカー、ジェームズ・A・ホルト、ロバート・モリセット – スリラー映画の製作に実績のあるチーム。
- 音楽:マーク・ストリート – 緊迫感を高める劇伴を担当。
- 撮影:クリス・シーフライド – 暗闇と光を効果的に用いた映像美。
- 編集:マシュー・G・カーペンター – テンポの良い編集でサスペンスを加速。
レビュー 作品の感想や女優への思い