アイオワ州はアメリカ合衆国中西部に位置し、「アメリカのハートランド」と呼ばれる農業州。州都はデモイン。人口約319万人で、トウモロコシ生産が盛ん。ミシシッピ川とミズーリ川に挟まれ、自然豊かな地域。アイオワ州出身の女優は少ないが、ジーン・セバーグ、ドナ・リード、ララ・フリン・ボイル、ミシェル・モナハンような大物が出た地域。
歴史
アイオワ州の歴史は、約13,000年前に先住民族がこの地に住み始めたことに始まります。更新世の氷河作用下で狩猟採集生活を送っていた彼らは、徐々に定住型農耕民へと移行しました。ヨーロッパ人の探検が始まった17世紀には、アイオワ族を含む多くのインディアン部族がこの地域に住んでいました。アイオワ州の名前は、アイオワ族に由来し、スー族の言葉で「眠たがり」を意味します。
フランス人探検家が1682年にこの地域をフランス領ルイジアナの一部と宣言し、1803年のルイジアナ購入によりアメリカ合衆国の領土となりました。1830年代には、インディアンとの条約を通じて土地が開拓者に開放され、農地として発展しました。1846年12月28日、アイオワ州はアメリカ合衆国29番目の州として正式に州となりました。この時期、フォートアトキンソンやデモイン砦などの軍事拠点が建設され、入植が進みました。
19世紀後半、アイオワ州は農業の中心地として成長しました。特にトウモロコシと大豆の生産が州経済の基盤となり、鉄道網の拡大により農産物の輸送が容易になりました。20世紀に入ると、農業機械化が進み、アイオワは全米でも有数の農業州としての地位を確立しました。また、アイオワ州は大統領選挙の候補者選びの初戦となる党員集会(コーカス)で知られ、政治的にも注目される州です。
現代のアイオワ州は、農業だけでなく保険業や金融業でも知られています。デモインは保険業界の中心地として、プリンシパル・ファイナンシャル・グループなどの企業が本社を構えています。また、再生可能エネルギー、特に風力発電の導入が進んでおり、持続可能な発展を目指しています。
芸術
アイオワ州は、豊かな自然と歴史を背景に、独自の芸術文化を発展させてきました。州都デモインには、1948年に開館したデモイン芸術センターがあり、19世紀から現代までの美術作品を収蔵しています。このセンターは展示だけでなく、芸術教育プログラムやワークショップも提供し、地域の文化活動の拠点となっています。収蔵品には、近代アメリカ美術やヨーロッパの作品が含まれ、観光客にも人気のスポットです。
また、デモインのグレーター・デモイン市民センターでは、ブロードウェイのミュージカルやプロの劇団公演が開催され、演劇愛好家に親しまれています。州内には、アーバンデールにあるリビング・ヒストリー・ファームズという野外博物館もあり、1700年代から現代までの農村生活を再現した展示が行われています。ここでは、歴史的な衣装を身にまとったスタッフが、当時の生活や文化を伝えるパフォーマンスを行っています。
アイオワ州は、文学の分野でも名を馳せています。アイオワ大学は、全米でも有名な「アイオワ・ライターズ・ワークショップ」を主催し、多くの作家や詩人を輩出しています。このプログラムは、創作活動を志す学生に実践的な指導を提供し、アメリカ文学の発展に貢献しています。また、州内各地の歴史的な中心街、特にデコラやメイソンシティでは、アートギャラリーや地元アーティストの作品が展示され、地域の芸術シーンを盛り上げています。
登場する映画
アイオワ州は、その広大な農地や素朴な風景を背景に、いくつかの映画の舞台として登場しています。以下は代表的な作品です。
- フィールド・オブ・ドリームス(1989年): ダイアーズビル市を舞台にした野球映画の名作です。ケビン・コスナー演じる農夫が、トウモロコシ畑に野球場を建設する物語で、実際のロケ地は観光名所となっています。この映画は、夢と家族の絆をテーマにした感動的な作品として知られています。
- マディソン郡の橋(1995年): ロバート・ジェームズ・ウォーラーの小説を原作とし、クリント・イーストウッドとメリル・ストリープが出演したロマンス映画です。アイオワ州マディソン郡の覆い橋を舞台に、農家の主婦と写真家の短い恋物語が描かれます。州の田園風景が美しく映し出されています。
- 「スター・トレック」(2009年): J・J・エイブラムス監督のリブート版では、主人公ジェームズ・T・カークがアイオワ州リバーサイドで生まれ育った設定。映画冒頭のバーでのシーンや、宇宙船の建設現場がアイオワで撮影されました。
- スリーピング・ウィズ・ザ・エナミー(1991年): ジュリア・ロバーツ主演のサスペンス映画で、アイオワ州シーダーラピッズが舞台の一部として登場します。主人公が新たな生活を始める場所として、州の静かな町並みが描かれています。
出身女優
アイオワ州出身の女優は多くはありませんが、以下のような著名な人物がいます。
- ジーン・セバーグ(1938年-1979年): アイオワ州マーシャルタウン出身。1957年の映画「聖女ジャンヌ」でデビューし、ヌーヴェルヴァーグの名作「勝手にしやがれ」(1960年)で国際的な名声を得ました。彼女の自然体な演技と独特の魅力は、フランス映画界でも高く評価されました。セバーグは女優業だけでなく、人権活動にも積極的に関与しましたが、波乱に満ちた人生を送り、1979年に亡くなりました。
- ドナ・リード(1921年-1986年): アイオワ州デニソン出身。1940年代から50年代のハリウッドで活躍し、「素晴らしき哉、人生!」(1946年)や「地上より永遠に」(1953年)で知られています。特に後者ではアカデミー助演女優賞を受賞しました。テレビドラマ「ドナ・リード・ショー」でも親しまれ、家庭的なイメージで人気を博しました。
- ララ・フリン・ボイル(1970年-): アイオワ州ダベンポート出身。TV番組「ツイン・ピークス」(1990年-1991年)でドナ・ヘイワード役を演じ、注目を集めました。その後、「ウェインズ・ワールド」(1992年)や「メン・イン・ブラックII」(2002年)などに出演。独特の個性と美貌で知られています。
- ミシェル・モナハン(1976年-): アイオワ州ウィンスロップ出身。「ミッション:インポッシブル」シリーズや「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(2007年)で知られる女優です。アクションからドラマまで幅広い役柄をこなし、現代ハリウッドで活躍しています。
アイオワ州にあるアイオワ州立大学の出身者には、ホラー映画での活躍から絶叫クイーンと称される女優ベッティ・ガブリエルがいます。彼女は州立大学で動物学を学びました。
まとめ
アイオワ州は、農業を中心とした経済と豊かな自然環境で知られる州です。その歴史は先住アイオワ族から始まり、現代では政治や文化の舞台としても注目されています。芸術面ではデモイン芸術センターやライターズ・ワークショップが、映画では「フィールド・オブ・ドリームス」や「マディソン郡の橋」が州の魅力を伝えています。また、ジーン・セバーグやドナ・リードといった女優たちが、アイオワ出身の才能として世界に名を馳せました。アイオワ州は、素朴でありながらも深い魅力を持つ地域と言えるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い