『ブランニュー・チェリーフレーバー』（2021年）はホラーとミステリーが交錯するNetflix限定シリーズ。1990年代のLAを舞台に、新人映画監督リサ・ノヴァがハリウッドで夢を追い、裏切りと魔術の復讐劇に巻き込まれる。主演を務めるローサ・サラザール（リサ・ノヴァ役）は強烈な存在感と表現力で作品の中心を担う。
基本情報
- 邦題：ブランニュー・チェリーフレーバー
- 原題：Brand New Cherry Flavor
- 公開日：2021年08月13日
- 製作国：米国
- 再生時間：42分
- ジャンル：ドラマ、ホラー、ミステリー
あらすじ
1990年代初頭のロサンゼルスに、映画監督としての夢を追い求める若き女性、リサ・ノヴァがやって来ます。彼女の短編映画「ルーシーの瞳」が注目を集め、有名プロデューサーのルー・バークと出会い、長編映画化のチャンスを得ます。しかし、ルーの不適切な行為を拒絶したことで、リサはプロジェクトから外され、裏切りに直面します。怒りと失望に駆られたリサは、謎めいたタトゥーアーティスト、ボロと出会い、復讐のために魔術の力を借りることを決意します。この選択が、彼女をセックス、魔術、復讐、そして超自然的な子猫が織りなす幻覚的な悪夢の世界へと引きずり込みます。リサは自身の過去の秘密と向き合いながら、生き残るために戦い、予想外の展開とグロテスクな出来事に直面します。物語は、彼女の野心と復讐心が引き起こすカオスを通じて、ハリウッドの暗部と人間の欲望を描き出します。
解説
『ブランニュー・チェリーフレーバー』は、トッド・グリムソンによる同名小説を原作としたNetflixの限定シリーズで、ホラー、ミステリー、ドラマが融合した独特の世界観が特徴です。
デヴィッド・リンチやデヴィッド・クローネンバーグの影響を感じさせるシュールでグロテスクな映像美と、1990年代のハリウッドの退廃的な雰囲気を巧みに表現しています。物語は、映画業界における女性の闘いと、権力や裏切りに直面した個人の復讐心をテーマに据え、超自然的な要素を織り交ぜることで、現実と幻想の境界を曖昧にします。特に、主人公リサが魔術を通じて復讐を果たそうとする過程で、子猫を吐き出すという衝撃的なシーンや、植物が建物に侵食するビジュアルは、視覚的インパクトとともに物語の奇抜さを際立たせています。
シリーズは8話構成で、各エピソード約60分。視聴者を引き込むスタイリッシュな演出と、予測不可能な展開が魅力です。物語の終盤では、リサの復讐劇が単なる個人的な闘争を超え、ボロの真意や超自然的な力の背後にある深い意図が明らかになり、視聴者に解釈の余地を与えます。この作品は、ホラーやオカルトが好きな視聴者だけでなく、映画業界の裏側や人間の欲望に興味がある人にも訴求力があります。
女優の活躍
本作の主演を務めるローサ・サラザール（リサ・ノヴァ役）は、その強烈な存在感と表現力で作品の中心を担っています。彼女の演技は、野心に燃える新人監督から、復讐と魔術に飲み込まれる複雑なキャラクターへの変貌を見事に描き出します。特に、感情の起伏が激しいシーンでの目の演技は印象的で、恐怖、怒り、混乱を繊細に表現。サラザールは『アリータ：バトル・エンジェル』などで知られる実力派で、本作でもその演技力が存分に発揮されています。彼女の狂気を帯びた表情や、絶望と決意が交錯する場面は、視聴者に強い印象を与えます。
もう一人の重要な女優、キャサリン・キーナー（ボロ役）は、謎めいたタトゥーアーティストとして不気味な魅力を放ちます。キーナーの落ち着いた声色とミステリアスなオーラは、ボロのキャラクターに深みを与え、物語の超自然的要素を強化。彼女の登場シーンは、緊張感と奇妙な魅力に満ちており、物語の鍵を握る存在として際立っています。
両女優の対比—サラザールの情熱的で感情的な演技と、キーナーの抑制された不気味さ—は、作品の独特なトーンを支える重要な要素です。
女優の衣装・化粧・髪型
ローサ・サラザール（リサ・ノヴァ）
リサの衣装は、1990年代のハリウッドの雰囲気を見事に反映しています。カジュアルなデニムジャケットやTシャツ、タイトなパンツといったグランジ風のスタイルが中心で、若々しくも野心的なキャラクターを表現。物語が進むにつれ、彼女の衣装は徐々に乱れ、血や汚れで汚れた状態になることで、精神的な混乱と復讐の深みを視覚的に示します。化粧はナチュラルで、くっきりした眉と薄いリップが特徴。彼女の大きな目は、アイライナーで強調され、感情的なシーンで強い印象を与えます。髪型は、ルーズなショートカットで、時折乱れた状態がリサの不安定な心理状態を象徴。物語の後半では、髪が汗や血で濡れるシーンが多く、ホラー要素を強調します。
キャサリン・キーナー（ボロ）
ボロの衣装は、魔術師としての神秘性を強調するもの。ゆったりとしたダークカラーのローブや、ビーズやタリスマンをあしらったアクセサリーが特徴的で、1990年代のオカルト文化を彷彿とさせます。彼女の化粧は、青白い肌にダークなアイシャドウとリップを組み合わせ、超自然的な存在感を演出。髪型は、灰色がかったロングヘアで、しばしば乱雑に束ねられ、ボロの風変わりで予測不可能な性格を反映しています。衣装と化粧は、彼女がリサを導く（または操る）存在としての威圧感を強調し、物語の不気味な雰囲気を高めます。
キャスト
- ローサ・サラザール：リサ・ノヴァ（新人映画監督、復讐に駆られる主人公）
- キャサリン・キーナー：ボロ（謎のタトゥーアーティスト、魔術師）
- エリック・ラング：ルー・バーク（有名プロデューサー、リサを裏切る）
- ジェフ・ウォード：ロイ・ハードウェイ（リサの友人、俳優）
- ハンナ・レヴィエン：クリスティーン（リサの友人、サポート役）
- マニー・ジャシント：コード（リサの協力者、ミステリアスな人物）
スタッフ
- 原作：トッド・グリムソン（小説『Brand New Cherry Flavor』）
- 製作総指揮：ニック・アントスカ、レノア・ザイオン
- ショーランナー：ニック・アントスカ、レノア・ザイオン
- 脚本：ニック・アントスカ、レノア・ザイオンほか
- 監督：ガンディア・モンテイロ、アーカシャ・スティーブンソンほか
- 音楽：ジェフ・ルッソ
- 撮影：セルソ・ガルシア
- 編集：レオ・トロンベッタほか
総評
『ブランニュー・チェリーフレーバー』は、ホラーとミステリーを融合させた野心的な作品で、ローサ・サラザールとキャサリン・キーナーの演技が光ります。1990年代のハリウッドの退廃と魔術の幻想的な要素が交錯し、視聴者を奇妙で中毒性のある世界に引き込みます。衣装や化粧、髪型はキャラクターの心理や物語の雰囲気を効果的に表現し、視覚的な魅力も大きいです。予測不可能な展開とグロテスクな美学は、ホラーファンやユニークな物語を求める視聴者に強くおすすめできる作品です。ただし、過激な描写があるため、視聴の際は注意が必要です。Netflixで全8話を一気見することで、その奇抜な魅力に没入できるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い