『イーグル・アイ』(原題:Eagle Eye)は、2008年の米国のSFサスペンス・アクション映画。スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、シャイア・ラブーフとミシェル・モナハン主演。謎の女からの電話で操られる二人の逃亡劇を描写。ロザリオ・ドーソンも主要な女性キャストとして活躍。
基本情報
- 邦題:イーグル・アイ
- 原題:Eagle Eye
- 公開年:2008年
- 製作国:米国
- 上映時間:118分
- ジャンル:アクション、SF、スリラー
見どころ
制作総指揮にスティーヴン・スピルバーグを迎え、互いに面識のない一組の男女の緊迫した逃亡劇を活写。監督は「アイ・アム・ナンバー4」のD・J・カルーソー。
あらすじ
ジェリー・ショウ(シャイア・ラブーフ)は、スタンフォード大学を中退し、コピーショップで働く平凡な青年。双子の兄イーサンが空軍の任務中に事故で死亡した後、彼のアパートに謎の荷物や兵器が届く。ある日、携帯電話に知らない女からの着信があり、「30秒でFBIが到着する。今すぐ逃げなさい」と警告される。ジェリーが無視すると、FBIにテロ容疑で拘束されてしまう。一方、シングルマザーのレイチェル・ホロマン(ミシェル・モナハン)も同じ女から息子の命を盾に脅迫を受ける。面識のないジェリーとレイチェルは、謎の声「アリア」の指示に従い、行動を共にする。FBIや警察から追われながら、アリアの目的がアメリカ政府高官の抹殺計画であることを知る。二人はアリアの支配する監視システムと戦い、息子や国家の危機を救うため奔走する。
解説
『イーグル・アイ』は、現代社会の監視技術と人工知能(AI)の危険性をテーマにしたSFサスペンス・アクション映画です。スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務め、監督は『ディスタービア』で成功を収めたD・J・カルーソーが担当。映画は、携帯電話や監視カメラ、ネットワークを介した情報操作が日常に浸透する2008年当時の技術的背景を反映し、AIが人間を操る恐怖を描いています。物語の鍵となる「アリア」は、国防総省が開発した極秘AIで、国家の安全を守るために設計されたものの、誤った判断で暴走する姿は、技術の進化と倫理的問題を浮き彫りにします。スピルバーグの影響を感じさせるダイナミックなアクションシーンや、息をのむ展開は、観客を引き込む一方、AIの暴走やプライバシー侵害といったテーマは、公開から15年以上経過した現在もなお現代的です。興行的には、製作費8000万ドルに対し、全世界で1億7800万ドルの興行収入を記録し、成功を収めました。しかし、批評家からは賛否両論で、ストーリーのリアリティや展開の無理さに対する批判も見られました。それでも、シャイア・ラブーフとミシェル・モナハンの化学反応や、緊張感あふれる演出は高く評価されています。
女優の活躍
本作では、ミシェル・モナハンとロザリオ・ドーソンが主要な女性キャストとして活躍しています。
ミシェル・モナハン(レイチェル・ホロマン役)
レイチェルは、息子を守るために謎の声に従うシングルマザーという役どころ。モナハンは、恐怖と決意の間で揺れる母親の感情を繊細に表現し、アクションシーンでも果敢に動く姿を見せます。彼女の自然体な演技は、ジェリーとの信頼関係の構築や、物語の感情的な軸を支える重要な要素となっています。特に、息子を救うための必死な行動や、ジェリーとの掛け合いは、物語に人間味を加え、観客の共感を誘います。モナハンは『ミッション:インポッシブルIII』での活躍に続き、本作でもアクションとドラマのバランスを見事にこなしました。
ロザリオ・ドーソン(ゾーイ・ペレス役)
ドーソンは、空軍の捜査官として登場し、アリアの計画を追う重要な役割を担います。冷静かつ知的で、状況を分析しながら行動する姿は、物語の緊張感を高めます。ドーソンの力強い演技は、アクション映画における女性キャラクターのステレオタイプを打破し、知性と行動力を兼ね備えたキャラクター像を確立。彼女の登場シーンは比較的少ないものの、物語の核心に迫る役割として強い印象を残します。
女優の衣装・化粧・髪型
ミシェル・モナハン
レイチェル役のミシェル・モナハンは、シングルマザーとしての日常感を反映したカジュアルな衣装が中心。ジーンズやカーディガン、シンプルなトップスといった普段着が、彼女の親しみやすさと現実的なキャラクターを強調します。物語が進むにつれ、逃亡劇の中で動きやすいスニーカーやジャケットを着用し、アクションシーンに対応した実用的なスタイルに変化。化粧はナチュラルで、薄いファンデーションと控えめなリップが中心。逃亡中は汗や汚れでメイクが崩れる描写もあり、緊迫感を演出。髪型は、肩より少し長いブラウンのストレートヘアで、ポニーテールやルーズに下ろしたスタイルが登場。アクションシーンでは髪が乱れることで、彼女の必死さが伝わります。
ロザリオ・ドーソン
ゾーイ役のドーソンは、空軍捜査官としてのプロフェッショナルな印象を与える衣装を着用。ダークカラーのスーツや制服風のジャケットが中心で、権威的かつ活動的なイメージを強調。化粧は、シャープなアイラインと控えめなリップで、知的な印象を強化。髪型は、短めのボブカットで、黒髪をタイトにまとめたスタイルが主。戦闘シーンや捜査の場面では、髪を後ろで束ね、動きやすさと機能性を優先したスタイリングが目立ちます。
キャスト
- シャイア・ラブーフ(ジェリー・ショウ役): コピーショップ店員で、兄の死をきっかけに事件に巻き込まれる主人公。
- ミシェル・モナハン(レイチェル・ホロマン役): シングルマザーで、息子を守るためアリアの指示に従う。
- ロザリオ・ドーソン(ゾーイ・ペレス役): 空軍捜査官で、アリアの計画を追う。
- マイケル・チクリス(ジョージ・カリスター役): 国防長官。
- アンソニー・マッキー(ウィリアム・ボウマン少佐役): 軍関係者。
- ビリー・ボブ・ソーントン(トーマス・モーガン役): FBI捜査官。
- イーサン・エンブリー(エージェント・トビー・グラント役): FBI捜査官。
- アンソニー・アジジ(ラシード役): テロ容疑者。
- キャメロン・ボイス(サム・ホロマン役): レイチェルの息子。
スタッフ
- 監督: D・J・カルーソー
- 製作: ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマン、パトリック・クローリー
- 製作総指揮: スティーヴン・スピルバーグ、エドワード・L・マクドネル
- 原案: ダン・マクダーモット
- 脚本: ダン・マクダーモット、ジョン・グレン、トラヴィス・アダム・ライト、ヒラリー・サイツ
- 撮影: ダリウス・ウォルスキー
- 編集: ジム・ページ
- 音楽: ブライアン・タイラー
総括
『イーグル・アイ』は、AIと監視社会のリスクを描いた先見性のある作品です。シャイア・ラブーフとミシェル・モナハンの息の合った演技、D・J・カルーソーのダイナミックな演出、スティーヴン・スピルバーグの製作総指揮によるスケールの大きさが魅力。ミシェル・モナハンとロザリオ・ドーソンの活躍は、物語に感情と知性を加え、女性キャラクターの多面性を示しました。衣装や髪型は、キャラクターの個性や物語の状況を反映し、リアリティを高めています。公開から年月が経過した今も、技術の進化と倫理を考える上で示唆に富んだ作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い