『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』(2006年)は、イラク帰還の元海兵隊員ジョン・トリトンが、妻ケイトをダイヤ泥棒団に誘拐されたことから、過酷な追跡劇を繰り広げるアクション映画。WWEスターのジョン・セナが主演デビューを飾り、肉弾戦と銃撃戦が満載。B級テイストのエンターテイメントとして、痛快な復讐譚を描く。監督はジョン・ボニート。ケリー・カールソンがヒロイン役として、単なる被害者像を超えた積極的な抵抗の姿をみせてくれる。
基本情報
- 邦題:ネバー・サレンダー 肉弾凶器
- 原題:The Marine
- 公開年:2006年
- 製作地:アメリカ合衆国
- 上映時間:92分
- ジャンル:アクション
女優の活躍
本作のヒロインを務めるケリー・カールソンは、ケイト・トリトン役として、物語の中心に位置づけられています。彼女の活躍は、単なる被害者像を超えた積極的な抵抗にあります。誘拐された直後から、泥棒団の監視をくぐり抜け、何度も脱出を試みます。特に、悪女アンジェラ(アビゲイル・ビアンカ演)との激しい格闘シーンは見どころの一つで、WWEスタイルの肉弾戦を繰り広げ、観客を魅了します。この猫騙しのようなファイティングシーンでは、カールソンの身体能力が光り、ただの華奢な妻役ではなく、芯の強い女性像を体現しています。また、夫ジョンとの再会シーンでは、愛情深い妻としての優しさを発揮し、感情的な深みを加えています。全体を通じて、彼女の演技はスパンク(気丈さ)を強調し、典型的なダムゼル・イン・ディストレス(お姫様抱っこ待ちの女性)像を覆す点で高く評価されています。レビューでは、「ケリー・カールソンは、単なる美しい顔ではなく、戦う女性として輝く」との声が多く、アクション映画における女性キャラクターの進化を示唆しています。彼女の存在が、夫の英雄譚をより人間味豊かに支えています。
女優の衣装・化粧・髪型
ケリー・カールソンのケイト役における衣装は、物語の舞台であるサウスカロライナの湿地帯や田舎道を反映し、カジュアルで実用的なスタイルが基調です。冒頭の夫婦のバケーションシーンでは、白いタンクトップとデニムショーツを着用し、夏らしい軽やかな装いが、彼女のスーパーフィットなボディラインを強調します。この衣装は、ワンダーブラのようなサポートウェアを思わせるフィット感で、胸元がやや露出気味となり、セクシーさを際立たせています。誘拐後のシーンでは、泥や水にまみれ、服が破れたり汚れたりする描写が加わり、過酷な状況を視覚的に表現。格闘シーンでは、動きやすいTシャツとパンツ姿で、アクションのダイナミズムを損ないません。
化粧については、自然で控えめなものが中心です。日常的なナチュラルメイクが、ケイトの親しみやすい妻像を支えていますが、愛情シーンではリップやアイメイクが少し強調され、魅力的に映ります。誘拐後の泥だらけの状態でも、彼女の美しさが損なわれないよう、照明とカメラワークが工夫されています。
髪型は、ブロンドのロングヘアをストレートに下ろしたスタイルが特徴で、レビューでも「美しい髪が印象的」と絶賛されています。バケーション時は風に揺れる自然なウェーブがかかり、誘拐後は乱れ髪がドラマチックさを増幅。格闘中にはポニーテールにまとめ、機能性を優先。全体として、ヘアスタイリングは彼女の「ブロンド・ボムシェル」イメージを強化し、視覚的な魅力の核となっています。これらの要素が融合し、カールソンの外見は、アクションの激しさと女性らしさを両立させています。
あらすじ
イラクでの任務中、命令を無視して人質を救出した海兵隊員ジョン・トリトン(ジョン・セナ)は、名誉除隊を命じられます。帰国後、民間人の生活に馴染めず、警備員の職を過剰な力行使で失います。妻のケイト(ケリー・カールソン)は、そんな夫を心配し、二人はバケーションへ出かけます。一方、冷徹な犯罪者ローム(ロバート・パトリック)とその一味—恋人のアンジェラ(アビゲイル・ビアンカ)、モーガン(アンソニー・レイ・パーカー)、ヴェセラ(デイモン・ギブソン)、ベネット(マヌ・ベネット)—は、宝石店からダイヤを強奪。逃走中に立ち寄ったガソリンスタンドで、トリトン夫妻と遭遇します。
一味は警察官二人と店員を射殺し、ケイトを人質に取って逃亡。トリトンは追跡しますが、湖に転落し、一時消息不明に。ローム一味は沼地を抜け、ケイトの脱出劇が繰り返されます。トリトンは奇跡的に生還し、単独で追跡を続けます。探偵ヴァン・ビューレン(ジェローム・イーラーズ)と出会いますが、許可なく行動。山荘で一味と対峙し、モーガンとベネットを倒します。ヴァン・ビューレンがロームの共犯者と判明し、激しい銃撃戦の末、トリトンは彼を盾にし、ロームを逃がします。山荘は爆破されますが、トリトンは沼に逃れます。
ローム一味はトラックを奪い、港へ向かいます。トリトンは海兵隊のボートを盗み、追いつきます。アンジェラをバスに突き落とし、ダイヤを散乱させます。ロームとの最終決戦は、トラック同士の衝突から肉弾戦へ。トリトンはロームを鎖で絞め殺し、沈むトラックからケイトを救出。夫妻はキスを交わし、警察が到着します。トリトンの不屈の精神が、家族の絆を再確認させる結末です。
解説
『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』は、WWEプロデュースのアクション映画として、ジョン・セナのスクリーンデビュー作です。監督ジョン・ボニートは、低予算ながらダイナミックなカーチェイス、銃撃戦、爆破シーンを連発し、B級アクションの王道を体現。セナの肉体派俳優ぶりが光り、RamboやCommandoを彷彿とさせる「一匹狼の復讐者」像が魅力です。しかし、脚本の陳腐さやステレオタイプな悪役描写が批判を呼び、Rotten Tomatoesでは17%の低評価。一方で、「悪くても楽しい」カルト的人気を博しています。
テーマは、戦争帰還兵のPTSDと適応難。トリトンの過剰暴力は、軍人魂の葛藤を象徴し、社会的メッセージを内包します。ケリー・カールソンのケイトは、伝統的なヒロインをアップデートし、女性のエンパワーメントを示唆。ロバート・パトリックのロームは、冷酷なカリスマで脅威を高めます。製作はオーストラリアとカナダで、セナのWWE欠場をカバーするストーリーが組まれました。興行収入は2200万ドルと健闘し、続編5作を生むフランチャイズの原点。エンタメ優先の痛快さで、アクションファンに推奨されます。過剰な暴力描写はPG-13指定ですが、家族視聴には注意が必要です。全体として、セナのスター性を確立した一作です。
キャスト
- ジョン・セナ:ジョン・トリトン役
- ケリー・カールソン:ケイト・トリトン役
- ロバート・パトリック:ローム役
- アンソニー・レイ・パーカー:モーガン役
- アビゲイル・ビアンカ:アンジェラ役
- ジェローム・イーラーズ:ヴァン・ビューレン役
- マヌ・ベネット:ベネット役
- デイモン・ギブソン:ヴェセラ役
- ドリュー・パウエル:ジム・ニコルズ役
- フランク・カーロピオ:アレックス・キット役
- フィラス・ディラニ:コルディ役
スタッフ
- 監督:ジョン・ボニート
- 脚本:アラン・B・マクレリー、ミシェル・ギャラガー
- 原案:ミシェル・ギャラガー
- 製作総指揮:ヴィンス・マクマホン
- プロデューサー:ジョエル・サイモン、キャサリン・ソマー=パリー、ジョナサン・ウィンフリー
- 撮影:デイビッド・エッグビー
- 編集:ダラス・プエット
- 音楽:ドン・デイヴィス
- 製作会社:WWEフィルムズ
- 配給:20世紀フォックス
レビュー 作品の感想や女優への思い