黒竜江省 | なむ語る

黒竜江省は中国最北東に位置し、寒冷な気候と広大な森林が特徴。省都はハルビン市。ロシアと国境を接し、漢族が人口の9割以上を占め、農業が盛ん。黒竜江省出身の女優リー・ビンビンはハリウッド映画にも出演し、国際舞台で注目を集めています。

Li Bingbing: L'Officiel China cover ---李冰冰

Li Bingbing, Chinese mainland actress, was born in Harbin, Heilongjiang province. After populated by Young Detective Bao...

歴史
芸術
登場する映画
出身女優
まとめ

歴史

黒竜江省の歴史は、古くから多様な民族が共存する地域として発展してまいりました。この地域は、清朝以前には女真族やモンゴル族などの遊牧民が居住し、漁業や狩猟を生業とする文化が根付いていました。17世紀に清朝が成立すると、黒竜江省は清の支配下に組み込まれ、ロシア帝国との国境地帯として戦略的に重要な役割を果たしました。特に、アムール川（黒竜江）を巡るロシアとの領土交渉は、1858年のアイグン条約や1860年の北京条約により現在の国境線が確定し、中国側に黒竜江省が属することとなりました。

20世紀初頭、日露戦争後の1905年に日本が南満洲鉄道の権益を獲得すると、黒竜江省の南部の都市、特にハルビンは、ロシアや日本の影響を強く受け、国際的な都市として発展しました。1930年代には、日本の満州国の一部として一時的に統治され、工業化が進められました。しかし、第二次世界大戦後、1945年に中国に返還され、1949年の中華人民共和国成立後は、黒竜江省は正式に省として組織されました。

中華人民共和国成立後、黒竜江省は重工業と農業の中心地として成長しました。特に1950年代から60年代にかけて、ソビエト連邦の支援を受けた工業化が進行し、大慶油田の発見により石油産業が発展しました。文化大革命期（1966年～1976年）には、映画を含む文化活動が制限されましたが、その後の改革開放政策により、経済と文化が再び活性化しました。現代では、ハルビンの国際氷雪祭りなど、観光業も重要な産業となっています。

芸術

黒竜江省の芸術は、多様な民族文化と寒冷な気候に影響を受けて発展してきました。特に、漢族、満洲族、朝鮮族、モンゴル族などが共存するこの地域では、それぞれの民族の伝統芸能が融合し、独特な芸術文化を形成しています。ハルビンは「東洋のモスクワ」とも称され、ロシア風の建築や音楽、演劇が根付いています。特に、ハルビン夏季音楽会は、クラシック音楽や民族音楽の演奏会として国内外で知られており、1961年に始まって以来、定期的に開催されています。

伝統的な芸術としては、満洲族の民間伝承や舞踊が重要です。満洲族のシャーマニズムに由来する舞踊や音楽は、儀式的な要素を含み、地域の祭りで披露されます。また、黒竜江省は中国の切り絵や影絵の伝統も保持しており、これらは特に農村部で子供向けの娯楽や教育に用いられてきました。現代では、黒竜江省の芸術家たちが現代美術やインスタレーションアートにも挑戦し、国際的な美術展で作品を発表する機会が増えています。

ハルビンの氷雪彫刻も、黒竜江省を代表する芸術の一つです。毎年冬に開催されるハルビン国際氷雪祭りでは、雪と氷を使った巨大な彫刻が展示され、世界中から観光客が訪れます。この祭りは、芸術と観光が融合したイベントとして、黒竜江省の文化を象徴しています。

登場する映画

黒竜江省を舞台とした映画は、中国映画史において数は多くありませんが、地域の歴史や文化を反映した作品が存在します。以下に代表的な映画をいくつか挙げます。

『中国』（1972年、監督：ミケランジェロ・アントニオーニ）: イタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニが文化大革命期の中国を記録したドキュメンタリー映画で、黒竜江省を含む中国各地の生活を描写しました。
『大慶油田』（1976年）: 大慶油田の発見と開発をテーマにしたプロパガンダ映画で、黒竜江省の工業化と労働者の努力を描いております。この映画は、中華人民共和国の工業発展を象徴する作品として知られています。
『ハルビン・ストーリー』（2004年）: ハルビンの歴史的なロシア文化と現代の中国社会の融合を描いたドラマ映画。ロシア風の建築やハルビンの街並みが印象的に描写されております。

これらの映画は、黒竜江省の風土や歴史を背景に、地域の特徴を活かしたストーリー展開がなされております。ただし、中国映画全体の中では、黒竜江省を直接的に扱った作品は少なく、香港や北京を舞台にした作品に比べると知名度は低い傾向にあります。

出身女優

黒竜江省出身の女優は、中国のエンターテインメント業界で活躍する人物が複数おりますが、特に国際的に知られた人物は限られております。以下に代表的な女優を紹介します。

李冰冰（リー・ビンビン）：1973年生まれ。ハルビン市出身。『風雲ストームライダーズ』（1998年）でデビュー後、『トランスフォーマーロストエイジ』（2014年）や『MEG ザ・モンスター』（2018年）など国際的な作品に出演。環境保護活動にも積極的に取り組んでいます。
ソン・ジア（宋佳）：1980年生まれ。ハルビン市南崗区出身の女優・歌手。上海戯劇学院卒業後、2001年にドラマ『其实不想走』でデビュー。『悬崖』で白玉兰賞を受賞し、映画『师父』や『山花烂漫时』などで高い評価を得る。
リー・モンモン（李萌萌）：1993年、ハルビン市生まれ。雑技の天才からアクション女優へと転身し、『霍家拳之鉄臂嬌娃3（シャンハイ・クイーン）』を含む多くの作品で主演を務めるまでに成長。
シュー・トントン（徐冬冬）：ハルビン市出身のアクション女優。2010年代のウェブドラマ「余罪」をきっかけに「大嫂」としてブレイク。
チャオ・シン（喬欣）：ハルビン市生まれ上海育ちの女優。中央戯劇学院演技科卒業。代表作に『歓楽頌』シリーズの関雎爾役や『琅琊榜』の荀安茹役。2016年の『歓楽頌』で一躍有名に。
チャン・ティエンアイ（張天愛）：ハルビン市出身の女優、ファッション・モデル。2015年に主演したネットドラマ『太子妃狂想曲〈ラブソディ〉でブレイクし、瞬く間に中国国内外で注目を集めました。

これらの女優のうちリー・ビンビンはハリウッド映画にも出演し、国際舞台で注目を集めています。

まとめ

黒竜江省は、中国の北東部に位置し、寒冷な気候と多様な民族文化が特徴の地域です。歴史的には清朝やロシア、日本の影響を受け、現代では工業と農業、観光業が発展しています。芸術面では、ハルビンの氷雪彫刻や民族舞踊が際立ち、映画では地域の歴史や工業化をテーマにした作品が存在します。出身女優としてはリー・ビンビンが国際的に活躍し、黒竜江省の名を広めています。今後もこの地域の文化と歴史が、さまざまな形で世界に発信されることが期待されます。