ウェストバージニア州は、アメリカ合衆国東部アパラチア山脈に位置する山岳州。州都はチャールストン。瀝青炭の産出で知られ、南北戦争時にバージニア州から分離し、1863年に州に昇格。人口約176万。ウェストバージニア州出身の女優は限られいるものの、ジェニファー・ガーナーのように現代ハリウッドで活躍するスターや、ジョアン・クロフォードのような歴史的な大女優が名を連ねる。彼女たちの活躍は、州の文化的影響力を示す。
歴史
ウェストバージニア州の歴史は、その地理的および文化的特性によって特徴づけられています。元々はバージニア州の一部でしたが、南北戦争（1861年-1865年）中に分離して独立した州となりました。この分離の背景には、奴隷制度を巡る対立がありました。バージニア州が南部連合に属したのに対し、ウェストバージニアの西部地域の住民の多くは奴隷制度に反対し、連邦（北部）を支持しました。1861年、ウィーリングで開催された会議で分離が決議され、1863年6月20日にウェストバージニア州は正式に合衆国50番目の州として加盟しました。この出来事は、戦中の重要な境界州としての役割を果たしました。一部の住民は奴隷を所有していましたが、大多数は小規模な農民であり、工業化が進む前の自給自足的な生活が中心でした。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ウェストバージニア州は石炭産業の中心地として発展しました。アパラチア山脈に豊富に存在する瀝青炭（れきせいたん）は、鉄鋼業や電力供給に不可欠な資源であり、州経済の基盤となりました。しかし、石炭産業の発展は労働者にとって厳しい労働条件をもたらし、20世紀初頭には鉱山労働者のストライキや労働争議が頻発しました。特に、1920年代の「ウェストバージニア炭鉱戦争」は、労働者の権利を求める闘争として知られています。これらの出来事は、州の労働運動の歴史において重要な一ページを刻みました。
20世紀後半以降、石炭産業の衰退に伴い、州は経済の多様化を模索しました。観光業や製造業が新たな経済の柱として成長し、アパラチアの自然美を活かしたアウトドア活動が注目を集めています。また、近年では再生可能エネルギーや技術産業への投資も進んでいますが、石炭産業の影響は今なお州の文化や経済に深く根付いています。
芸術
ウェストバージニア州の芸術は、アパラチア地域の伝統と自然に強く影響を受けています。州の山岳地帯や農村の風景は、絵画や写真、文学のインスピレーションの源となってきました。特に、アパラチアのフォークアートは、キルト作りや木彫り、陶芸など、手仕事による伝統的な工芸品が特徴です。これらの作品は、州内のギャラリーやクラフトフェアで展示され、観光客にも人気があります。
音楽もウェストバージニアの芸術文化の重要な要素です。アパラチア音楽は、ブルーグラス、カントリー、フォークの融合であり、バンジョーやフィドルを使った伝統的なメロディーが特徴です。州内では、毎年多くの音楽フェスティバルが開催され、地元のアーティストや全国的に知られたミュージシャンが集まります。ウェストバージニア州立大学の芸術学部や地域のコミュニティカレッジでは、若手アーティストの育成にも力を入れています。
文学においては、ウェストバージニア出身の作家がアパラチアの生活や歴史をテーマにした作品を生み出しています。自然環境や労働者の苦難、家族の絆を描いた小説や詩は、州のアイデンティティを反映しています。また、州都チャールストンにある文化センターでは、演劇やダンスのパフォーマンスも盛んで、地元の劇団が地域の歴史や文化を題材にした公演を行っています。
登場する映画
ウェストバージニア州を舞台にした映画は、州の自然景観や歴史的背景を活かした作品が目立ちます。以下は代表的な映画のリストです。
- ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌（2020年）：J.D.ヴァンスの回顧録を基にした映画で、ウェストバージニアとオハイオ州にまたがるアパラチア地域の家族の苦難と再生を描く。州の社会経済的課題が背景に。Amazonで確認する
- ウィ・オール・フォール・ダウン（2016年）：ウェストバージニアの田舎町を舞台にしたホラー映画。州の孤立した山間部の雰囲気を活かし、緊張感あふれるストーリーが展開。Amazonで確認する
- 遠い空の向こうに（1999年）：実話に基づく物語で、ウェストバージニアの炭鉱町に住む少年がロケット作りに挑戦する姿を描きます。州の工業的背景と夢を追う若者の情熱が感動を呼びます。Amazonで確認する
- メイトワン 1920（1987年）：ウェストバージニアの炭鉱町を舞台に、労働者と経営者の対立を描いたドラマ。石炭産業の厳しい現実と地域社会の結束がテーマ。Amazonで確認する
- Death Clique（2014年）：全米で注目されたスカイラー・ニース殺人事件という、ウェストバージニア州のティーンエイジャーの友情が引き起こした衝撃的な犯罪を映画化。
これらの映画は、ウェストバージニアの自然や文化、歴史的背景を効果的に描き出しており、州の多面的な魅力を伝えています。特に『遠い空の向こうに』は、州の若者たちの可能性と希望を示す作品として高く評価されています。
出身女優
ウェストバージニア州出身の女優は多くありませんが、以下の人物が代表的な例です。
ジェニファー・ガーナー
1972年4月17日生まれ。テキサス州ヒューストン生まれ、 ウェストヴァージニア州チャールストン育ち。代表作には『エイリアス』（TVシリーズ）、『13 Going on 30』（2004年）、『ダラス・バイヤーズクラブ』（2013年）など。ガーナーは、州都チャールストンで育ち、幼少期にバレエや演劇に親しみました。彼女の自然体で親しみやすい演技は、ウェストバージニアの素朴な文化を反映しているとも言われます。アカデミー賞受賞はまだですが、ゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、安定したキャリアを築いています。
ジョアン・クロフォード
1904年頃生まれ（正確な生年は不明）、ウェストバージニア州で育ったとされるハリウッドの伝説的女優。『ミルドレッド・ピアース』（1945年）でアカデミー主演女優賞を受賞。代表作に『グランド・ホテル』（1932年）、『女の顔』（1941年）など。クロフォードの出自には不明点が多く、テキサス州生まれとの説もありますが、幼少期の一部をウェストバージニアで過ごしたとされています。彼女の激しい情熱と強い個性は、黄金期ハリウッドを代表する存在です。
ウェストバージニア州出身の女優は限られていますが、ジェニファー・ガーナーのように現代ハリウッドで活躍するスターや、ジョアン・クロフォードのような歴史的な大女優が名を連ねます。彼女たちの活躍は、州の文化的影響力を示しています。
まとめ
ウェストバージニア州は、アパラチア山脈の自然美と石炭産業に根ざした歴史を持つ州です。芸術ではフォークアートや音楽が地域の特色を反映し、映画ではその風景や社会問題が描かれます。出身女優も、ジェニファー・ガーナーやジョアン・クロフォードなど、個性的な才能が光ります。これらの要素が織り交ざり、ウェストバージニア州の独特な魅力を作り上げています。
レビュー 作品の感想や女優への思い