『アンノウン・ボディーズ』（2017年）はベルギーのベストセラー小説を原作にしたサスペンス・ミステリー。6人の首なし女性死体が発見され、刑事フレディとフィンケが猟奇殺人の謎を追う。ソフィー・ホーフラックがリナ役で主演し、物語の鍵を握る謎めいた女性として登場。精神科医で記憶喪失の被害者としてフレディの捜査に深く関わる。
基本情報
- 邦題：アンノウン・ボディーズ
- 原題：Het Tweede Gelaat
- 英題：Control ／Double Face
- 公開年：2017年
- 製作国：ベルギー
- 上映時間：127分
- ジャンル：アクション、クライム
見どころ
ベルギーのベストセラー小説を、ヨーロッパらしい映像美で映画化。謎の多い猟奇殺人は緊迫感たっぷり。個性派刑事コンビの活躍や迫力のアクションシーンも見もの。
あらすじ
ベルギーの荒涼とした地で、6人の女性の全裸死体が同時に発見される衝撃的な事件が発生します。死体は全て血を抜かれ、指紋は酸で焼かれ、頭部は持ち去られており、身元特定が困難な状態です。捜査を担当するのは、破天荒で無鉄砲なベテラン刑事フレディと、冷静沈着な上司であり相棒のフィンケ。死体の身元は判明するものの、被害者の失踪時期、職業、年齢、外見に共通点はなく、捜査は難航します。
そんな中、犯人から逃げ出したと思われる女性リナが、記憶を失った状態で発見されます。彼女は上半身に作業用ベストを羽織り、下半身は下着姿で、肘に軽い傷を負っていますが、目立った外傷はありません。フレディは上層部の反対を押し切り、リナを事件解決の鍵と見なし、彼女を保護しながら独自の捜査を進めます。
しかし、リナの曖昧な記憶と行動は、フレディを予想外の闇へと導きます。捜査が進むにつれ、ケルンからの移住者や精神科医、ゲームクリエイターなど、複数の容疑者が浮上。フレディの執念深い捜査は、事件の背後に潜むサイコパス的な動機と複雑な人間関係を明らかにしていきますが、彼自身も犯人の罠に翻弄され、危険な状況に陥ります。事件の真相は、リナの過去とフレディの選択に深く結びついており、衝撃的な結末が待ち受けます。
解説
『アンノウン・ボディーズ』（原題：Het Tweede Gelaat）は、ベルギーの作家ジェフ・ヒーラールツのベストセラー小説『Double-face』を原作とした2017年製作のサスペンスミステリー映画です。アクションとクライム要素を織り交ぜた本作は、猟奇的な殺人事件を軸に、刑事たちの心理戦と人間ドラマを描き出します。特に、ヨーロッパ産ミステリーの系譜に連なる作品として、『ドラゴン・タトゥーの女』や『特捜部Q』シリーズと比較されることが多く、暗く重厚な雰囲気と緻密なプロットが特徴です。
監督のヤン・フェルヘイエンは、同じ原作者の『HITMAN X. 復讐の掟』でもフレディとフィンケのコンビを描いており、本作はシリーズの一環として彼らのキャラクター性を深掘りしています。フレディの無鉄砲さとフィンケの堅物ぶりが対比的に描かれ、刑事ドラマとしての緊張感と人間味を両立させています。
しかし、一部の批評では、フレディの軽率な行動や動機の曖昧さが物語の説得力を欠くと指摘されており、賛否両論を呼んでいます。日本では「未体験ゾーンの映画たち2019」にて上映され、カルト的な人気を博しました。猟奇殺人の残酷さと心理的な駆け引きが融合した本作は、ミステリー愛好家にとって見応えのある作品です。
女優の活躍
本作における主要な女性キャラクターは、リナ（ソフィー・ホーフラック）です。リナは物語の鍵を握る謎めいた女性として登場し、精神科医で記憶喪失の被害者としてフレディの捜査に深く関わります。ソフィー・ホーフラックの演技は、リナの複雑な心理と曖昧な行動を見事に表現しており、観客に彼女の正体や動機を推測させる魅力を持っています。リナは恐怖と混乱を抱えつつも、時に大胆な行動を見せ、フレディとの関係性を通じて物語に緊張感をもたらします。ホーフラックは、感情の揺れや微妙な表情でリナの内面を繊細に演じ、観客を引き込む力強いパフォーマンスを見せています。彼女の登場シーンは比較的少なく、物語の後半でその影響力が顕著になりますが、限られた出番の中で強い印象を残しています。また、脇役として登場する女性キャラクター（被害者や関係者）も、物語の背景を補強する役割を果たしますが、詳細な活躍は描かれていません。リナ役のホーフラックが、ミステリアスな雰囲気を最大限に活かし、作品のサスペンス性を高めている点で、女優の貢献度は大きいと言えます。
女優の衣装・化粧・髪型
リナを演じるソフィー・ホーフラックの衣装は、物語の状況を反映した簡素かつ現実的なデザインが特徴です。彼女が最初に発見されるシーンでは、上半身に作業用のオレンジ色のベストを羽織り、下半身は下着のみという、被害者としての過酷な状況を象徴する姿で登場します。この衣装は、リナの無防備さと事件の異常性を強調し、観客に強烈な印象を与えます。その後、病院や保護下でのシーンでは、シンプルな患者服やカジュアルな服を着用し、記憶喪失の女性としての脆弱さを表現。衣装は地味な色調で、彼女の不安定な精神状態を反映しています。化粧はほぼ施されておらず、ナチュラルな顔立ちが強調され、リナの純粋さと同時にミステリアスな雰囲気を際立たせています。髪型は、緩くウェーブのかかった赤みがかった髪で、肩から胸元にかけて自然に垂れるスタイルが中心。赤い髪は、物語の中で犯人の動機に関わる要素として言及されることがあり、視覚的にも重要な特徴となっています。ホーフラックの外見は、ヨーロッパ映画らしい抑えた美しさとリアリティを兼ね備えており、物語の暗いトーンにマッチしています。被害者たちの描写では、全裸で発見される設定上、衣装や化粧は描かれませんが、プロファイリングの一環で髪型や体型が議論されるシーンがあり、視覚的な要素が捜査の鍵となっています。
キャスト
- ケーン・デ・ボーウ：フィンケ（冷静沈着な上司であり刑事の相棒）
- ヴェルナー・デ・スメット：フレディ（破天荒なベテラン刑事）
- ソフィー・ホーフラック：リナ（精神科医で記憶喪失の女性、事件の鍵を握る）
- マルセル・ヘンセマ：捜査に関わる重要人物
- グレッグ・ティマーマンズ：ムルデル（捜査チームの一員）
- ユルゲン・デルナート：ホイバーグ（ゲームクリエイター、容疑者の一人）
- ヘンドリク・アーツ：コーディ（米国大使館職員、容疑者の一人）
- イクラム・アウラド：捜査に関わる脇役
スタッフ
- 監督：ヤン・フェルヘイエン
- 脚本：カール・ヨース
- 原作：ジェフ・ヒーラールツ（小説『Double-face』）
- 製作：ピーター・ボウケンス、ヒルデ・デ・ラーレ
- 撮影：ルー・ベルグマンス
- 編集：ウィル・ヴァン・デル・ヴェケン
- 音楽：メルリン・フェルメーレン
- 配給：クロックワークス（日本）、EYEWORKS FILM & TV DRAMA（ベルギー）
レビュー 作品の感想や女優への思い