オハイオ州は米国中西部に位置し、エリー湖とオハイオ川に面する。人口約1,190万人、州都はコロンバス。工業と農業が盛んで、「バックアイ州」と呼ばれます。出身女優はドリス・デイ、ハル・ベリー、サラ・ジェシカ・パーカー、ケイティ・ホームズたち。
歴史
オハイオ州の歴史は、先住アメリカン部族から始まり、18世紀にヨーロッパ人探検者が到達しました。フランスとイギリスの植民地争奪戦の舞台となり、1763年のパリ条約でイギリス領となりました。アメリカ独立戦争後、1787年の北西部条例により北西部領土の一部として組織化され、1803年3月1日に合衆国17番目の州として昇格しました。これは独立宣言時の13植民地以外の州としては初めてのことです。州名の由来は、セネカ族の言葉「ohiːyo’」で、「良い川」を意味するオハイオ川にちなみます。19世紀には運河や鉄道の発展により、工業と商業の中心地として成長しました。特にクリーブランドやシンシナティは、鉄鋼や製造業で繁栄しました。オハイオ州は「大統領の母」と呼ばれ、ウィリアム・ヘンリー・ハリソンやユリシーズ・S・グラントなど、7人の大統領を輩出しています。20世紀には、自動車やゴム産業が発展し、アクロン市は「世界のゴム首都」として知られました。一方で、1960年代以降の産業構造の変化により、ラストベルトの一部として経済的課題に直面しましたが、近年はヘルスケアや技術分野で再活性化が進んでいます。政治的には、共和党と民主党の支持が拮抗する「スイングステート」として知られ、大統領選挙で重要な役割を果たします。2019年時点で有権者数は約780万人で、共和党が州政を主導しています。
芸術
オハイオ州は多様な芸術文化を誇ります。クリーブランド美術館は、古代から現代までの幅広いコレクションで知られ、アジアやヨーロッパの美術品も豊富です。シンシナティ美術館もまた、地域の芸術遺産を展示し、アメリカの装飾芸術や地元アーティストの作品が特徴です。音楽面では、クリーブランド管弦楽団が世界的に評価され、クラシック音楽の殿堂として名を馳せています。また、オハイオ州はロックンロールの発祥地の一つとされ、クリーブランドにはロックンロール殿堂があります。この殿堂は、音楽史における重要なアーティストや作品を紹介し、観光名所としても人気です。現代アートでは、コロンバス美術館が地元アーティストの支援や教育プログラムを提供し、地域の創造性を育んでいます。オハイオ州の芸術シーンは、都市部だけでなく、小さな町でもコミュニティ劇場や地元のアートフェスティバルを通じて活発です。例えば、オハイオ州立大学のウェクスナー芸術センターは、現代美術やパフォーマンスの拠点として知られています。さらに、州内各地で開催されるアートフェアやクラフトフェスティバルは、地元住民や観光客に手工芸品や絵画を楽しむ機会を提供しています。
登場する映画
オハイオ州は多くの映画の舞台やロケ地として登場します。以下に代表的な作品をいくつか挙げます。
- ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌(2020年):オハイオ州の貧困層出身のJ.D.ヴァンスの自伝を基にしたドラマ。家族の絆と社会の格差を描き、主人公が故郷と向き合いながら未来を模索する姿を丁寧に描写。エイミー・アダムスとグレン・クローズの迫真の演技が光る感動作。
- 悪魔はいつもそこに(2020年):オハイオ州の田舎町を舞台にしたサスペンス。複数の家族の運命が交錯し、欲望と暴力が引き起こす悲劇を描く。トム・ホランドやロバート・パティンソンの演技が緊張感を高め、暗い人間ドラマが展開。
- クイーン&スリム(2019年):オハイオ州で起きた警察との衝突をきっかけに、黒人カップルが逃亡生活を送るロードムービー。人種差別と正義をテーマに、愛と抵抗の物語を力強く描く。緊張感と感情的な深みが共存。
- パブリック 図書館の奇跡(2018年):シンシナティの図書館を舞台に、ホームレスが寒さをしのぐために占拠する物語。社会問題と人間の尊厳をテーマに、エミリオ・エステベスが監督・主演。心温まる人間ドラマ。
- レディ・プレイヤー1(2018年):2045年のオハイオ州コロンバスを舞台にしたSF冒険映画。仮想現実の世界「OASIS」を巡る壮大な戦いを描く。スピルバーグの演出とポップカルチャーへのオマージュが魅力。
- エッジ・オブ・セブンティーン(2016年):オハイオの郊外に住む高校生ナディーンの成長物語。友情や家族との葛藤をユーモアと感性で描き、ヘイリー・スタインフェルドの自然な演技が共感を呼ぶ青春映画。
- X-MEN:アポカリプス(2016年):オハイオ州を一部舞台に、ミュータントたちが最強の敵アポカリプスに立ち向かう。壮大なアクションとキャラクターの内面の葛藤が融合。シリーズの魅力が詰まった一作。
- フィフス・ウェイブ(2016年):オハイオ州を舞台に、エイリアンの侵略に抵抗する少女の物語。クロエ・グレース・モレッツ主演のSFサスペンス。サバイバルと成長のテーマが緊張感とともに描かれる。
- キングス・オブ・サマー(2013年):オハイオの森で自立を目指す少年たちの冒険を描く青春コメディ。友情と自由を追い求める姿を軽快に描き、自然の中での成長物語が心を掴む。
- SUPER8/スーパーエイト(2011年):1979年のオハイオ州を舞台に、少年たちが映画撮影中に遭遇する謎の事件を描くSFミステリー。J.J.エイブラムス監督のノスタルジックな演出が光る感動作。
- アイ・アム・ナンバー4(2011年):オハイオ州に隠れるエイリアンの少年が、追手から逃げつつ戦うSFアクション。ダイナミックな戦闘シーンと青春の要素が融合し、若者向けのエンターテインメントが展開。
- テイク・シェルター(2011年):オハイオの田舎町で家族を守ろうとする男の心理サスペンス。マイケル・シャノン演じる主人公の不安と狂気が、嵐の予感とともに描かれ、緊張感が漂う傑作。
- ファンボーイズ(2009年):1998年のオハイオ州を舞台に、スター・ウォーズファンが新作の試写を目指すコメディ。友情とオタク文化をユーモラスに描き、ファン心をくすぐる一作。
- キット・キトリッジ アメリカン・ガール・ミステリー(2008年):大恐慌時代のオハイオ州で、少女キットが家族を支えながら謎を解く物語。子供向けながら社会問題を織り交ぜ、温かみのある物語が展開する。
- ブライアン・シンガーのトリック・オア・トリート(2007年):ハロウィンのオハイオ州を舞台にしたホラーアンソロジー。複数の恐怖譚が交錯し、不気味な雰囲気と意外な展開が楽しめるカルト的な作品。
- スーパーヒーロー・パンツマン(2007年):オハイオの小学校を舞台にしたアニメ映画。子供たちが創造したヒーローが活躍するユーモラスな物語。家族向けの軽快なエンターテインメント。
- ユーロトリップ(2004年):オハイオの高校生が卒業後にヨーロッパへ旅立つコメディ。恋と冒険を求めて繰り広げられるドタバタ劇が、若々しいエネルギーで描かれる。
- フレディVSジェイソン(2003年):オハイオ州エルム街を舞台に、ホラーアイコン同士の壮絶な戦いが繰り広げられる。ファン待望のクロスオーバーで、恐怖とアクションが融合。
- 恋するふたりの文学講座(2002年):オハイオの大学で出会った二人の恋愛と成長を描くロマンティックコメディ。知性とユーモアが交錯し、軽快で心温まる物語が展開。
- トラフィック(2000年):オハイオ州を含むアメリカの麻薬問題を描いた群像劇。複数の視点から社会問題を掘り下げ、スティーヴン・ソダーバーグの緻密な演出が光る。
- スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜(2000年):オハイオ州の予備選挙を背景に、政治の裏側と倫理を描くドラマ。ジョン・トラボルタ主演で、権力と正義の葛藤がリアルに描かれる。
- スクリーム2(1997年):オハイオの大学を舞台にしたホラー続編。新たな殺人鬼が学生たちを襲う。緊張感とユーモアが絶妙に混ざり、シリーズの魅力が全開。
- マイ・フレンド・メモリー(1997年):オハイオ州で育つ少年とその家族の心温まる物語。友情と家族愛をテーマに、子供の視点から見た純粋な世界が描かれる。
- ラブ & ドラッグ(1996年):オハイオ州で薬剤師として働く青年の恋と葛藤を描くロマコメ。アン・ハサウェイとジェイク・ジレンホールの化学反応が魅力。
- ラリー・フリント(1996年):オハイオ出身の実在の人物ラリー・フリントの伝記映画。表現の自由を巡る闘いを描き、ウディ・ハレルソンの演技が光る社会派ドラマ。
- ジェフリー・ダーマー(1993年):オハイオ州で起きた実在の連続殺人犯の物語。暗い心理と社会の闇を描き、観る者に重いテーマを投げかける犯罪ドラマ。
- キャプテン・アメリカ 卍帝国の野望(1990年):オハイオ州を一部舞台に、キャプテン・アメリカが敵と戦うアクション。B級感漂うが、コミック愛に溢れた作品。
- リトルマン・テイト(1990年):オハイオ州で育つ天才少年と母の物語。ジョディ・フォスターが監督・主演を務め、才能と家族の絆を感動的に描く。
- 羊たちの沈黙(1990年):オハイオ州を含む連続殺人事件を追うFBI捜査官の物語。アンソニー・ホプキンスのハンニバルが圧倒的な存在感を放つサスペンス。
- ヘザース/ベロニカの熱い日(1989年):オハイオの高校を舞台にしたダークコメディ。社会の階級やいじめを皮肉たっぷりに描き、ウィノナ・ライダーの演技が光る。
- レインマン(1988年):オハイオ州シンシナティを一部舞台に、兄弟の絆を描く感動作。ダスティン・ホフマンとトム・クルーズの演技が心を打つ名作。
- 不機嫌な赤いバラ(1988年):オハイオの小さな町で暮らす主婦の日常と葛藤を描くコメディドラマ。家族と社会の期待の間で揺れる女性像が丁寧に描かれる。
- エルム街の悪夢2 フレディの復讐(1985年):オハイオ州エルム街でフレディが再び恐怖を撒き散らすホラー続編。夢と現実の境界が曖昧になり、緊張感が続く。
- エルム街の悪夢(1984年):オハイオ州エルム街を舞台にしたホラーの名作。フレディ・クルーガーが夢の中で若者を襲う。ウェス・クレイヴンの斬新な演出が光る。
- ガンモ(1984年):オハイオの農場を舞台にしたコメディ。エイリアンと人間の奇妙な交流を描き、軽快なユーモアと心温まる展開が魅力。
- カリフォルニア・ドールズ(1981年):オハイオ州を舞台に、女子プロレスの世界を描くコメディ。友情と夢を追い求める女性たちの姿がエネルギッシュに描かれる。
- 悲しみよさようなら(1980年):オハイオの田舎町で母と娘の絆を描くドラマ。家族の喪失と再生をテーマに、感情豊かな物語が心に響く。
- キングの報酬(1980年):オハイオ州を舞台にした戦争ドラマ。ベトナム戦争帰還兵の苦悩と社会復帰を描き、重厚な人間ドラマが展開する。
- アップルゲイツ(1971年):オハイオの小さな町を舞台にしたコメディ。平凡な生活に突如現れた奇妙な出来事が、ユーモラスに描かれる隠れた名作。
- バイ・バイ・バーディー(1963年):オハイオの町を舞台にしたミュージカルコメディ。ロックスターと地元少女の恋物語が、軽快な音楽とともに展開する。
- ロリータ(1962年):オハイオ州を含むアメリカの町を舞台に、禁断の愛を描くスタンリー・キューブリック監督の作品。心理的な深みが印象的。
- 華氏451(1966年):オハイオ州を舞台にしたディストピアSF。本を焼く社会で、主人公が知識と自由を求める姿を描く。フランソワ・トリュフォーの名作。
これらの映画は、オハイオ州の都市や自然、歴史的建造物を活用し、物語に深みを加えています。特に、マンズフィールドの刑務所は、映画ファンにとって訪れる価値のある場所です。
出身女優
オハイオ州出身の女優には、才能豊かな人物が多数います。以下に代表的な女優を紹介します。
- ドリス・デイ(1922-2019年): シンシナティ生まれ。歌手としても活躍し、『カラミティ・ジェーン』(1953年)や『枕詞の女』(1959年)で知られるハリウッド黄金期のスター。明るい魅力とコメディセンスで人気を博しました。
- ハル・ベリー(1966年-): クリーブランド生まれ。アカデミー主演女優賞を『モンスターズ・ボール』(2001年)で受賞した初のアフリカ系アメリカ人女性。『X-メン』シリーズや『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年)でも活躍。
- サラ・ジェシカ・パーカー(1965年-): ネルソンビル生まれ。『セックス・アンド・ザ・シティ』でブレイクし、ファッションアイコンとしても知られる。ブロードウェイでの舞台経験も豊富です。
- ケイティ・ホームズ(1978年-): トレド生まれ。『ドーソンズ・クリーク』で若手スターとして注目され、『バットマン・ビギンズ』(2005年)など映画でも活躍。近年は監督業にも挑戦しています。
- アリソン・ジャネイ(1959年-): ボストン生まれだが、デイトンで育つ。『ザ・ウェスト・ウィング』や『アイ,トーニャ』(2017年)で高い評価を受け、アカデミー助演女優賞を受賞。
これらの女優は、オハイオ州の多様な文化的背景を反映し、ハリウッドや国際舞台で大きな成功を収めています。彼女たちの活躍は、州の芸術文化の一端を示しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い