『60セカンズ』引退したカーシーフのメンフィスが、弟を救うため一夜で50台の高級車を盗む大規模な強盗に挑むアクション映画。ニコラス・ケイジ演じる主人公が旧友たちと再結集し、息詰まる追跡劇を繰り広げる。スリリングなカーチェイスとチームワークが魅力で、興奮の連続。女優ではアンジェリーナ・ジョリーが出演し、熟練したメカニック兼バーテンダーを演じた。
基本情報
- 邦題:60セカンズ
- 原題:Gone in Sixty Seconds
- 公開年:2000年
- 製作国:米国
- 上映時間:117分
- ジャンル:アクション
女優の活躍
本作の主な女優は、アンジェリーナ・ジョリーが演じるサラ・“スウェイ”・ウェイランド。彼女はメンフィスの元恋人で、熟練したメカニック兼バーテンダーとして描かれる。スウェイは物語の重要な支柱となり、メンフィスが引退生活から戻るきっかけを作り出す。彼女の活躍は、単なるロマンスの要素に留まらず、チームの技術面を支える点で顕著である。
最初に登場するシーンでは、スウェイはメンフィスの過去を知る数少ない人物として、彼の帰還を促す。メンフィスが弟キップの危機を知った際、スウェイは冷静に状況を分析し、旧チームの再結集を支援する。彼女の機械知識は、盗難車の改造や修理に不可欠で、特にランボルギーニ・ディアブロの盗難シーンでは、メンフィスと共に行動し、過去の恋を再燃させる感動的な瞬間を演出する。
アクション面では、スウェイは直接的な戦闘には参加しないが、裏方としてチームの成功を支える。警察の追跡を逃れるための工夫や、緊急時の修理で活躍し、物語の緊張感を高める。ジョリーの演技は、クールでタフな女性像を体現し、2000年当時の彼女のキャリアを象徴する。スウェイの存在は、メンフィスの人間性を引き出し、単なる犯罪劇を家族と贖罪の物語に昇華させる。彼女の活躍により、映画はエンターテイメント性だけでなく、感情的な深みを加えている。
女優の衣装・化粧・髪型
アンジェリーナ・ジョリーのスウェイは、2000年代初頭のクールな女性像を反映したスタイリングが特徴である。衣装は主に実用的でタフなものを基調とし、メカニックらしい作業着が中心だ。典型的なものは、タイトな黒いタンクトップにカーゴパンツを合わせ、革のブーツを履いたスタイルである。これにより、彼女の身体能力と機械いじりのイメージが強調される。バーテンダーシーンでは、シンプルなシャツとジーンズでカジュアルさを保ちつつ、セクシーさを加える。
化粧はナチュラルで、日常的な労働者らしい控えめなものだ。ファンデーションは軽く、アイラインを細く引き、唇に薄いリップを施す程度。汗や油汚れを想定したメイクで、アクションシーンでは自然に崩れた表情がリアルさを増す。ジョリーの特徴的な唇と目元が活かされ、強い視線でキャラクターの自信を表現している。
髪型は本作の象徴で、プラチナブロンドのフェイク・ドレッドロックが印象的である。長さは肩までで、細く編み込まれたスタイルはロックでエッジの効いた印象を与える。このヘアはスウェイの反骨精神を表し、ジョリーの変身ぶりが話題となった。ただし、一部批評では過度に派手とされ、Stinkers Bad Movie Awardsで最悪のヘアスタイルにノミネートされた。全体として、衣装・化粧・髪型はスウェイの独立した女性像を完璧に支え、視覚的に映画のトーンを高めている。
あらすじ
ロングビーチを舞台に、若きカーシーフのキップ・レインズは、ギャングのレイモンド・カリトリから50台の高級車の盗難を依頼される。生意気なキップはポルシェを盗むが、警察に追われ、倉庫に隠した車が押収されてしまう。キップの失敗により、カリトリの怒りを買い、弟の命が危うくなる。
そこに現れるのが、引退した伝説のシーフ、ランダル・“メンフィス”・レインズである。旧友のアトリーから連絡を受け、メンフィスは弟を救うため、3日以内に50台の車を盗むことを決意する。彼は旧チームを再結集させる。メンターのオットー・ハリウェル、元恋人のスウェイ、トー、 sphinx、ドニーらが集まる。
警察のキャッスルベックとドライコフ刑事は、キップの失態からメンフィスの関与を疑い、捜査を開始。メンフィスたちはライバルギャングのジョニーBの妨害を受けつつ、計画を進める。最終日、一夜で50台を盗む大作戦が始まる。リストの車はポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど豪華絢爛だ。
作戦中、予想外のハプニングが発生。リスト外のカディラックからヘロインが見つかり、警察の介入を招く。メルセデス車の鍵を巡るトラブルや、押収所の潜入も起きる。メンフィスとスウェイはランボルギーニを盗みながら、過去の恋を振り返るロマンチックな場面も。
クライマックスは、伝説のシェルビーGT500“エレノア”の盗難。警察の激しい追跡が繰り広げられ、メンフィスは街中を疾走する。橋やトンネルを駆け抜け、爆発的なカーチェイスで緊張が頂点に。メンフィスは車を届けて弟を救い、カリトリを倒す。チームはバーベキューで祝い、メンフィスにシェルビーをプレゼントして締めくくられる。家族の絆と贖罪のテーマが心に残る。
解説
『60セカンズ』は、1974年の同名映画のリメイクとして、ジェリー・ブルックハイマーのプロデュースにより現代的に蘇ったアクション大作である。オリジナルがH.B.ハリッキのインディペンデント作品で、40分超の長大なカーチェイスが特徴だったのに対し、2000年版はハリウッドらしい派手なスペクタクルを強調。脚本のスコット・ローゼンバーグは、犯罪と家族のドラマを融合させ、単なる車盗難劇を超えた人間ドラマを構築した。
監督のドミニク・セナは、『ソールド・アウト』(1998年)での経験を活かし、ダイナミックなカメラワークでカーチェイスを実現。ロサンゼルスの実在の街路を活用し、リアリティを高めた。ニコラス・ケイジのメンフィスは、クールだが内面的な葛藤を抱く役どころで、彼のキャリアの転機となった。アンジェリーナ・ジョリーのスウェイは、当時アカデミー賞受賞直後の彼女の魅力を最大限に引き出し、セクシーで強い女性像を確立した。
テーマ的には、過去の過ちと贖罪が中心。メンフィスは引退を選んだが、家族のため再び犯罪に手を染めるジレンマを描く。チームの多様なキャラクター—オットーの知恵、 sphinxの沈黙の強さ—が、結束の重要性を示す。警察側のキャッスルベックは、執念深いが公正な捜査官として、善悪の境界を曖昧に。
批評面では、Rotten Tomatoesで26%の低評価だが、興行収入は2億3700万ドル超の大ヒット。プロットの穴や陳腐な対白が指摘されたが、エンターテイメントとしての爽快感は高評価。サウンドトラックはロックとヒップホップのミックスで、E-40やMobyの曲がアクションを盛り上げる。衣装やヘアの派手さは、2000年代のポップカルチャーを反映し、ジョリーのドレッドヘアはカルト的人気。
文化的影響は大きく、本作はカーアクション映画のテンプレートとなり、「ワイルド・スピード」シリーズに繋がる。オリジナルへのオマージュとして“エレノア”を再現し、ファンを喜ばせた。全体として、脳を休めて楽しむための理想的なブロックバスターであり、家族愛のメッセージが普遍的な魅力である。
キャスト
- ニコラス・ケイジ as ランダル・“メンフィス”・レインズ
- アンジェリーナ・ジョリー as サラ・“スウェイ”・ウェイランド
- ジョヴァンニ・リビシ as キップ・レインズ
- ロバート・デュヴァル as オットー・ハリウェル
- スコット・カーン as トー
- ウィル・パットン as アトリー・ジャクソン
- ジェームズ・ルースター as ドニー・アクストン
- チ・マクブライド as ドニー
- ボディ・シブム as スフィンクス
- クリストファー・エクルストン as レイモンド・カリトリ
- デルロイ・リンド as ローランド・キャッスルベック刑事
- ティモシー・オリファント as トビー・ドライコフ刑事
- マスターP as ジョニー・B
- ケヴィン・タイ as カレン・タナカ
- H.B.ハリッキ as カメオ出演
スタッフ
- 監督:ドミニク・セナ
- 製作:ジェリー・ブルックハイマー、ドミニク・セナ、ダニエル・ハバード
- 脚本:スコット・ローゼンバーグ
- 原作:H.B.ハリッキ(1974年映画)
- 撮影:ポール・キャメロン
- 編集:ロジャー・バートン、クリス・カラソ
- 音楽:トレヴァー・ホーン、ジョン・ポール・ジョン
- プロダクションデザイナー:ジェリー・グラフィス
- 衣装デザイン:キム・フロー
- メイクアップアーティスト:メアリー・ル・マイヤー(ヘッド)
- ヘアスタイリスト:エマニュエル・ミラー(ヘッド)
- スタントコーディネーター:ゲイリー・ハインズ
- 特殊効果:ILM(インダストリアル・ライト&マジック)
- 製作会社:Touchstone Pictures、Jerry Bruckheimer Films
- 配給:ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ
レビュー 作品の感想や女優への思い