『ザ・タウン』（The Town）は2010年公開の米国の犯罪スリラー映画。ベン・アフレックが監督・主演を務め、ボストンの強盗多発地区を舞台に、銀行強盗団のリーダーと人質女性の恋愛やFBIとの攻防を描く。アクションと人間ドラマが融合した傑作。レベッカ・ホールとブレイク・ライヴリーが主要キャラクターを演じる。
基本情報
- 邦題：ザ・タウン
- 原題：The Town
- 公開年：2010年
- 製作国：米国
- 上映時間：125分
- ジャンル：アクション
- 配給：ワーナー・ブラザース映画
見どころ
ベン・アフレックが犯罪から抜け出せない主人公を演じ、緊迫感あふれる演出で監督としての手腕も発揮。人質女性との恋と仲間の絆に振り回される男の葛藤が胸を打つ。
あらすじ
ボストン北東部のチャールズタウン、通称「タウン」は全米一の銀行強盗発生率を誇る地域で、強盗稼業が親から子へと受け継がれる文化が根付いています。ダグ・マクレイ（ベン・アフレック）は、幼馴染のジェム（ジェレミー・レナー）らと共にプロの強盗団のリーダーを務め、緻密な計画で銀行や現金輸送車を襲撃しています。ある日、銀行強盗の際に支店長のクレア・ケイジー（レベッカ・ホール）を人質に取りますが、彼女を無事に解放。後日、クレアが近隣に住んでいることを知ったダグは、彼女が強盗事件について何を知っているかを探るため、正体を隠して接触します。しかし、ダグはクレアに惹かれ、本気の恋愛関係に発展。
一方、FBI捜査官アダム・フローリー（ジョン・ハム）はダグ一味を執拗に追跡し、アイルランド系マフィアのボス、ファーギー（ピート・ポスルスウェイト）の関与も浮上。ダグは強盗稼業から足を洗い、クレアと新たな人生を歩もうとしますが、ジェムの忠誠心やマフィアの圧力、FBIの包囲網が彼を追い詰めます。最終的に、ダグはフェンウェイ・パークでの大規模な強盗計画を決行し、壮絶な結末を迎えます。
解説
『ザ・タウン』は、チャック・ホーガンの小説『強盗こそ、われらが宿命』（原題：Prince of Thieves）を原作としたクライム・スリラーです。ベン・アフレックが監督・脚本・主演を務め、彼の出身地であるボストンを舞台に、現実味のある犯罪描写と人間ドラマを巧みに融合させました。映画は、チャールズタウンの閉鎖的なコミュニティや犯罪文化を背景に、運命に抗う男の葛藤と愛を描きます。アフレックの演出は、銀行強盗や銃撃戦のアクションシーンを緊張感たっぷりに描きつつ、キャラクターの心理や関係性を丁寧に掘り下げるバランスが秀逸です。
とくにダグとクレアの恋愛は、犯罪者の倫理的ジレンマと相まって切なさを増し、観客の共感を誘います。ジェレミー・レナーの熱演はアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど高く評価され、作品全体のリアリティを支えました。ボストンの街並みや文化を活かした撮影も魅力で、第67回ヴェネツィア国際映画祭や第23回東京国際映画祭で上映されるなど、国際的にも注目を集めました。興行収入は全世界で1億5400万ドルを記録し、批評家からも高い評価を得ました。
女優の活躍
本作ではレベッカ・ホールとブレイク・ライヴリーが主要な女性キャラクターを演じ、作品に深みを与えました。
レベッカ・ホール（クレア・ケイジー役）
クレアは、ダグが強盗の際に人質とした銀行支店長で、後に彼の恋人となる重要な役どころです。レベッカ・ホールは、トラウマを抱えながらもダグとの関係で徐々に心を開く女性を繊細に演じました。彼女の演技は、恐怖や混乱から愛情や葛藤へと変化する感情の機微を見事に表現。特に、ダグの正体を知った後の複雑な心情を、表情や仕草で説得力を持って伝え、物語の感情的な軸を支えました。ホールはこの役で、観客にクレアの純粋さと強さを印象づけ、批評家からも高い評価を受けました。
ブレイク・ライヴリー（クリスタ・コフリン役）
クリスタは、ダグの元恋人でジェムの姉という複雑な立場のシングルマザー。ブレイク・ライヴリーは、チャールズタウンの荒々しい環境で生きる、薬物依存と不安定な生活に苦しむ女性を力強く演じました。彼女の登場シーンは多くないものの、ダグとの過去や地域の閉鎖的な雰囲気を象徴する存在として、物語にリアリティを加えました。ライヴリーは、テレビドラマ『ゴシップ・ガール』とは異なるタフで生々しい役柄を体現し、女優としての幅広さを示しました。
女優の衣装・化粧・髪型
女優たちの衣装、化粧、髪型は、キャラクターの背景やチャールズタウンの環境を反映し、物語のリアリティを高めました。
レベッカ・ホール（クレア・ケイジー）
クレアの衣装は、銀行支店長としてのプロフェッショナルな一面と、チャールズタウンの庶民的な生活を反映しています。銀行でのシーンでは、シンプルで上品なブラウスやスカートを着用し、落ち着いた色合い（白やベージュ）が彼女の清潔感と誠実さを強調。プライベートでは、カジュアルなジーンズやニットトップを着用し、ボストンの日常的な雰囲気に溶け込むスタイルです。化粧はナチュラルで、薄いファンデーションと控えめなリップカラーが中心。トラウマを抱えるシーンでは、目元のクマや疲れた表情を強調するメイクが施され、感情的な深みを演出。髪型は、肩までの長さの自然なウェーブで、シーンに応じてポニーテールやルーズに下ろすスタイルが採用され、親しみやすさと現実感を表現しました。
ブレイク・ライヴリー（クリスタ・コフリン）
クリスタの衣装は、チャールズタウンの労働者階級の生活を反映し、派手で粗野な印象を与えます。タイトなタンクトップ、ダメージジーンズ、レザージャケットなど、彼女の荒々しいライフスタイルを象徴する衣装が特徴。化粧は濃いめで、ダークなアイライナーやスモーキーアイシャドウ、鮮やかなリップカラーが彼女の不安定な精神状態や反抗的な性格を強調。髪型は、乱雑なロングヘアで、しばしば無造作に束ねたり、ルーズに下ろしたりしており、彼女の生活の混乱を視覚的に表現しています。ライヴリーのビジュアルは、クレアの清潔感と対比され、チャールズタウンの暗い側面を際立たせました。
キャスト
- ベン・アフレック: ダグ・マクレイ（強盗団のリーダー）
- レベッカ・ホール: クレア・ケイジー（銀行支店長）
- ジョン・ハム: アダム・フローリー（FBI捜査官）
- ジェレミー・レナー: ジェム・コフリン（ダグの幼馴染で強盗団メンバー）
- ブレイク・ライヴリー: クリスタ・コフリン（ジェムの姉、ダグの元恋人）
- ピート・ポスルスウェイト: ファーギー（アイルランド系マフィアのボス）
- クリス・クーパー: スティーヴン・マクレイ（ダグの父親）
- タイタス・ウェリヴァー: ディノ・シアンピ（FBI捜査官）
- スレイン: グローヴァー（強盗団メンバー）
- オーウェン・バーク: デズ（強盗団メンバー）
スタッフ
- 監督: ベン・アフレック
- 脚本: ベン・アフレック、ピーター・クレイグ、アーロン・ストックアード
- 原作: チャック・ホーガン（『強盗こそ、われらが宿命』）
- 製作: グレアム・キング、バジル・イワニク
- 撮影: ロバート・エルスウィット
- 音楽: ハリー・グレッグソン＝ウィリアムズ、デヴィッド・バックリー
- 編集: ディラン・ティチェナー
- 美術: シャロン・シーモア
- 衣装: スーザン・マシスン
総評
『ザ・タウン』は、緊張感あふれるアクションと深い人間ドラマが融合した作品で、ベン・アフレックの監督としての才能が光ります。レベッカ・ホールとブレイク・ライヴリーの対照的な演技とビジュアルは、物語の感情的・社会的コントラストを際立たせ、観客を引き込みます。ボストンのリアルな描写とキャストの迫真の演技により、犯罪映画の傑作として語り継がれる一作です。
レビュー 作品の感想や女優への思い