バービー(Barbie)は米マテル社が1959年に発売開始したファッションドール。少女の夢を体現し、多様な職業やスタイルで世界的に愛される。文化的アイコンとして影響力大。
以下ではバービー人形自体の概要をまとめ、ついでバービー人形の歴史や特徴、文化的影響、関連メディア(映画やアニメなど)について、丁寧に解説していきます。
歴史と特徴
バービー人形は、1959年3月9日にアメリカ合衆国で初めて登場しました。マテル社の共同創業者であるルース・ハンドラー(Ruth Handler)が、娘のバーバラが紙の人形で遊ぶ姿を見て、大人の女性をイメージした立体的な人形の必要性を感じたことから生まれました。バービーの名前は、ルースの娘バーバラに由来しています。この人形は、従来の赤ちゃんを模したベビードールとは異なり、ファッションやライフスタイルを反映した大人の女性像を表現することを目的としていました。最初のバービー人形は、モノクロのストライプ水着を着た金髪のモデルで、ニューヨークのアメリカン・トイ・フェアでデビューし、瞬く間に人気を博しました。発売初年度に約35万体が販売される大成功を収め、以降、世界150カ国以上で販売され、累計10億体以上が生産されています。
バービー人形の最大の特徴は、その多様性と変化にあります。発売以来、時代や文化に合わせてファッション、職業、肌の色、髪型、体型を進化させてきました。1960年代にはスチュワーデスや看護師、1980年代にはビジネスマンや医者、2000年代以降は科学者やプログラマーなど、180以上の職業をテーマにしたバービーが登場し、少女たちに「夢を叶える」インスピレーションを与え続けています。2016年には、従来のスリムな体型に加え、背の高い「トール」、小柄な「プチ」、曲線的な「カーヴィー」といった多様な体型が導入され、インクルーシビティ(包括性)を強化。肌の色や髪の質感も多様化し、現代の多文化社会を反映しています。これにより、バービーは単なる玩具を超え、社会的メッセージを発信する存在となりました。
文化的影響と意義
バービー人形は、玩具としてだけでなく、文化的アイコンとしても世界に大きな影響を与えました。少女たちにファッションや自己表現の楽しさを教える一方で、ジェンダー役割や美の基準についての議論も引き起こしてきました。初期のバービーは、スリムな体型や金髪のイメージから「非現実的な美の基準を押し付ける」と批判されることもありました。しかし、マテル社はこうした批判に応え、2020年代には障害を持つバービー(車椅子や義肢を装着したモデル)や、さまざまな民族的背景を反映した人形を展開し、多様性と包括性を強調しています。これにより、バービーは現代の価値観に適応し続け、ジェンダー平等や自己肯定感の促進に貢献しています。
また、バービーはポップカルチャーにおいても重要な存在です。ファッション業界では、ディオールやヴェルサーチなどの高級ブランドがバービーとのコラボレーションを行い、限定モデルがコレクターアイテムとして人気を集めています。さらに、バービーは教育ツールとしても活用され、STEM(科学・技術・工学・数学)分野のキャリアを奨励するキャンペーン「Dream Gap Project」を通じて、少女たちの可能性を広げる活動を行っています。このプロジェクトは、5~7歳の女児が自己制限を感じ始める「ドリームギャップ」を解消することを目指しています。
関連メディアと展開
バービー人形は、玩具の枠を超えて、アニメーション映画、テレビシリーズ、ビデオゲーム、書籍など多様なメディアで展開されています。2001年から始まったバービー映画シリーズは、『バービーとくるみ割り人形』や『バービーのラプンツェル』など、クラシックな物語を基にした作品やオリジナルストーリーを展開。2023年には、実写映画『バービー』(原題:Barbie)が公開され、マーゴット・ロビーがバービーを、ライアン・ゴズリングがケンを演じました。この映画は、グレタ・ガーウィグ監督によるフェミニズムと自己発見をテーマにした作品として高い評価を受け、アカデミー賞にノミネートされるなど大きな成功を収めました。興行収入は全世界で14億ドルを超え、バービーの文化的影響力を改めて示しました。
アニメーションでは、NetflixやYouTubeで配信される『バービー:ドリームハウス・アドベンチャー』などのシリーズが人気で、現代のバービーのライフスタイルや友情、冒険を描いています。これらのメディアは、バービーの世界観を広げ、子どもたちだけでなく大人にも訴求するコンテンツを提供しています。ゲームでは、モバイルアプリやコンソール向けのタイトルがリリースされ、ファッションやメイクをテーマにしたものが特に人気です。書籍では、バービーを主人公にした絵本やコミックが多数出版され、読み聞かせや教育目的にも使用されています。
社会的影響と今後の展望
バービー人形は、60年以上の歴史を通じて、単なる玩具から社会的な議論を促す存在へと進化しました。環境問題にも取り組んでおり、2021年には海洋プラスチックをリサイクルした「Barbie Loves the Ocean」シリーズを発売。サステナビリティ(持続可能性)を重視する現代の消費者ニーズに応えています。また、2024年には、パラリンピック選手をモデルにしたバービーや、歴史的な女性リーダーを称える「Inspiring Women」シリーズ(例:マリア・カラスやビリー・ジーン・キング)を展開し、社会的影響力をさらに強化しています。
バービー・インスパイアリング・ウーマン・シリーズは、歴史を形作ってきた現実の英雄たちを称えるシリーズです。これらの歴史的なバービー人形は単なるコレクターズアイテムを超え、小さな形で語られる力強い物語です。
https://creations.mattel.com/en-jp/collections/barbie-inspiring-women-series?
今後、バービーはさらなる多様性とテクノロジーとの融合を進めることが予想されます。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用したインタラクティブなバービー体験や、AIを組み込んだスマートドールなど、デジタル時代に適応した展開が期待されています。また、グローバルな市場での需要に応え、地域ごとの文化的特徴を取り入れたモデルも増えるでしょう。バービー人形は、子どもたちの想像力を刺激し、自己表現と夢を育む存在として、これからも世界中で愛され続けるでしょう。
関連作品リスト
- バービーとくるみ割り人形(2001年、アニメーション映画)
- バービーのラプンツェル(2002年、アニメーション映画)
- バービーの白鳥の湖(2003年、アニメーション映画)
- バービー:プリンセスと村娘(2004年、アニメーション映画)
- バービー:フェアリートピア(2005年、アニメーション映画)
- バービー:マーメディア(2006年、アニメーション映画)
- バービー:12人のプリンセス(2006年、アニメーション映画)
- バービー:アイランド・プリンセス(2007年、アニメーション映画)
- バービー:ダイヤモンドの城(2008年、アニメーション映画)
- バービー:人魚姫(2010年、アニメーション映画)
- バービー:ファッション・フェアリーテイル(2010年、アニメーション映画)
- バービー:プリンセス・チャーム・スクール(2011年、アニメーション映画)
- バービー:パーフェクト・クリスマス(2011年、アニメーション映画)
- バービー:ピンク・シューズ(2013年、アニメーション映画)
- バービー:パール・プリンセス(2014年、アニメーション映画)
- バービー:ドリームハウス・アドベンチャー(2018年~、アニメーションシリーズ)
- バービー:プリンセス・アドベンチャー(2020年、アニメーション映画)
- バービー:ビッグシティ・ビッグドリームス(2021年、アニメーション映画)
- バービー(2023年、実写映画、監督:グレタ・ガーウィグ)
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